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第10話(おまけ) 女の子は弱点とかあった方が可愛いって誰かが言ってたような……



タイトル通り、第10話のおまけ話です。


この話ではあのキャラの弱点が?


では、始まります!!





「ふぅ……」

 

夜。

月ノ宮家の自室で、駿は窓を眺めながら息をついた。


(今日も色々あったなぁ……)


いつも通り妹に起こして貰い、いつも通り彼女の手料理を食べる朝だったが。

静の友達になった柊奈に思わぬ形で再開したり、自爆して静に置き去りにされたり、気さくな相也と出会ったりと最近変わりつつある朝で……


昼はまた、相也、悠一、晴香、紫達と学食の説明やオススメを聞きながら賑やかに過ごした。

まぁ、若干空気が凍ったりしたが。


放課後は静と共に、悠一に連れられ生徒会室へ。

そこで天然系の八雲と出会ったり、出迎えてくれたもみじから衝撃の提案をされたり、最後は楽しく生徒会室でお茶会をば。


そして何だかんだで生徒会に入る事になったりと……


(今までとは、随分違った日常だよなぁ……)


たった一日を思い返すだけでもこれ程色々な出来事。

今まで自分が過ごしてきた日々とは大きく異なるとしみじみ思う駿。


「ま、本家にいた時は自分が学生だなんて考える暇すら無かったからな……

次から次へと、色んな場所に連れてかれては……」


口にしてみて思わず苦笑してしまう駿。

それは懐かしむような笑みでは無く、困ったような何処か複雑な表情だ。



「………お」


カチッと時計の針が動く音がする。

目をやると時刻は既にすっかり夜になっていた。

窓の外に広がる空には星も出始めている。

そろそろ静が作ってくれる晩御飯の時間だ。


(結構ボーっとしてたみたいだな……

静を手伝ってこよう)


駿はそう考えると机から離れて立ち上がる。


あの後、生徒会でのお茶会を終えた駿と静が自宅に帰ったのは一時間くらい前だった。

そして静は夕飯の準備に、駿は自室に戻り授業の復習をしようとノートを開いたまでは良かったのだが、いつの間にか考え事をしてしまっていたのだ。

なので結局授業の復習は出来ていないのだが……


(復習はまた後で……)


学生にありがちな考えを浮かべながら、彼は静を手伝う為に自室を後にしようと……



「きゃあっ!!」


「!?」


悲鳴。

女の子の悲鳴が下の階から響いてきた。


「静!?」


それは紛れもなく静のものだ。

聞き間違える筈が無い。

駿は一瞬目を見開いたかと思うと、次の瞬間には走り出していた。


二階の廊下を駆け、階段を一気に下り、リビングに飛び出してきた。


「静!!」


そう叫んでリビングを見回すが姿は見えない。

ならばとそのままキッチンに向かうと……


「兄さん!!」


「のわっ!?」


何と静が彼にいきなり抱き着いてきたのだ。

ギュッと、それはもう密着した状態に。


あまりに突然の事に間抜けな声をあげてしまう駿。

ふわりと感じられる静の良い香りに、それ程大きいとは言えないまでも確かにある胸の柔らかな感触に思わずドキッとしてしまう。


(って、いかんいかん!!

妹に対して何を考えてんだ俺はぁ!!)


彼は慌てて心中で思い切り首を振る。

しかし、当の静はというと……


「に、に、兄さん……!!

ご、ご、ご………」


「ご?」


必死にキッチンの奥の方を見ないようにギュッと抱き着きながら指差していた。

駿も落ち着きを取り戻して視線を向ける。


「おぉ?」


彼女の指す方向の床。

そこには黒い物体がコソコソと動き回っていた。


主に台所や暗い場所に生息し、誰もが忌み嫌う生き物……ゴキブリだ。


(なるほど……一番苦手だったな)


先程の悲鳴の理由が分かり彼は一人頷いた。

静は腕の中で目を閉じて震えている。


(怖がる静も何だか可愛い……じゃなくて、取り敢えず逃がしてやるか)


駿は動き回るゴキブリを見て息を一つ吐くのだった。



・・・・・・・



「もう大丈夫だって。ゴキブリは外に逃がしたから」


「本当ですか……?」


「本当だって」


キッチンに出現した黒い悪魔は駿が外に逃がした。

だが、脅威が去った後も静は彼に抱き着いたまま。

まだ怖いのだろう、彼の言葉に恐る恐る顔を上げる。

目には若干涙も溜まっていたり。


そんな彼女に駿はもう一度“大丈夫だ”と伝える。



「それに、さ……

いつまでもこの状態って訳にもいかないだろ?」


「………」


頬を掻きながら言う彼の言葉に静はきょとんとした表情に。そうして自分の現状を確かめる。

駿に抱き着いていて色々と思い切り密着しているという……



「ーーーっ!!」


彼女は一気に真っ赤になると、駿から離れて声にならない悲鳴のようなものをあげた。


「いや、あの、落ち着けって。な?」


「ーーーっ!!」


そんな様子を落ち着かせようと駿は近寄ろうとするが、静は更に真っ赤になってふるふると首を振る。




こうして、月ノ宮家の晩御飯は結構遅れたという。







相也

「くおぉぉぉ!!

羨まし過ぎるぞ駿のヤロー!!あんなおしとやかで可愛い妹に抱き着かれるなんてぇぇ!!」


悠一

「そういえば、駿は学校でも晴香さんに抱き着かれてましたね」


相也

「交代!!これはもう選手交代だ!!」


悠一

「……はい?」


相也

「不遇な俺を主人公に交代してくれ!!

駿は罰としてサブキャラに交代!!」


悠一

「冗談ならもっと笑える事を言って下さいよ。

大体何ですか、罰って」


相也

「抱き着かれてばっかりで羨ましい駿には罰が必要なんだよーーっ!!

なぁ、皆もそう思ってる筈だ!!

ほら、今画面の前で頷いた君!!」


悠一

「………次回予告に行きますね。

次回は放課後が少し違ったイベントになるようです。学外と言えば良いんでしょうか。

この街の事をまた少し知って頂けると思いますよ?」


相也

「誰かっ!!

俺にも春をーー!!スプリングカムズを!!」


悠一

「やれやれ……

次回もよろしくお願いいたします」





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