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第11話 春は何だか時間の経過が早く感じるよね



すみません。

予定していた学園外の話は次回になりました。



今回は普通に学校です。


後、タイトルは言い訳とかではありませんよ。

小説内の時間を省いている言い訳とかでは無いので、多分(笑)



という事で、何の変鉄も無い第11話ですがどうかよろしくお願いします!!

 


 

 

朝。

本日も晴れやかな青空が広がり、そこに白い雲が浮かぶ朝。


汐咲学園の正門には登校してくる生徒達がぞろぞろと入っていく。


「兄さん、お弁当です」


「ああ、ありがと」


その正門の側につい今しがた登校してきた駿と静の姿。

静は青い包みを彼に向けて手渡していた。

それは彼女が作ったお弁当だ。駿は受け取ると笑顔でお礼を言う。


正門を入ると右に高等部校舎、左に中等部の校舎だ。

なので二人はここで一旦別れる事になる。


「それじゃ、またお昼にな」


「はい。授業中に眠らないで下さいね、兄さん」


またお昼に会うと今朝約束したのだろう。

二人は教室に向かうためにそう言い合ってお互いの校舎に足を進めた。




「ふわぁ……」


ガヤガヤと賑やかな一年A組の教室に入るや否や駿は大きな欠伸を一つ、目尻には涙が溜まる。


「よっ、おはよ。

眠そーだな」


「お〜」


とろとろと机の前まで歩いていくと、斜め上の席の相也がそう声をかけてきた。眠そうな駿と違って彼は朝から元気そうだ。


「さて、朝っぱらからこんな話すんのもアレなんだけどよ……」


「ん?」


かと思うと、やや真面目な表情で口を開く相也。彼はその顔のまま教室の黒板の脇に貼ってあった時間割表に目を向ける。


「今日の一時間目の現国、宿題あったよな?」


「あぁっ!!

そうだった……忘れてたぁ……」


昨日の国語の授業の宿題。それを聞いた途端、駿は苦い表情になり額に手を当てる。

一時間目という事は今から急いでやっても間に合わない。


「ふっ、やはり忘れていたか。予想通りの反応だ」


「え?」


しかし、相也はニヤリと口元を緩めてみせた。

予想通りの反応とは一体どういう事なのかと首を傾げる駿に、彼は一枚のプリントを突き出してみせた。


「実は俺も忘れていたんだが、コイツのおかげで何とか難を逃れる事が出来たのだ」


「それは……?」


彼が見せたのは駿達が出された国語の宿題のプリントだ。綺麗な字でしっかりと答えが埋められている。

しかし……


「田中……?」


名前の欄には見知らぬ人の名前が書かれている。

これは相也の宿題では無いようだ。


「そう。これは他クラスの奴のだ。今朝、こっそりそいつから拝借してコピーしてきた。

実行時間僅かの一分さ!」


(それは色々とヤバいんじゃないか……?)


グッと爽やかに親指を立てる相也に若干呆れた様子の駿。

社会に出たら立派な犯罪になるので気を付けましょう。

とはいえ……


「このままだとセンセーに怒られるぞ。転校してきたばかりでそれはマズいだろ?

だから、今回はこれを使って乗り切ろうぜ。

そいつには後で上手く説明しとくからさ」


「………そうだな。

今は頼るしか無い、か」


今はこの危機的状況を乗り切る事を考えよう。

今回は駿も“模範回答”を使い宿題に取りかかる事にする。



「ほぅ……」


「「!?」」


が、二人のすぐ後ろから低いそんな声が聞こえてきた。ビクッと肩を震わせて振り返るとそこには……


「私の前で不正行為の算段とは、いい度胸だな」


「「………」」


絶対零度の視線を二人に向ける紫だった。

肩には道場


「「あ、はははは……」」


「ふっ……」


二人は何とか誤魔化そうとひきつった笑みを浮かべるも、彼女の冷たい微笑の前にすぐに沈黙してしまう。


そんな訳で、色んな意味で賑やかな朝になったとか何とか。




「おや?

