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17話 木工と変態

木工と変態



 今、先生たちともう一回ボスに挑んでいる。金稼ぎと経験値稼ぎが目的だ。


『愚か者め!』


「ふむ、Aアッパー、Dアッパー」


 虎鉄さんはすごかった。何がってそりゃこのバフである。


 アッパーは全体系の強化。アップだと単体の強化。


「冬、行け」


 そして、村雨先生との連携である。


「虎鉄、君のおかげでこいつの視界をさらに狭くできるよ」


 手数が増えた事は大きかった。


 はじめ、この戦いには大きな問題があった。




「夜のボスを倒しに行く?正気か?」


「すでに一度倒しているから大丈夫」


「違う。俺の光合成は日中しか使えないんだぞ?」


 あ、そっか。


「まて、光合成とはそもそも水と光と二酸化炭素があればできるんだろ?なら……」


「まさかこんな手で光合成をさせるとは驚いたよ」


 ランタンをぶら下げていた。つまり、常に光と、適量の水と二酸化炭素があればいいんだ。


「連打!連打!連打!この武器いい!」


 新しい武器、餓狼の爪。レア武器で攻撃+20だ。


「確かに、攻撃速度のアップにこの攻撃力、あの変人只者ではないな」


「まぁ変人だからな。まぁ武器職人としての腕は確かだが、な」


 おかげさまでパワーアップしました。



「レベル、1しか上がらなかったな」


「アイテムと金は溜まったが、な」


 ボスを倒した後アイテムを拾ったがやはりシードはなかった。ボスドロップじゃないのかな?


「あれは道じゃないのか?」


「え?」


 ボスを倒した後にできたのは道だった。


「この道を行けばどうなるものか……」


「良いから先に行くぞ」


「ちょっ!まって!」


 あわてて追いかけた。


 

 見つけた道は森を抜ける道になっていた。


 眼前に広がったのは高層ビルが崩れたものだった。


「なにこれ」


「ふむ、おそらくその昔、アースに栄えた文明だろう。そこに村を造った人がいるみたいだな」


 村雨先生が獣人形態を解いた。


「NPCか。なるほど、ここは安全地帯だな」


 虎鉄先生も解いた。


 村雨先生の獣人形態は体の一部に金属の鱗が出る。爪がとがるが牙はそこまで大きくない。目つきが鋭くなり、赤になる。

 

 虎鉄先生は髪の毛が針のようになり、手が木になる。皮膚は固いのに体は撓るように柔らかくなる。爪も針のようにすることができる。


 俺も合わせて解く。


「ポータルを探そう」


「ポータル?」


「ああ、街と街を繋ぐゲートの事だ」


「行ったことがある場所のみという限定つきで、な」


 虎鉄先生が指を刺した場所には円形状の光が出ている機械がおかれていた。


「一度戻るぞ。この木材を誰かに何とかほしい」


「確かに、結構な幅とってる」


 このゲームにも一応、ポーチとアイテムボックスが存在しているがポーチが20種類、アイテムボックスが500種類まで入る。がこの500種類というのはこのゲームでは少なすぎる。ドロップアイテムの量が多すぎる。


「木工というスキルがあったからもしかしたらそういう人がいるかも」


「なにその言い方。もしかしてまた」


「不遇だ」


 やっぱり。


「木材は植物系のモンスターか森か山の採取系アイテムだけしかない。それを加工するとなるとかなり作れるものの幅が少ない」


 作り甲斐がないという事か。


「不遇と言えばあいつだな」



「ん?木工屋の知り合い?馬鹿野郎!」


 嬉々のところに来たがどうやらダメみたいだ。


「いるに決まってるだろ!なんでもっと早く言わない!面白そうじゃねーか!」


 よかった。相変わらずの変人で。


「で、どこにいる?」


「昼は森か露店、夜は爆睡。ちょっとメールしてみる」


 今は朝の8時。あと2時間は活動できる。


「あ、帰ってきた。いま近くまで来てるって」


「マジで?」


 5分後、俺たちは後悔することになる。



「あ、あいつだ」


 現れたのは黒のコートに身を包み、顔をマスクで隠し、背中に大鎌を背負った人だった。


 第一印象、死神。


「……」


 こちらを見るとプルプル震えている。


「おい、どうしたんだ?」


「美男美女キターーーーーー!!!!」


 何が?


