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第24話 春の陽気にはお茶を一口

二回目の茶道部のお話。

今回は部長が登場するのと、奏の知られざる能力の一部が……



では、始まります!!






 



 

第24話 春の陽気にはお茶を一口


 



 


 

ポカポカと春の陽気が柔らかく辺りを包む放課後。


陽射しが窓から射し込む茶道部の和室。

副会長の高等部一年、高峯日向と同じく一年の霧生奏がちゃぶ台の前に座っており、それに向かい合うように中等部三年の東雲藍と月ノ宮静が座って談笑していた。


コーンと、今にも鹿威しの音が鳴り響いてきそうな和の空間に四人の女達。

何とも美しい光景ではないか。



「いや〜、今日もポカポカ陽気。ええ天気やな〜」


「そうですね。

春って感じですよね」


日向が窓の外、小さな庭を眺めて口を開くと藍が同意するように頷いてみせた。


「そんな陽気でも私達は室内で怪しく密談をする陰湿集団……」


「ってこら!

誰が陰湿集団や!

清く正しい撫子魂を持つ茶道部やっちゅーねん」


一体どこから取り出したのか、柄杓(ひしゃく)でコーンと奏の頭を叩いてツッコミをいれる日向。

奏は『痛い……』と頭を擦りながらも無表情で自前の白い手帳に視線を落としている。


「奏先輩、その手帳って一体何が書かれているんですか?」


「………知りたい?どうしても?」


静は不意にそう尋ねてみた。奏は手帳からスッと黒い瞳を覗かせる。


「え、えっと……ちょっと気になっただけなので無理にとは……」


的確に静の瞳を捉えてくる視線に、彼女は少しだけたじろいでそう答えたが……


「良いわ……特別に48ある秘密手帳の中の一つを教えてあげる……」


「何で48やねん。どこの少年マンガや」


何故か奏は教えてくれると宣った。

日向のツッコミの通り、何故か48冊も手帳があると自称しているが定かでは無い。


「この手帳では無くて、こっちの手帳よ……」


奏はいつの間にか膝元にあった鞄から今の白い手帳とは異なる黒い手帳を取り出してみせた。


「これは……占いの手帳」


「占い、ですか?」


「そう……」


“占い手帳”称される黒い手帳をパラパラと捲りながら頷く奏。


「ここには、今まで私が持てる全てで分析してきた様々なタイプの人間の性格、思想、概念、姿勢、行動パターン、悩みetc.etc……それらを纏め、予想して占いが出来る手帳……」


「………」


聞いているだけで凄そうな手帳である。

中身を見せては貰えないようだが、奏の瞳に冗談の色は無い。というか最初から無表情なので冗談を言っていても分からないのだが。


「占いだから勿論外れる事もあるけど、その辺のインチキ占いよりは確実に当たるわ……」


「せやな。かなり的確な占いをしてくるで」


「どうしてそんな事が分かるのか不思議過ぎる占いもよくありますけど、ね……」


奏の言葉にうんうんと一人頷く日向と苦笑混じりの藍。


説明を聞けば何となく分かるが、インスピレーション等で導く占いでは無く何かしらの根拠を土台にしている分析占いのようだ。

藍の言う例外も多々あるようだが。



「やってみましょうか、静……」


「あ、はい」


スッと見据えられて姿勢を直す静。

奏は彼女の瞳を見つめた後、上から下まで視線を移動させて手帳に戻る。


「アナタは………そうね。恋愛占い……」


「え?」


ポツリとそう呟いた彼女に思わず目を丸くする静。

日向は面白そうだと少し身を乗り出していた。


「……難しい恋愛。

その想いはとても近い、だけど同時に果てしなく遠い。

とても難しい二人。

そしてとても複雑な環境」


「な……」


淡々と語る奏だが、静は咄嗟に手で口を押さえた。


「きっかけが必要。

少しずつ異性を意識させる事が大事。

遠回りに見えてそれが一番の近道。二人が乗り越えられるかは、神のみぞ知る…………以上」


パタリと手帳を閉じる奏。

かなり抽象的な内容だったが、静が唖然としている事からどうやらかなり的を射た結果だったようだ。


「なんやなんや、静ちゃん!!

