表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/46

21話 黒狼と白狼

黒狼と白狼



 とりあえず、山を下りた俺たちはアイテムを持って始まりの町に戻っていた。


「これ、売ったらいくらぐらいになるかな?」


 現在所持金総額80万だった。


「食材アイテムは全部おばちゃんに売ってしまうか」


 採取アイテムもきちんと拾っていたので運が良ければ一通りそろっているかもしれない。


「よし、一旦解散!」


 とりあえず寝たい。



「こりゃあ、夜の山の食材だね」


 おばちゃんは厨房に入っていく。


「これでうちの店のレパートリーが増えたよ。また食材が手に入ったらうちに入れてね。これは報酬だよ」


『10000Mを手に入れました』


 ひれ肉が高かったようだ。


『夜の山の下級食材をすべて収めました。ボーナスとして10000Mと割引券を手に入れました』


「なんだこれ?」


割引券:販売しているものを金額に応じて割引してくれる。


「……土地も大丈夫なのか?」


 とりあえずまずは飯だな。


「これがメニューだよ」


 いつものメニューに対して増えていたのが、山羊肉のソテー、生姜焼き、ヒレカツ、山森ラダ、山羊のミルク。


「ヒレカツ!」


「はいよ1000Mだよ」


 さすがにお高い。


 だが、激ウマ!


 さくっとした衣に中の、このザ・肉という感じの歯ごたえ。たまらん!


 食べ終えた後凄まじい視線を感じたのでそちらを見ると女性のプレイヤーだった。


「あの、何か?」


「い、いえ、貴方がとてもおいしそうに食べていたのでつい……」


 髪はセミロングで色は白、肌も透き通るほど白い。顔も驚くほど綺麗、いや、美しいといった方がいい。


 自分でも驚くほど息が詰まった。


「食べますか?」


「い、いえ、そんなつもりは!」


「ここのご飯女性には厳しいから遠慮しない方がいい」


「うっ……」


 やはりそうだろうな。ここのメニューなら昼の食事もあんまり良くないかもしれない。


「山羊肉のソテーとヒレカツ、どっちがいい?」


「ひ、ヒレカツで。お、御代は払います!」


「1000Mだけど?」


 また息が詰まっていた。


「俺、今金あるからいいよ。嫌なら貸って事でもいい」


「か、貸で、お願いします」


「そ、おばちゃん、ヒレカツひとつ」


「はいよ」


 すぐにヒレカツが出てきた。彼女の顔がパッと明るくなった。


「いただきます!」


 食べ方はとてもきれいで、上品で、なんていうか……。


「貸はどうやって返せばいいですか?」


「え?あー。一緒に戦うってのはどう?」


「良いんですか!?」


「え?なんで?」


「私、1日目街で友達と約束してたんですけど、すっぽかされて、ほかの人とやろうとしたんですけど、私、引っ込み思案で、で、もたもたしている間に出遅れて、夜型になってしまって、ずっとソロプレイが続いてて」


 なんだろう、この気持ち。


「俺もソロプレイだったからわかるよ。おかげで狼になれたんだけどさ」


「そうなんですか!?私も狼なんです!」


 プロフィール画面を出してきた。



名前 白雪

性別 女

レベル 10

類 哺乳類

種族 オオカミ

個体名 なし


「白雪、さんっていうんだ」


「あ、自己紹介し忘れてました!私、姫…じゃなくて白雪です!16歳です。よろしくお願いします」


「白雪さんってこういうゲーム初めて?」


「いえ、2種類目です。前のゲームはいろいろあってやめちゃって、まさか2種類目でこんなことになるとは思っても見なくて」


「はは、俺も似たようなもんだ。友人のところで片手で足りる程度しかVRもやったことがないけどね。MMOの方も少しならやったことがあるぐらいだし。俺も自己紹介しておく。名前は冬。年は……こういうゲームでは普通言わないんだけど16」

 

名前 冬

性別 男

レベル 22

類 哺乳類

種族 オオカミ

個体名 ハイイロオオカミ


「え!?22!?すごい!」


「ああ、今はソロプレイじゃなくて先生たちと一緒にプレイしてる」


「先生?ですか?」


「ああ、リアルの先生じゃなくて、ゲームに詳しいから俺が先生って呼んでる」


「ああ、なるほど!その先生って人はすごい人なんですね」


「別に敬語じゃなくていいよ。年も一緒だし、こういうゲームでは年齢なんかは気にしなくていい」


「う、うん」


「とりあえず、行くか」


 なんだろう、今までにないぐらいドキドキしている。これっていわゆる『恋』?