もう授業が始まるのに、相也と駿は既に就寝タイムですか?」


「「………」」


後から来た悠一は机の上に突っ伏した二人を見て、不思議そうに首を傾げるのだった。




 




 

第11話 春は何だか時間の経過が早く感じるよね

 




 




キーンコーン……

三時間目が終了し、お昼休みの始まりを知らせるチャイムが響く。


「よーし、ようやくお昼だ〜」


教卓から先生が出ていった途端、相也はグッと両手を伸ばしてグテーと顔だけを後ろに向ける。


「悠一、駿、今日も学食にすっか?それともパン買って教室にする?」


彼はお昼をどこで食べるのか後ろの席の二人に尋ねる。


「あー、悪い。

俺は昼約束があるんだ」


「約束?」


しかし駿は申し訳なさそうにそう言うと、学生鞄から青い包みを取り出して立ち上がる。

その様子を見て相也はきょとんと首を傾げた。


「ああ、今日は静と一緒にお昼食べるって約束してたから」


別段隠す事でも無いのでさらりと口にする駿だったが……


「お前ぇ!!

何て羨ましいお昼にしようとしてるんだーーっ!!」


「のぉ!?」


それを聞いた相也はガタッと椅子から勢い良く立ち上がり叫び声をあげた。


「静ちゃんと二人でご飯なんておまっ!!

って事はそれも静ちゃんの弁当か?」


「あ、ああ。そうだけど……」


「かーーっ!!

何て羨ましい奴!!

羨まし過ぎっつーか替わっくれ!!俺と思い切りぶつかって精神を入れ替えよう、ほらっマンガみたいに!!」


異常なテンションの相也に肩を掴まれてブンブンと揺すられる駿。

彼は駿と静に会って間もないが、その状況が一般男子にとってどれだけ羨ましい状況かは分かる。

まぁ言っている意味が途中からめちゃくちゃだが。


「はいはい、そこまで。

ミヤミヤが困ってるでしょー」


「痛っ!?」


パコッと軽い音と共に相也は頭を叩かれた。

見ると丸めた紙を右手に持った晴香がやって来る。


「せっかくの兄妹水入らずの時間を割いたらダメだよ。だからしのっちは学食ね〜」


「は、離せ天城ー」


「ダーメ。

お貸した金半分で許してあげてるんだから、何か奢りなさいよね」


晴香は彼の襟を掴むとスルスルと駿から引き剥がして引きずっていく。

因みに貸したお金はまだ返していなかったようだ。


「ううっ、あんまりだ……片や俺はいつも通り学食でしかも奢らされ、片や駿は可愛い妹とイチャイチャとお昼を……」


「いや、そういう訳じゃないから」


自分の席まで戻された相也は天井を見てそうな事を嘆いた。

取り敢えず駿のツッコミは届いていないようだ。


「おやおや、晴香さんにしては珍しく正論ですね」


「珍しくってどーゆう意味よ!」


「ご想像にお任せします」


すぐ後ろの席の悠一はクスリと可笑しそうに言う。

勿論、すかさずそれに反論する晴香だが彼はさらりとかわして続ける。


「それより、待ち合わせをされているならそろそろ行かれた方が良いですよ」


昼休みが始まってそろそろ五分が経つ頃だ。

そろそろ出ないと静を待たせてしまうかも知れない。


「ああ、そうだな。

それじゃ後で」


「うん。また後でねー、ミヤミヤ!」


駿がそう言って片手を上げると、晴香は大きく手を振ってそれに応えた。



「さ、行こっか二人とも」


「う〜……

あれ?神代が居ないぞ?」


駿が教室を出ていったのを見送ると、晴香は二人に声をかけた。

立ち上がった相也はふと、一番後ろの空席に気付く。


「あ、ゆかりんなら部活。お昼の練習、お弁当持って出ていったよ」


「は〜、大変だな剣道部も」


そんな感想を洩らして、三人は教室を後にした。

因みに、余計な時間をくったので学食は込み合いパンを買って再び教室に帰ってきたという。





本日は済んだ青がどこまでも広がる快晴。

中庭は特に日当たりも良く、麗らかな春の陽気にほんのりと微睡み(まどろみ)を誘うような暖かさに包まれている。


(結構沢山の生徒が外でたべてるんだな……)