「オオカミプレイと忍者プレイに破戒僧プレイ!キタコレ!忍者のお姉さんの太ももはぁはぁ……イケメン狼ゴチです!破戒僧のいぶし銀、マジエロス、じゅるり」


 あ、ダメだ、こいつ。


「おい!嬉々!お前こんな上玉隠してたの!?なんで報告しないんだよ!死にたいの!?」


「昨日知り合ったばっかりのやつをお前に教える義理はない。でも面白そうだから紹介した」


「あざーす!嬉々さん、マジ神っす!はぁはぁ!」


 もうだめだ、こいつ。


「切ってもいいか?」


「バフは俺がかけよう」


「先生たち、我慢して。とりあえず、木工屋なんだろ?」


「腹に据えかねる」


「とりあえず交渉が終わるまで待ってください」


「ん?何?もしかして、仕事の依頼!?珍しい、お客さんだ!」


「あんた生産職なんだろ?」


「ああ、そうだよ」


「なんでそんな武器を抱えているんだ?」


「そりゃあ、これで採取したり戦ったりしないといけないからな」


 植物系は斬撃に弱い。ゆえに鎌なんだろうけど。


「不遇武器だよな?」


 このゲームかなり産廃が多い。作っておいて使えないのが異常に多い。


「単純に使いにくいって言われているが、使う人によってはかなり強い、らしい。実際使っている人は少ない。私も使っている人は初めて見た」


 先生の話では突きや斬撃が普通のモーションが優遇されている大剣やほかの接近戦武器と違うらしくそれが使いづらいらしい。


「強いから問題ないんだ。で、あんたらは何を造ってほしいの?」


「いや、木材の使い道が解らないんだ。作れるものを教えてくれ」


「ああ、いいよ。まずは単純にロッド、魔法に使われる奴だな」


「それはうちにも卸してもらってるぞ。隠し武器に必要だからな」


「あとは木刀、侍なんかが買っていく。侍にはなかなかない打撃武器だからな」


 みんなある程度打撃と斬撃を併用しているようだ。


「でもメインは家具かな。インテリア用に作っている」


「でも置くところがないだろ?」


 俺の言葉にため息が周囲から漏れる。


「君は本当に何にも知らないな。いいかい?このゲームにはマイルームというものを購入するシステムがある―――――」


 先生の話では自分用の部屋がお金を出して買うか借りられるらしい。家具を置いて楽しんだり、店にしてアイテムを売ったり、ギルドとして使ったりと活用方法がいろいろあるらしい。