自分、好いとる奴がおるんやな!青春やなー!」


「ふぇ!?」


日向が彼女の両手を包むように握った事でハッと我に返った。続けてみるみる頬が紅潮してゆく。


「同じクラスの男か?

それとも先輩?後輩?」


「まぁまぁ、日向先輩。

静ちゃん真っ赤ですから」


興味津々な様子の日向を落ち着かせようとする藍。


「わ、私にはそんな人なんて……!!」


日向の言葉に真っ赤になりながらふるふると、静はかぶり振るも……


(自分の気持ちに素直になる事……恋愛という概念における鉄則……)


「………」


いつの間に隣に移動してきたのか、耳元で囁かれる奏の言葉に何も言えずに真っ赤なまま俯いてしまう。


(でないと誰かに取られてしまう……後悔は先にたたない)


(………)


本当にこの人は何者なのだろうか。

具体的過ぎる且つ的確な占いの結果に、そう思わずにはいられない静。



「あ、あの……そういえば」


「「?」」


彼女は自身でも分かるくらいにあからさまに話題を反らす事に。

まだ若干赤らんだ顔のまま、日向達に向き直る。


「今日はまだ、皆さんでお茶を飲んでいませんよね?」


「ああ、今日は部長が来るからな。

それを待っとるちゅー訳や」


「あ、そうなんですか……」


「うん、もうすぐ来ると思うよ」


日向と藍は互いに顔を見合わせてそう返した。

どうやら今日は部長が来るようだ。


「部長って、どんな方なんですか?」


話を反らすだけのつもりだったが、本当に気になったので尋ねる静。


「せやな〜

何というか、ふわふわした感じの人やな。ちょっと危なっかしいというか……」


「いつもニコニコしてて、とっても優しい先輩だよ」


「……癒し系」


三人はそれぞれ部長に対するイメージを口にする。

総合すると、いつも微笑んでいるふわふわとした感じの癒し系の部長。


(もしかして……)


そのイメージにピッタリ当てはまる人物を静は知っている。

彼女は口を開こうとしたちょうどその時……


「あらあら、もう皆揃ってるのね〜」


後ろの扉が開いて、おっとりとした口調と共に女子生徒が和室に入ってきた。


「あら?静ちゃん?」


「や、八雲先輩……」


その女子生徒は座っている静を見て立ち止まる。

そう、入ってきたのは生徒会副会長の七瀬八雲だったのだ。


「なるほど〜

新入部員って静ちゃんの事だったのね」


ニコニコと頬に手を併せて言う彼女。

日向が立ち上がって八雲の隣へ。


「何や、八雲姉さんと知り合いだっんやな」


「姉さん……?」


「せや。

あ、ホンマの姉さんやないけどウチは“姉さん”って呼ばしてもらってるんや」


隣に手を向けて日向は一言。


「七瀬八雲姉さん。

代々続くウチら茶道部の部長やで」


「よろしくね〜」


和室でひらひらと手を振る八雲のやけに印象的だった。



 



・・・・・・ 


 



