14話 戯言と取得
戯言と取得
『あちゃ~。やられちゃったか。君、強いね』
この不愉快な声。ロキだ。
『まさかそのレベルで阿修羅面樹をたった二人で倒してしまうなんて。しかも初見で、だ』
「うるせぇ、出てこい!ぶん殴ってやるから。で、12時間ほど説教だ。てめぇに道徳の何とやらを教えてやるからよ」
『ごめんね、殴られるのも説教も、道徳も嫌だから引きこもってることにするよ。君たちの脳とつながったサーバーにね』
ケタケタと笑う声が響く。
『でもその強ささすがお父さんたちに好かれているだけのことはあるね』
「お父さん?」
『ああ、そうさ。僕を生み出したお父さん。僕を監禁したお父さん。ボクヲケソウトシタオトウサン』
「完全にイってやがる」
『ははは!ありがとう!』
「ほめてねぇよ、出て来いって」
『いやだよ。代わりに君たちにいいことを教えてあげるね。シードという名前の付いたアイテムを手に入れたら大切に持っておくといい。きっと良い事があるよ』
「フェアじゃねーな」
『そうでもないよ。君らは阿修羅面樹を倒したんだから。ちょっとしたボーナスだよ』
「ふむ、まぁそうかもしれないな」
「先生、納得しないで」
『まぁ、最低でもまだあと20はボスを倒さないとダメだからね。これぐらいのボーナスはあげないとね。おっとほかのところでもボスが倒されたみたいだから行ってくるね』
「ああ、出てこないなら消えろ」
つれないな~と言いながら彼は消えていった。
とりあえずアイテムを回収。
「シードあった?」
「なかった」
「まぁそんなに簡単にあるわけないよな」
まぁ、あの口ぶりなら確実にレアアイテムだろうしな。
「まぁ、ゆっくり探すか」
「こいつの素材、木材か」
固い木、阿修羅果実、阿修羅の木、折れない枝、ウッドジュエルなど、木材しかない。
「うむ、さすがに木材を扱うものはワンド系しか見たことがないな」
「一度街に戻ろう。もう爪がダメだ」
使いまくった酷狼の爪はもうガタが来ていた。
「私も刀が限界だな」
あれだけ切りまくったら仕方がないか。
「あと、眠い、腹も減った」
もう活動限界です。
いつものところで飯を食って爆睡後、昼の三時に先生と合流して
「というわけで、武器の修理をお願いしたい」
アテナのところにやってきたわけだが。
「無理」
即答かよ。
「なんでだよ。生産職だろ?」
「いい?生産職って言っても私のスキルは防具生産、装飾、刻印、付加とか防具に関係ある物しか作れないの」
「私はてっきり武器職人を紹介してもらうのかと思っていたのだが?」
「ああ、なるほど、じゃあ紹介して?」
「……はぁ、冬ってどうしてそんなに行き当たりばったりなの?」
「そういう血なもんで」
二人ともあきれていた。
「そうね、武器職人なら一人知り合いがいるけど、相当な変人よ?」
「なんでもいいよ。作ってくれれば」
「じゃあ紹介するけど……。まぁ変な人間同士気が合うかも」
「先生、言われてるぞ」
「君の事だと思うぞ」
「冬の事よ」
そんな馬鹿な。