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第9話 お昼休みと放課後はイベントの宝庫



今回で二日目を終わらせようとしましたが、分量的にキツイのでもう一分割しました。


今回はお昼と放課後前半のお話です。


しかし書いている自分が言うのもなんですが、僕も静ちゃんみたいな妹が欲しい……!!

駿が羨まし過ぎるぞコノヤロー!!


コホン、という訳で今回も始まります!

 

キーンコーン……


三時間目終了と共にお昼休み開始を知らせるチャイムが校内に鳴り響く。


「今日はここまで。

しっかりと復習しておきなさいよー」


教卓では紗香が教科書をとんとんと揃えてそう言うと、そくさくと教室を出ていった。

ここからは皆大好き、お昼休みだ。


「ようやく終わったー、やっとお昼だよミヤミヤ〜」


「うわっ!?」


先生が出ていった途端、晴香が半ば倒れ込むようにして隣の駿に抱き着いてきた。

やっぱり柔らかい彼女の感触に彼はまた赤面しつつ間抜けな声をあげてしまう。


「ミヤミヤ〜、私もうダメ。学食まで」



「出来るかっ。いいから離れろって……!!」



「嫌だ〜、もう動けない〜」


彼は離れろと言うが抱き着いたまま情けない声を出す晴香。

どうやら授業の疲れがピークに達したようだ。


「ってかさっきから色々当たってるから、色んな意味でマズイから。とにかく離れなさいって……!!」


それでも彼も一応男だ。

このままだとそういう意味で色々とマズイので何とか離れさせる。無論周囲の目的にもよろしくない。


「う〜、意地悪。私とミヤミヤの仲なのに〜」


「どんな仲だよっ」


口を尖らせて意味深な言葉を口にする晴香にすかさずツッコむ駿。

周りが聞いたら明らかに勘違いしてしまいそうだ。


「まぁまぁ、取り敢えずお昼ですから学食に行きませんか?」


「そうそう、昼と言えば学食だろーさ!早く行かねーと席無くなっちまうし」


すると、隣から悠一と相也が二人にそう話しかけてきた。

彼等の言う通り、既に昼休みは始まっている。

もうそろそろテラスが込み合ってくる頃だ。



「よし、そうだね!

お昼とデザートで」


「もう動けないんじゃ無かったのか」


「いーの!

臨機応変な対応が大事なんだよ」


「それ使い方間違ってるからな」


急に元気になった晴香の言葉に呆れたように返す駿。学生とは総じて授業から暫く開放されるお昼休みは元気になる習性がある。


「ゆかりんも行こー?」


「ああ、少し待ってくれ」


彼女は斜め後ろの席の紫に話しかけた。

紫は先程の授業のノートをまとめているようで、サラサラとペンを動かしている。

しっかりと授業を受けて復習の為のノート作りをしているのだろう。


「誰かさんとは大違いですね」


「どーゆう意味よ!ゆっ君」


「意味が分かっているから反応してるんですよね?」


晴香を見てにこやかにそう言う悠一に彼女は反論するように反応する。

今の彼の言葉や先程の様子から、晴香はあまり勉強が好きではないようだ。



「では、行くか」


「よし!そんじゃ、学食にいきますか〜」


彼女がパタリとノートを閉じて立ち上がると、相也の能天気な声と共に五人は教室を後にした。




 




 

第9話 お昼休みと放課後はイベントの宝庫

 




 