『ぴりりり!ぴりりり!』


「な、何!?」


 完全に油断していた。情けない。


「あ、コールですね」


 このゲーム、フレンド登録した人とならメールか電話ができる。電話をコールと呼んでいる。


「もしもし」


『私だ、村雨だ』


「あ、先生?」


『先ほど君の御用達の店に行ったんだが、君がナンパをしていたので我々は気を使って店の外にいるんだが』


「なんで!?てかそういうんじゃない!」


『違うのか?なんにしてもその子もいるならボスにもう一度挑まなければいけないんだから早く行くべきじゃないか』


 このゲームはパーティ全員がボスを倒していなければポータルは使えない。


「ご、ごめんなさい」


「大丈夫?顔色悪いよ?もしかして、彼女?ですか?」


「いや、先生。なんか怒ってる」


「わ、私のせいですかね?」


「いや、たぶん俺が待たせすぎたんだと思う」


 とりあえず店を出よう。


 先生、怖いです。


「君は、このお金をためないといけない状態でヒレカツを食べ、あまつさえ他人に奢るなんて何を考えているんだ?」


「えっと、なんか人ごとに思えなくて」


「君がヒレカツを食べた理由だ」


「えっと、おいしそうだったから……」


「よし、君一人で阿修羅面樹と戦いなさい。我々は見ているだけだ」


 完全に怒っておられる。


「あの、私のせいで」


「君は悪くない。むしろメンバーが増えるのは良い事だ。単純にこの男がダメなだけだ」


 ちょっ!俺の評価を下げないで!


「因みに君の戦い方を聞きたい」


「えっとソロで魔法使いです」


「なるほど、新戦力だな。家の魔法使いはバフ使いだから助かる」


「だよね!」


「調子に乗るな」


 先生、怖いです。



「まずは参餓狼だ。彼女と二人で戦え。彼女の実力が知りたい。彼女が死ぬことがあったら君の装備すべて売ってもらうからな」


「ちょ!!?」


 俺へのプレッシャー半端ない。先生たちはパーティを解除した。


「えっと、頑張ります!」


 可愛いな!ちくしょう!


「さぁ、出てきたぞ!俺が敵を引き付けるから魔法で倒してくれ」


「はい!ライト!」


 ライト?聞いたことがないな。ってまぁ、攻撃魔法はフレイしか知らないんだけどね。


「ぎゃん!」


「大ダメージだな!?」


 体力の8割を持って行った。


「相性が良かったんだよ。光の魔法だから、アンデット系にはダメージが大きいんですよ」


「でももう一度撃つのに10秒かかるんです。別の魔法は使えるので平気です。ライツ!」


 俺の相手していた2匹のオオカミに4割ほどのダメージ。もう一体はアイテムをまき散らしながら消えた。


「回転打撃!」


「ギャン」とオオカミが鳴いて骨が砕け、地面に落ちた。


「すごい……!」


「いや、白雪の方が強いじゃん。魔法強いな、やっぱ」


「わ、私、INTとDEXとAGIだけしかないからすごく打たれ弱くて」


「俺、すごくINT低いからさ、すごいと思う」


 戦う彼女は神々しかった。


「あう!?レベルが上がった!?」


「そりゃそうだろうな。ここ二人ならレベル11~12でも普通にレベル上がるからな」


 ドロップアイテムを回収した。


「よし、次は阿修羅だな」


おまけ

村雨「このままだと君も弾けるか、爆ぜるかしないとダメになるな」

冬「おまけのネタを引っ張ってらっしゃる!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