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16話 村雨と虎鉄

村雨と虎鉄


「いらっしゃい!また食材を持ってきてくれたのかい?」


「今日はこっちのやつ」


「あら、そうなの?何を持ってきてくれたの?」


 昼間の食材もあったので期待が上がる。


「夜の食材と昼の食材だね。これであんたも夜の食材が食べられるようになったよ。昼の食材が何個か手に入ったから新しい料理が作れるわ」


「おお!金が増えた!」


「よかったね、先生。じゃあ、戻ろう」


 先生は金銭とアイテムを受け取り店を出た。


「じゃあ私は金を渡してくる」


「じゃあ、ここで飯食ってる」


「すぐに戻る」


 先生が走って行った。


「おばちゃん、蝙蝠の姿焼き」


「はいよ」


 さっと出てきた蝙蝠の丸焼きを丸かじり。美味い。完全に癖になっている。


「おい、お前、さっきの女と知り合いか?」


 え?だれ?


 見上げると短髪で厳つい男がいた。防具は和装で武器は杖?あれだ、わかりやすく言うなら髪の長いお坊さんだ。


「知り合いかと聞いている」


 ものすごい剣幕だ。


「えっと、こっちで知り合った人です」


「……あいつに惚れていないだろうな?」


「え?えっと、すごい人だとは思いますが惚れてはないです」


 男は深くため息をつくと、杖を下げた。


「そうか……ならいい」


「ちょっと待ってくれ、あんたはなんなんだ?先生の知り合いか?」


「先生?」


「ああ、さっきの人。俺が勝手にそう呼んでいる。ユーザー名は村雨」


「やはり村雨か」


 どうやら知り合いのようだ。


「し、しばらくしたら戻ってくるけど、待つ?」


「ああ、そうさせてもらう」


 なんでこんなに気まずいんだよ。


「待たせたなって……虎鉄か?」


「やっぱり村雨だな」


「なんだ、虎鉄、君も冬くんの知り合いだったのか」


「今知り合った」


「ん?そうなのか?」


「ちょっ。二人だけで会話しないで、情報の開示を頼む」


「ああ、すまない。こいつは虎鉄。私のリアルでの友人だ」


「虎鉄だ。さっきはすまない」


「彼は冬くん。オオカミのプレイヤーだ」


「オオカミ?三次じゃないか。もうレベル20なのか?」


「いや、まだなんだけど……」


 一通り説明した。



「なるほど、それで一緒に行動していたのか」


 虎鉄の表情は安堵したように見えた。


「ああ、おかげで防具と武器を新調出来た」


「そうか、それなら俺もそいつに武器を造ってもらう。場所は?」


「ああ、そこの角を曲がってしばらく行けば裏路地がある。そこに彼がいる」


「いってくる」


 そういうとこちらに一礼をして店を出て行った。


「……」


 先生はずっと虎鉄の方を見ていた。


 あ、この二人。


「二人は付き合ってるの?」


「な、何をバカな!」


 先生は持っていたコップを粉砕した。


「いや、だって、あった時、なんだかうれしそうだったし」


「ば、ばかばかしい、あ、あいつはただの、幼馴染で……その、えっと」


 あーリア充爆ぜろ。


「わかった、わかった。付き合ってないけど、好きなんでしょ。で、虎鉄は自分の事を何とも思ってないとか思ってるんでしょ?はいはい。お決まりですね」


「き、君はエスパーか?」


 誰でもわかるわ!


「戻った」


「は、早いな」


「そうか?すぐそこだったぞ?」


「で、虎鉄さんはずっとこっちでプレイを?」


「いや、北の平原のボスを倒したからこっちに来た」


「一人で倒したの?」


「ああ、オープンベータの時から比べて強くなっていたから驚いたが何とか一人で倒せた」


「因みに、レベルは?」


 虎鉄は説明するのが面倒になったのかステータス画面を開いた。



名前 虎鉄

性別 男

レベル 16

類 樹木

種族 松

個体名 なし



「レベルは私と一緒か」


「武器は杖?」


「いや、仕込み刀だ」


 不遇と言われていた隠し武器か。


「先生、なんで隠し武器が不遇なの?」


「隠し武器が不遇と言われいるという理由は3つ。一つはその諸さ。一般的な武器の半分しか持たない。コスト的に釣り合わないと言われている」


 確かに修繕にもお金はかかるし、強化にもお金はかかる。


「もう一つはそのMPの消費の多さ」


「ん?あくまで武器なんだよね?じゃああんまり関係ないんじゃ」


「隠し武器は隠した武器と隠される側の武器の特性を使える。たとえば虎鉄みたいにワンドに刀を隠していると刀としての特性だけじゃなく、ワンドの特性INTの増加も得られる」


「おおすごい!なんで不遇?魔法も使えるんでしょ?強いじゃん」


 虎鉄が首を振る。


「隠し武器の魔法はスキルを使うのに倍消費するか威力を半分にする。俺のワンドだと攻撃力アップ、防御力アップさせる魔法を使える。けどMPの消費を倍にする。刀の方もスラッシュを使うのに5でいいのに10も消費する。まぁ、威力が減るよりましだがな」


「けどレベルはかなり高いよね」


「それは植物系のパッシブスキル、光合成のおかげだ」


「光合成か。確かにあれなら何とかなるな」


「どういうスキルなの?」


「日が出ているなら微量にHPかMPを回復を選べる」


「なるほど、で、MP回復にしていると」


「その通りだ」


「で、最後の一つは、作るのが難しい」


「あ、なんとなくわかる。材料いっぱい必要そう」


 虎鉄は頷き説明を続けた。


「隠し武器はその生産製の悪さからほとんど作られていない。正直、既製品だけで戦うのは骨が折れる」


 既製品は存在するが生産品の方がやはり付加などがある分優秀な武器ができる。しかもオリジナル性も格段に上がる。


「そういう意味ではあの嬉々とかいう武器職人はありがたい」


「ああ、我々の救世主だな」


 虎鉄さんもなんだか先生っぽいな。


「虎鉄先生と呼ぼう」


「む、俺もか」


「私はどうなるんだ?」


「村雨先生になる」


 脱先生というわけにはいきません。



村雨と虎鉄の見分け方

村雨は

主語が私

真面目

説明が多い


虎鉄は

主語が俺

短文

めんどくさがり。

自分のこと以外はあんまり解説しない。村雨の補足がほとんど


おまけ

冬「爆ぜろリア充!弾けろリア充!バニッシュメントディスワールド!」

村雨「中二病か!」

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