お昼休みの学食は案の定混雑し始めていた。

高等部や中等部の生徒達が続々と集まり始めてる。

とはいえ……


「まだまだ座れる席はありそうだね〜」


「本格的に込み合うのはもう少し時間が経ってからだからな」


晴香と紫の言う様に、まだ学食には生徒が集まり始めたばかりなので席は空いている。


「では、僕が皆さんの注文を受けますから先に席をとっておいて下さい。

駿は初めてでしょうから、僕と来て貰えますか?」


「ああ、分かった」


悠一の提案で彼と駿は券売機の方へ、他の三人は席取りに向かう事に。


「じゃ、俺はきつねうどん!」


「私はオムライスとショートケーキ!」


「私は日替わり定食だ。

よろしく頼む」


順番に相也、晴香、紫が注文を言って席を探しにいった。

残った駿達は券売機の方に移動する。


「駿は何を食べますか?」


「そうだな……俺は、カツ丼かな。あと卵スープを……」


駿はそう言いながらお金を入れて券売機のボタンを押す。


「では、僕は……」


悠一は彼に続いて鯖味噌定食を選択していた。

そして相也達の頼んだきつねうどん、オムライス、ショートケーキ、日替わり定食を選択。

計八枚の食券を持って受付にそくさくと向かう。


「はい、カツ丼に卵スープ、鯖味噌にきつね、オムライス、ショートケーキに日替わりね。


それじゃ少し待って横で貰ってね」


窓口のおばちゃんに言われて、厨房でせっせと働く職員さん達の隣を移動し受け取り場所へ。


「はい、どーぞ」


「あ、ども……」

「ありがとうございます」


ささっと注文したご飯の数々を渡された。

二人はそれを半分ずつトレーに乗せて学食内を歩き始める。


「ホントだ、どんどん混んできたな」


「ええ、お昼はこのくらい時間から込み始めるんです。食べる時は、覚えていた方が良いですよ?座れなくなっちゃいますからね」


「ああ、そうだな」


周りをキョロキョロと見回す駿に悠一はトレーを持ちながら答える。

確かに生徒の数は先程より増え始め、もう少し遅く来たら座る席も少なくなってしまうだろう。


「おーい!

こっちこっち!」


二人がトレーを持って先に行った三人を探していると、右のテーブルの方からそんな声が聞こえてきた。

見ると立って手を振っている相也の姿が。


それに気付いた二人はそのテーブルに向かって歩いていく。


「お待たせしました」


「取り敢えず取ってくれ」


テーブルにトレーを乗せて各自頼んだ食べ物を持っていってもらう。

相也の前にはきつねうどん、晴香にはオムライスとショートケーキ、紫には日替わり定食(ご飯、味噌汁、しょうが焼き、サラダ)が並ぶ。駿はカツ丼と卵スープ、悠一は鯖味噌定食を前に席につく。。

大きな丸いテーブルを左から相也、紫、晴香、駿、悠一と囲んでいる並びだ。


「「「いただきます」」」


「「いただきまーす!」」


そんな訳で五人は各々、お昼ご飯を食べ始める。



「そういや、日替わり定食って何が日替わりなんだ?」


「そうだな。ご飯と吸い物は変わらず、おかずが毎回変わる定食だ。栄養バランスやカロリーがしっかり考えられた定食だな。

学食に来た時は大概これを頼む。とはいえ、私はお弁当の方が多いのだがな」


駿がカツ丼を食べながら尋ねると、紫がトレーを見せて説明してくれた。

なるほど、言われた通り栄養バランスがしっかりとした定食だ。

健康や栄養に気を遣う生徒には勿論、カロリーを気にする年頃な女子生徒達にも需要がありそうだ。

因みに、紫は普段はもっぱらお弁当らしい。



「いやいや、一番良いのはこのきつねうどんだって!安いし量もあるし、学生の味方っしょ!」


「なるほど。

それはありがたいな」


「もち!

うどん系は基本的に安上がりだぜ」


相也はどんぶりを持って何故か自慢気に力説。

だが彼の言う通り、安くて量があるならばかなり需要はありそうだ。

それにうどんはお腹にもたまりやすいので腹持ちが良い。


「僕は定食系をオススメしますよ。紫さんの言う通り、基本的に定食はバランスがとれていますから。

部活とかに入られている方は特にそういう意識をされるようですね」


「そっか。それも大切だな」


食事において何より大切なのは栄養バランス。

部活や運動を特に重視している生徒の中にはそういった考えを持つ生徒も多かったりする。


皆それぞれ、お昼御飯にも色々な考えがあるのだなと一人頷く駿。


「って、ちょっと!

私の意見はスルー?」


「ああ、オムライスは美味いよな」


「もー!ミヤミヤの馬鹿!」


晴香の意見だけ彼はテキトーに返したので彼女は口を尖らせてふるふると首を振る。


「そうじゃ無くて、この学食はデザートも人気なんだよ」


「デザート?」


「うん。昼休みだけじゃなくて普通の休み時間も利用する子が多いでしょ?