中庭を歩く駿は青空を見上げてふとそんな事を思い浮かべる。


実際周りを見回してみると、仲良く並んでパンを食べている女子生徒達やお弁当片手に談笑し合う男子生徒達、更には寄り添い合うカップルの男女までいた。


普段からある程度はいるのだろうが、今日はその数も顕著なようだ。

この陽気の為か、特にカップルの割合が多い気がする。


(だから全然羨ましくなんかナイカラナ)


誰に向かって思っているのか一人で勝手にふるふると首を振る駿。

後半が思い切り片言だ。



「あ、居た居た。

おーい静!」


中庭を少し歩くと、新緑の生い茂った木を囲むようにある綺麗な円状の椅子に座っている静を見つけた。


直接日の光が当たる訳ではなく、木の葉からは木漏れ日が射し込む落ち着けそうな場所だ。


「あ、兄さん」


彼女は駿に気付くと立ち上がって相好を崩した。

春風に制服の胸元のリボンと下のスカートがヒラリと揺れる。


「悪い、待たせたか?」


「いえ、私も今来た所ですから」


駿は彼女の側までやって来てそう声をかける。

静は軽く首を振ると、二人はゆっくりと椅子に腰を降ろした。


その木を囲むこの椅子には他に座っている生徒はおらず、二人だけという事になる。

といっても、周りには生徒達がいるのだが。



「今日は良い天気、格好のお弁当日和って感じだな」


「ええ、そうかもしれないですね」


青い包みを膝の上に置いて春の空を見上げる駿と静。

時折吹く風に乗る桜の花びらが綺麗である。



「それじゃ、静の世界一のお弁当を食べますかっ」


「大袈裟なんですから兄さんは」


彼は包みを解いてお弁当を開けた。

勿論、相変わらずのシスコン発言を忘れずに。


「うん、美味い!!」


「まだ食べてないですよ?」


「静のお弁当だぞ?

食べなくても分かる。

絶対に美味しい!!」


「もう、兄さんったら」


かと思ったら食べてもいないのに確信するように頷く駿。

そんな彼を見て少し照れたように頬を染めて微笑む静。

そして勿論、お弁当を口にした彼は『美味い!!』と感激したりするのである。




「しかし、ホントに今日は人が多いな〜

春の陽気に誘われてって奴か」


「カップルの方も多くいらっしゃいますね」


「全くけしからんな!勉学を励む場所である学校を何だと思っているんだ!」


一時間目から宿題を写そうとしていた奴が何を言う。


「クスッ、“羨ましい”って顔に書いてありますよ」


「いやいや、全然全くこれっぽっちもそんな事はナイヨ?」


可笑しそうに微笑む静に明らかに目を泳がせて返す駿。

その表情からも分かる通り、全く説得力が無い。



「ですが、その……」


「ん?」


静は急に頬を赤らめて俯くと、小さな声でもじもじと口を開く。


「今の私達って……そ、そういう風に見えるんでしょうか……?」


そういう風とは、今の話の流れ的に中庭にいたカップルの事だろう。


「静?」


しかし、かなりか細い声だったので彼はよく聞き取れ無かったらしく隣の静の顔を覗き込む。


「な、何でもありません!!」


「?」


彼女はそう叫ぶと真っ赤になった顔を慌てて反らす。

その様子に再び首を傾げる駿。


「と、とにかく早く食べてしまわないとお昼休みが終わってしまいますよ、兄さん」


「あ、ああ。そうだな」


静の言葉通りお昼休みはもう半分くらいは過ぎているだろうか。


「だったら早く食べて、後は静に寄り添う時間にするかっ!!」


「そ、そんな事こんな所でしません!!