「なるほど、わかった。自宅ができるわけだな」


「まぁ、おおむねそうだ。だが我々はそれを借りる金もましてや買う金なんて存在しない」


 それはそうだろう。家を一個作るのに金が必要に決まっている。


「冬、お前、ギルド作れよ」


 虎鉄先生が言う。


「君がギルドマスになってくれれば私たちは喜んで参加するよ。この家づくりはその足がかりだ」


「俺が、ギルドマスター?」


 俺は人の上に立てるような人間ではない。


「ああ、君ならそれができるともう。もちろん私たちも手伝う」


「俺たちは口下手だからな。そういうのには向いていないからお前がなれ」


 けどこの人たちと一緒なら、なんとかなりそうと思ってしまっている自分が怖い。


「解ったよ先生。俺、やるよ。いっぱい迷惑かけると思うけどやるよ」


 決意した以上はやり遂げる。揺るがない。そして俺が一番にロキをぶん殴る。


「で、どうやればいいんだ?」


「木製アイテムをこいつに売りつければいいだろ。かなりの金になるはずだ」


 虎鉄先生。笑顔が怖いです。でもいい提案だ。


「いや、これだけのアイテムを集めてくれればそうでもないよ」


 ずらずらとアイテムの一覧がかかれたメモを見せられた。


「これだけのアイテムがあれば家が建てられる」


 思わず、目を疑った。


「なぁ、先生、今この固い木どれだけ持ってる?」


「うむ、私は4個だな」


「俺は、2個」


「じゃあ、俺が4つだから後20個か。遠いか?」


「こっちの阿修羅の木は?」


「同じく4つ」


「三つ」


「ならちょうど10だからOK。折れない枝は5持ってるけど、先生たちは?」


「2」

「3」


「これはあと20か」


「樫の木は?」


 などと大利ない材料を上げていく。


「あとは、ウッドジュエルが3か」


「持ってる?」


「持ってない」


 明らかにレアアイテム。


「あ、俺一個持ってる」


「2回挑んで1つ出ているのか」


「いや、明確には5人分だ」


「いや、まて!1つでも出てるだけで奇跡なんだぞ!?てかそんなものどこで」


「夜の森ボスを倒した」


「馬鹿か!平原でも夜のボスなんてレベルが15はないと倒せないんだぞ!?昼のボスですら攻略されていないのにそんな馬鹿なことあるか!」


「昼の平原ならこっちの先生が倒してる」


「うむ、苦戦はしたが、一人でも倒せた」


 虎鉄先生スゲー。


「夜も三人なら余裕があった」


「ありえない!」


 変態はそう叫ぶ。心の中でお前の方がよっぽどありえないけどなと叫ぶ。


「夜なんて中ボスすら現在攻略不可の状態なんだからな!」


「ごめん、倒した。これ、その証拠」


 武器を見せる。


「鑑定!ぎゃ!本当に狼だ!」


「俺が作ったからな」


「嬉々!てめぇ!知ってたなら言え!」


「言っても信じないだろ?それに面白くない」


 この変人の基準は面白いか面白くないかしかないらしい。


「なにこの人たちすごい……」


「ていうかこのアイテム何に使うんだ?NPCに渡すと作ってくれるの?」


「え?家建てるに決まってるだろ?」


「は?」


「だから家を建てるんだよ!材料が少ないからあんまりいいのは建てられないけど……」


「ちょっと待て、家を建てられるのか?」


「ああ。建てられるけど?」


「何当然みたいに言ってんだよ!」


「このゲームでは2種類のアイテム作成方法があるんだよ。コマンド画面から作る方法と、手で作る方法。基本的にみんな前者で作ってるわけだが、手で作るとなると何でもありなんだ」


「ならなんでみんな手で作らないんだ?」


「手で作るってことは工程をある程度再現しないとダメなんだ。みんなその手間を惜しんでる。まぁ、中には手作りする変わり者もいるが、な。家は手で作らなくても作れるはずなんだけど、今の俺のスキルだと手作りでないとダメなんだ」


「あんたは何で家を建てられるんだ?」


「土木建築業者だったから家を建てられる。いや、もっと言えば宮大工だった時もあるからかな」


 宮大工とは神社など釘を一切使わずに建物を建てる大工の事だ。


「この世界に釘がなくても家なら建てられる。だから土地代だけは自分たちで何とかしてくれ」


「そういえばあんたの名前聞いてなかったけど?」


 その言葉に反応してプロフィール画面を開いた。



名前 モック

性別 女

レベル 20

類 鳥

種族 野鳥

個体名 アカゲラ


「「「え、えええええええええええええええええええ!!?」」」



区切りが悪く、いつもより長い、のか?

長ければ区切りをつけて分けようかな…

アドバイス求む!


おまけ

モック「木工屋のモックです」

冬「ああ、ガチャピ〇の相棒の……」

モック「それはムッ〇だ!」

村雨「ああ、シ〇がき隊の……」

モック「それはもっ〇ん!ていうかせめて現代っ子にもわかるネタで頼む!」

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