そういう時に食べるの。

その辺のお店やコンビニより安いからね」


「へぇ……」


喫茶店のような利用の仕方という事だろう。

吹き抜けのテラスも洒落ているので納得できる。

無論、晴香のように昼食後のデザートとしても食べる生徒は沢山いるが。



そんな訳で、駿は学食の様々な話を聞きながらお昼を食べていく。

と、晴香が隣を指差して口を開いた。


「あ、ゆかりんまた椎茸残してる」


「……これはどうしても苦手なんだ」


晴香の言葉通り、紫のトレーの小皿には椎茸だけが残っている。

意外や意外、何と彼女は椎茸が嫌いだという。


「椎茸はとっても栄養あるんだよ。美味しいし」


「それは分かるが……美味しいという表現には納得出来ない」


残った椎茸を見て苦い表情の紫。

そんな彼女に向けて晴香は一言。


「でも、好き嫌いしてるといつまでも成長しないよ、胸とか」


「……」


次の瞬間、ピシッと周りの空気に亀裂が入るのを駿は感じた。

そしてテーブルが異様な緊張感に包まれる。

晴香だけはきょとんとしているが。


「い、いやー美味しいなきつねうどん!

やっぱ、お昼はこれだよなー」


「冷や汗が凄いですよ、相也」


相也は空気を変えようと無理矢理笑って、悠一は何故か楽しそうに箸を進めている。


「………」


駿は察した。

紫にこの手の話題はタブーなのだと。



こうして、一行は平和なお昼を過ごした。





・・・・・・・





時刻は四時。

帰りのHR終了のチャイムが校舎内に鳴り響いく。


「はーい、それじゃ今日の学校は終わり。

皆気をつけて帰るのよ」


一年A組の教室では紗香の声と共に皆が帰り支度を始めていた。


「よっしゃー!

来たぜ放課後!」


そんな中、相也は勢いよく立ち上がってガッツポーズをしてみせた。


「早速この後どっか遊びに行こーぜ!

駿の転入祝いって事で、モールでも」


彼は悠一と駿に振り返って元気よくそう言ってみせた。モールとはこの街にある巨大なショッピングモールの事だろう。


「あ、悪い。

今日は予定があって。

何か知らんが生徒会室に呼ばれてるんだ」


「用事?」


「ああ、せっかく誘って貰った所済まない」


「そっか〜、そりゃ残念。そんじゃまた今度だな」


駿は申し訳無さそうにそう言うと、相也は頷いて両手を頭の後ろで組んでみせた。やはり彼はさっぱりとした性格だ。


「取り敢えず、校舎を出るまで一緒に帰りましょうか」


そんな訳で悠一、相也、駿の三人は途中まで一緒に帰る事に。

因みに晴香は用事らしく、紫と一緒に少し前に教室を出ていっていた。



「あ、悪い。

俺ちょっとトイレ行ってくる」


「おー」

「ええ」


教室を出ると、駿が教室のすぐ側にあるトイレに向かった。

相也と悠一は教室の前で彼を待つことに。


「あの……」


「「?」」


と、二人に女子の声がかかってきた。

見ると、そこには中等部の制服を着た女子生徒がいた。長く綺麗な紺色の髪に、整った可愛らしい容姿と澄んだ青い瞳。

まごう事なき美少女だ。


「お、おお……!!」


相也は彼女を見て間抜けな声をあげる。

勿論、その可愛らしさと美しさにだ。

周りを歩いている男子生徒も見慣れない美少女に振り返ったり、『あの可愛い娘誰?』ひそひそ話をしている。


そんな周りの視線にどこか不安そうな女子生徒。

恐らく下級生が一人、高等部の校舎にいて不審がられていると思ったのだろう。本当は全く違うのだが。



「おや?

静さんではありませんか」


「あ、相良先輩」


しかし、悠一は軽く会釈して声をかける。それに対して彼女の方もペコリとお辞儀を返した。

そう、その女子生徒とは静の事であったのだ。


「お前……!!」


「?」


相也は慌てて彼の首に腕をかけると、後ろを向かせる。そして顔を耳元に寄せた。


(悠一君んん!!

あの可愛い娘誰!?俺にも是非紹介してっつーか、あんな女の子生徒会にいた!?)


(あ、相也はまだ知りませんでしたね)


(中等部の娘だよね。どこで知り合ったの?もしかして彼女か!?お前ぇ、俺達のリア充なんかぶっ潰せの誓いを破る気か!?もしそうならぶっ殺すよホント!!)