もう、兄さんのばか……」


こうして、駿は兄妹仲良くお昼という幸せな時間を過ごしていった。




・・・・・・・






「ほーうーかーごー!!」


「煩いですよ相也、周りの迷惑と自分の存在意義を考えて下さい」


「それかなり酷くない!?」


チャイムが校舎内に鳴り響き、生徒達が待ちに待った放課後がやって来た。


相也も両手をグッと伸ばして喜びを表現するが、後ろの悠一にバッサリと切り捨てられる。


「ま、それはともかく。

放課後だし、早速遊びに行こーぜ!」


彼はニコッと笑うと駿と悠一に向けてそう言ってみせる。


「遊びにって、何処に?」


「そうだな〜」


駿の問い掛けに相也は考えるように顎に手をやり……


「駿ってこの街に来たばかりだろ?

だったら無難にショッピングモールをぶらぶらとかどうだ?」


そう提案してみせた。

無難という言葉からも分かる通り、この街の学生は学校帰りにショッピングモールに寄ったりするのが定番のようだ。


「ショッピングモールか、良いかもな。

そういや、静も行ってみたいって言ってたし……」


「お、だったら静ちゃんも誘って行こう!

悠一も行くだろ?」


「ええ、良いですよ」


駿は乗り気なようで、静も誘えたら誘おうという事に。

悠一も今日の放課後は平気らしく、大丈夫だと了解した。


「天城と神代も行く?」


「あ、ごめん。私はちょっと用事があるから。

また今度ね」


続けて尋ねる相也の言葉に晴香は手を顔の前で振ってみせた。

そうして、彼女は教室を後にする。


本日は用事があるので断念、しかし紫は違うようで……


「放課後の部活も休みだし、私は大丈夫だ。

というか、ちょうど今日行こうとしていたんだがな」


「よし、じゃあ一緒に行こー」


彼女は大丈夫のようだ。

元々放課後にショッピングモールに行く予定があったらしい。



(取り敢えず、静に行くかどうかメールするか)


駿は携帯を取り出すと、簡単に文字を打つ。


『帰りに悠一達とショッピングモールに行く事になったんだけど、静も行くか?』


それを送信ボタンで送信して、携帯を閉じるとポケットに入れた。



四人は各々鞄を手に教室を後にして、廊下を歩いていく。


と、ポケットから振動。

先程送ったメールが返ってきたようだ。



『偶然ですね。

実は私も柊奈ちゃんとモールに行く約束を先程したんです。

ご一緒してもよろしいですか?』


なんと、彼女は柊奈と行く予定があったらしい。

恐らくこうメールしているという事は、柊奈にも了承はとっているのだろう。


駿はその旨を相也達に伝えると、勿論オーケーの返事が来たので大丈夫だという返信をしておく。

因みに待ち合わせ場所は学園の正門に。



「そうか、月ノ宮には妹がいたのか」


「ああ、後で紹介するよ神代」


四人は他愛ない会話を交わしながら校舎を出て、正門に向かうのだった。








悠一

「すみません、前回の予告では放課後の話だと言ったのですがどうやらそれは次回になりそうですね。

今回は学生にありがちな朝と、駿と静さんのお昼でした」


駿

「つーか、この小説って一日経つの長くね?

もう13話になるのにまだ四日目だろ?」


もみじ

「ダメだよ駿君。

そこは今、作者さんも気にしてるデリケートな部分なんだから」


悠一

「毎回区切る部分が微妙だったり、終わりが中途半端だったり、脱落文が異様に多いのも気になりますね」


もみじ

「だからダメだって。

作者さんのライフはとっくにゼロだよ?」


駿

「ゼロと言わずもうマイナスとかになって欲しいですね」


悠一

「全くですね。

一次創作をやるならもう少ししっかりとした……」


もみじ

「はわわっ、ではでは次回予告だよ。

終わりでもあった通り次回はショッピングモールに皆で出掛けるんだね!」


駿

「でも、モールって一体どんなトコなんでしょう?」


悠一

「それを次回説明しつつ、話を進めていく予定なんですよ」


もみじ

「そーゆ事!

じゃあ、また次回だよ〜」


悠一

「よろしくお願いしますね」




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