「なるほどな〜

静ちゃんは生徒会やったんか。だから八雲先輩とも知り合いなんやな」


「はい」


八雲を加えた五人は再びちゃぶ台を囲んでいた。

静が生徒会に入っているという訳で、八雲との繋がりの理由にも一同は納得。


「静ちゃんにはとっても助けてもらってるわ」


「ふふ、先輩は時々ふわふわと流れて行っちゃいますものね」


八雲はのほほんと笑みを作り、藍はクスリと笑ってみせた。


「この調子で気になる彼にも積極的に……」


「なってません……!!」


文庫本を片手にポツリと呟く奏を慌てて止める静。


茶道部の和室は麗らかな陽気も相まっていつも以上に和やかな雰囲気だ。



「でも、今日は本当に良い天気ね〜

あ、そうだわ」


八雲は窓の外を眺めると何かを思い付いたように手をポンと打ってみせた。


「こんな日は和室じゃ無くてお外でお茶を飲みましょう」


「せやな、それはええ考えやで八雲姉さん!」


「私もそう思います」


彼女の提案に日向と藍も笑顔になって同意する。

しかし奏はふるふると首を横に振った。


「私は江戸時代から生きる夜○人……

日の下には出られない……」


「どこのso○aやねん!!」


「冗談……」


スパーンと日向の振るった柄杓が奏の頭を叩いていた。彼女は頭を擦りながらパタリと文庫本を閉じる。


「外、ですか?」


一方、静は不思議そうな表情で四人を交互に見る。

外でお茶会とは一体どういう事なのか。


「そう。お外でのんびりお話しましょう。

きっと楽しいわよ〜」


「大丈夫だよ。ついてくれば分かるから」


ニコニコと優しく微笑む八雲に続いて、藍がそう言ってくれたので静は頷いて後に続く事にするのだった。




・・・・・




放課後の中庭は少しずつ傾き始めた日の光が木々から射し込んでいる。


そんな中庭で、ふわふわとしたフェルトのような赤いマットを敷いて、大きな赤い番傘のようなものが立てられた下に五人は座っていた。


「春と秋で天気が良いときはお外でお茶をしたりもするのよ〜」


「小さな野点……みたいなもの」


戸外でお茶をたてて振る舞う催しを野点(のだて)というらしい。

大きな番傘は野点傘、マットは毛氈(もうせん)という名前だそうだ。


日向と奏は慣れた手付きでお茶をたてて、皆の前に茶碗を並べていく。


「それから……」


そして八雲はニコニコと何処からともなく和菓子の乗った漆塗りのお皿を幾つも取り出してみせた。


(毎回思うんですが、八雲先輩は何処からお菓子を出しているんでしょう……)


(それは永遠の謎だね……)


静と藍は部長が取り出してくるお菓子について、顔を見合せていた。

元々いる部員でもやはり謎のようだ。


「じゃあ、今日も茶道部を始めるわよ〜」


お茶もお菓子も用意出来た所で、八雲のおっとりとした声で一同はゆっくりと抹茶を一口。


茶道部が始まった。


 


「まぁ、奏ちゃんの占いね。静ちゃんの相手が気になるわ〜」


「いません……!!」


ニコニコと微笑む八雲に真っ赤になって否定する静。


「日向先輩も占って貰ったらどうですか?」


「日向はやっても無駄。毎日仏滅」


「何でやねん!!」

藍の提案にふるふると首を振る奏。

すかさずスパコーンと柄杓の鋭いツッコミが入る。



こうして、今日も茶道部の放課後はまったりと過ぎていくのだった。



「明日の天気は……曇り後晴れ。降水確率10%、予想平均気温18度」


「それは占いや無くて天気予報やろ!!」


「明日の汐咲競馬場第三レースは頭から15番、63番、24番」


「それも占いと違うっ!!」


そして奏の占い(?)はバリエーションが豊富だった。



 

最近思ったのですが、自分のお気に入り小説の欄を見たら“妹”や“兄妹”と名の付く小説がズラリと。


あれ?いつの間に?

あれ?これってシスコン?

あれ?自分ってこんなキャラ?


駿

「ふっ、そうか……

ついにお前も俺達の聖地に足を踏み入れたわけだな。

ようこそ、神聖妹同盟(エデン)へ……」


嫌だぁぁぁ!!

俺はこんな奴にはなりたくねーーっ!!




と、まぁ冗談はさておき。

週一の更新といっていましたが、ゴールデンウィークは暇だったので連日更新に致しました。


明けたらなるべく週一を目安に、早ければ四日に一話。

遅ければ10日に一話。

平均で週一、にしたいですね。



次回はもう出来上がっています。月ノ宮本家に関わる話です。

本編でゴールデンウィークの予定がたちます。



では、次回もよろしくお願いいたします!!

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