(違いますよ、ていうかそんな誓いはした覚え無いですから。

彼女は……)


こそこそ話の限界の音量で話す相也に悠一はため息混じりに首を振って答えようとすると……


「あれ、静?」


「あ、兄さん」


トイレから戻って来た駿がそう声をかけたので、彼女は安堵したように相好を崩した。

体制を戻して、相也が首を傾げたので……


「彼女は月ノ宮静。俺の妹だ」


「い、妹?」


「ああ」


駿は手を向けて紹介したので相也は驚いたように二人を交互に見て、今度は天井を見上げて暫し考えると……


「俺は駿と同じクラスの篠田相也。

よろしくな、静ちゃん」


「あ、よろしくお願いします。兄がお世話になってます」


いきなりキリッと男前な表情を作って挨拶をする相也。静も頭を下げて微笑むと、丁寧に挨拶を返した。


(駿、お前にこんな素晴らしい妹がいたなんてな……

どうしてもっと早くに言ってくれなかったんだよっ!!)


(いや、お前と知り合ったの今日だからさ)


相也は彼女のしとやかさに感激したように肩を震わせると背を向けて駿にひそひそと話す。



「で、静さんは何でここに?」


「あ、お昼にもみじ先輩にお会いして、兄さんと一緒生徒会室に来て欲しいと言われたので」


「なるほど。お迎えですね」


どうやら彼女も生徒会室の話を聞いていた様で、兄が迎えに行くより先に向こうからやって来たようだ。


「では、早速生徒会室に行きましょうか」


「はい」


「駿、相也、行きますよ」


悠一、静に続いて駿と相也も廊下を歩いていった。

そうして高等部校舎を出た一行は、中庭で自宅に戻るという相也と別れて西側校舎に向かう。


「兄さん、今日は学食だったんですね」


「ああ」


学食の建物を通っている時に静が


「では、明日はどうしますか?明日からお弁当を作ろうと思ったのですが、学食が……」


「当然、お弁当で!!」


即答する駿。

コンマ一秒も無いだろう返事だ。


「でも、学食には……」


「問題ない。お弁当を持って学食に行けばいい話。

静のお弁当をとらないなんて兄の風上にもおけないからな!!」


彼は拳を突き上げてそう断言してみせる。

そんな様子を見てクスクスと可笑しそうに笑う悠一。


「大丈夫ですよ。学食は持ち込み禁止という訳ではありませんから」


そんな感じで三人は学食の建物から続く西側校舎へ。

階段を上がって三階の生徒会室の入口の前までやって来た。


「会長、お二人を連れてきましたよ」


コンコンとノックをして悠一がそう声をかけると、中から『はいはーい』と元気の良い会長の声が返ってきた。


「あ、悠君。

それに駿君に静ちゃん、待ってたよー!」


そしてすぐに扉が開き、ニコニコと笑顔のもみじが顔を出した。

駿と静はお辞儀をすると、悠一に続いて室内に入っていく。


「お邪魔しまーす」

「失礼します」


二人が生徒会室に入ると会長のもみじ、二人の前に入った書記の悠一、そしてもう一人……


「あらあら、初めましてのお二人ね〜」


「「?」」


長テーブルに座っていた女子生徒が紅茶のカップを片手に微笑んでいた。


「え〜と……」


彼女はゆっくりと席から立ち上がって、頬に手を当てて何かを思い出すように暫く天井を見上げていたが……


「ほらほら、自己紹介だよ八雲ちゃん」


「あら、そうだったわね〜」


ニッコリと微笑んで再び駿達の方に顔を向けた。


ふわりとウェーブのかかった柔らかい緑色の髪が腰の少し上まで伸びていて、綺麗な小顔に少し垂れ目で翡翠色の大きな瞳は優しく輝いている。

しかし目を引くのはそのスタイルだ。華奢な体つきに大きく出た胸、スカートから覗くスラリとした足。

恐らく学園でもトップクラスのグラマラス美女だ。


「………」


駿はにこやかに微笑んでいる彼女に不覚にも思わず見惚れてしまった。


「む……」


「い、痛っ!?痛たたた!!」


そんな彼の腕を静はギュッとつねる。

彼女の表情は拗ねたようにムッとしているが、駿は痛みで気付いてない。


と、ニコニコと微笑んでいた女子生徒は胸に手を当てて口を開いた。


「……え〜と、何を言おうとしていたのかしら?」


((ええっ!?))


かと思ったら再び頬に手を当てて天井を見上げる。

彼女のその反応に心中で転けそうになる月ノ宮兄妹。


「八雲先輩、自己紹介ですよ」


「あ、そうだったわ」


悠一の言葉に彼女は微笑んだまま両手を併せると続ける。


「私の名前は七瀬(ななせ)八雲(やくも)

もみじちゃんや悠君と一緒に生徒会をやっているの。

役職は………えーと、何だったかしら?」


ズルッとまた内心で転ける駿。

八雲は自分の役職を忘れてしまったようだ。

だがニコニコと柔らかく微笑んでいる。


「彼女はこれでも生徒会副会長です。生徒会役員のナンバーツーですね」


「あらあら、これでもなんて酷いわね〜悠君。

これでも仕事はしっかりやっているのよ」


悠一が役職を然り気無く毒付きで紹介したが、返したセリフとは裏腹に彼女は全く気にしていない様子。


「それで……お二人はどちら様かしら?」


八雲は顔を再び駿達の方に戻した。ニコニコとその表情は何を考えているのか分かりかねるが癒されるものがある。


「あ、えっと、俺は月ノ宮駿です!!

えーと、よろしくお願いします先輩!!」


何処かぎこちなくも声をあげで挨拶をする。

しかし表情だけは無理矢理格好良くしようとキリッとさせていて、まるで先程の相也と同じだ。


「私は妹の月ノ宮静です。すみません、早速兄がご迷惑を。よろしくお願いします先輩」


丁寧にお辞儀をして挨拶をする静。更にぎこちない兄の挨拶をしっかりとフォローする辺りは流石はしっかり者の妹だ。


「駿君に静ちゃん、覚えたわ。これからよろしくね〜」


普通、見知らぬ人間が生徒会室にやって来たら役員なら何故来たか不審がると思うのだが、八雲はそんな事は一切疑問に思っていないようで二人に向けて優しく微笑んでくれる。


「いえいえ〜、こちらこそ〜」


「兄さん……顔が緩んでます」


そんな彼女に駿はでれでれとだらしなく表情が緩んでしまっていたが、ジト目の静に指摘される。


「このかなりふわふわ〜とした彼女が私の友達で副会長の八雲ちゃん。これで駿君達には生徒会役員を全員紹介したね!」


と、もみじが八雲の両肩に手を乗っけてそう言ってみせた。

背丈が全然違うのでちょっとおかしな格好だが。


「え?この学園の生徒会って、三人だけなんですか?」


それは置いておいて、駿はもみじの言葉を驚いたように聞き返した。

そりゃそうだ。三人しかいない生徒会役員なんて聞いた事が無い。


「あ、その事で駿君と静ちゃんを呼んだんだよ〜」


もみじは人差し指を立てると二人の顔をグッと覗き込む。

そして……


「二人とも、生徒会に入らない?」


「「………え?」」


彼女の口からは予想だにしない言葉が飛び出してきたのだった。







八雲

「あらあら、ここは一体どこかしら?」


もみじ

「後書きだよ八雲ちゃん。今回は私達が次回予告の大役を仰せつかっているんだよ」


八雲

「まぁ、それは凄いわね〜」


もみじ

「じゃあ、今回のお話を踏まえて次回予告やっていこうか!」


八雲

「ええ、頑張りましょうもみじちゃん。

あ、でも……」


もみじ

「でも?」


八雲

「今回のお話って、どんなだったかしら?」


もみじ

「あはは……相変わらずだね。

まぁとにかく、今回はお昼と放課後の前半だったね」


八雲

「作者さんも本当は今回で終わらせるつもりだったらしいわよ〜

でも、残念ながら終わらなかったみたいね〜」


もみじ

「次回は生徒会と帰宅した後のお話だね。

一日が三話って言うのはちょっとかかり過ぎだと思うけど、仕方ないね」


八雲

「ではでは、次回もよろしくお願いしますね〜」



ふわふわ〜



もみじ

「あ、またふわふわとどっかに行っちゃった……」

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