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俺だけスキルツリーが生えてるダンジョン学園  作者: ファンタスティック小説家


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10/31

やわらかくなる

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【Status】

 赤谷誠

 レベル:0

 体力 100 / 100

 魔力 10 / 10

 防御 0

 筋力 30,000

 技量 100

 知力 0

 抵抗 0

 敏捷 0

 神秘 0

 精神 0


【Skill】

 『基礎体力』

 『基礎技量』

 『発展筋力』×3

 『かたくなる』


【Equipment】

 『スキルツリー』


━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━

【Skill Tree】

 ツリーレベル:1

 スキルポイント:0

 ポイントミッション:完了

【Skill Menu】

 『基礎体力』

  取得可能回数:4

 『基礎魔力』

  取得可能回数:5

 『基礎防御』

  取得可能回数:5

 『発展筋力』

  取得可能回数:2

 『基礎技量』

  取得可能回数:4

 『基礎知力』

  取得可能回数:5

 『基礎抵抗』

  取得可能回数:5

 『基礎敏捷』

  取得可能回数:5

 『基礎神秘』

  取得可能回数:5

 『基礎精神』

  取得可能回数:5

 『やわらかくなる』 NEW!

  取得可能回数:1

 『くっつく』    NEW!

  取得可能回数:1


【Completed Skill】

 『応用筋力』

  取得可能回数:0

 『基礎筋力』

  取得可能回数:0

 『かたくなる』

  取得可能回数:0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 マジでスキルの増加が止まらない。

 キモいクルミを食べてツリーレベルが上がったから変化があるとは思っていたが、まさかここまでイキイキとしやがるなんて。


 増えたスキルは『やわらかくなる』と『くっつく』。

 どちらも癖がありそうだな。それになんか弱そう……。

 これがツリーレベル1で取得可能になるスキルなのか?

 ステータスを上昇させるパッシブスキルではない分、できることは増えそうだが……正直ちょっとビミョいな。

 なんかもっと、こう、あるだろう? 具体的にはわかんないけど……普通の技みたいなのから取得可能になっていくというか。


「キモいクルミ2個で最初に取得可能になったのが『かたくなる』、その次が『やわらかくなる』と『くっつく』かぁ……」


 顎に手を当てて考えをめぐらせる。

 奇妙な感覚の正体を探っていると、ふと気がついた。

 もしかしたら、スキルツリーには個性があるのかもしれない、と。

 厳密に言えばキモいクルミはキモいクルミでも、キモいクルミAとキモいクルミBは内容が違うというのだろうか。


 ツリーキャットいわく、『血に枯れた種子(アダムズシード)』は大元の樹の一部だとかなんとかにゃんにゃん言っていた。

 大元の樹とやらは、すべてのスキルにアクセスできる樹だとか言ってた。種子はその一部。つまり、種子ごとに”含有されているスキル”が異なるのだ。


 おそらく俺がスキルツリーを生やした後、基礎系スキルが取得可能になったのは、ツリーキャットが最初に俺に植えてしまったという『血に枯れた種子(アダムズシード)』が基礎系スキルを含有していたからだろう。


「ツリーレベル準拠じゃなくて、あくまでキモいクルミ準拠だったか」


 この仮説ならはツリーレベル1で取得可能になっているスキルが『かたくなる』『やわらかくなる』『くっつく』という、ビミョい理由も説明できる。


 ビミョいスキルの詳細を見てみようか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『やわらかくなる』

アクティブスキル

触れた物がやわらかくなる

【コスト】MP10


脆さとはすなわちかたさでもある

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『くっつく』

アクティブスキル

触れた物にくっつくを付与する

【コスト】MP10


母親から引き離される赤子

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 見た感じなんとも言えないスキルたちだ。

 こいつらで戦えるイメージが湧かない。


 翌日。


「筋肉痛……気にならない?」


 ベッドから起きて、ロキソヌンを手に取った段階で気がついた。

 もしや体に鞭を打ち続けた結果、筋肉痛を超越したのか?


「あるいは体内でロキソヌンを作れるようになったか……?」


 今日は鎮痛剤を服用せず、晴れやかな気分で洗面所へ。

 相変わらず壊れている洗面台で本日のステータスを開いて、ポイントミッション『外周』が復活していることを確認する。


 今日は祝日であるが、特別授業がある。

 我々、英雄高校の生徒は通常の高校生が勉強する基礎科目に加えて、ダンジョンに関する勉強をしている。そのため、平日の授業だけでは授業時間が足りないのである。

 そのため、たびたび祝日や週末にも特別授業が用意されている。


 探索者概論の特別授業だ。髪の毛を明るいピンクに染めたちょっと痛々しい中年、小峰先生が気だるげに入ってくる。

 授業の終わり際、質問タイムが来たので、俺は抱えている疑問をぶつけることにした。


「小峰先生」

「お前か、赤谷。今度はどうした」

「探索者ってロキソヌンを生み出す器官を持っているんですか」

「お前は何を言っているんだ」


 相変わらず上手く伝わらない。

 俺は噛み砕いて言葉を重ねて説明した。


「要は筋肉痛が急におさまったという話か。元々、筋力ステータスには全身の筋肉痛の超回復の周期も短くする効果が確認されている。レベルアップをすることで自然と超人的な回復能力を備えるのは、だいたい筋力の効果だ。ああ、そういえば、技量が高いと肉体の回復能力も上昇するという話もあるな」


 そこで授業終了のチャイムが鳴った。

 いやはや、やはり小峰先生は知識豊富だ。

 なんでも答えてくれる。


 答えは筋力さんでした。やっぱり筋力さん最強では?

 おっと、いかんいかん、また筋肉に取り憑かれるところだった。

 気を抜いたらすぐにパワーしてしまう。というか、冷静になれ。これは技量くんの成果だろう。勝手に筋力さんの手柄にしてはいけない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【本日のポイントミッション】

  毎日コツコツ頑張ろう!

    『外周』


英雄高校の敷地を外周する 10/10


【報酬】

 2スキルポイント獲得!


【継続日数】12日目

【コツコツランク】シルバー

【ポイント倍率】2.0倍

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 夕方、俺は駆け抜けた。

 17時に走りはじめて、20時に走り終わった。

 所要時間は3時間……俺、はやくなってないか?

 合計50kmを3時間だから1kmあたり……だめだ、計算したら頭が痛くなってきた。知力あげようかな……。


 スキルポイントを2つ手に入れたので、早速、割り振ってみよう。

 寮に戻って、洗面所でスキルツリーを生やす。


━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━

【Skill Tree】

 ツリーレベル:1

 スキルポイント:2

 ポイントミッション:完了

【Skill Menu】

 『基礎体力』

  取得可能回数:4

 『基礎魔力』

  取得可能回数:5

 『基礎防御』

  取得可能回数:5

 『発展筋力』

  取得可能回数:2

 『基礎技量』

  取得可能回数:4

 『基礎知力』

  取得可能回数:5

 『基礎抵抗』

  取得可能回数:5

 『基礎敏捷』

  取得可能回数:5

 『基礎神秘』

  取得可能回数:5

 『基礎精神』

  取得可能回数:5

 『やわらかくなる』

  取得可能回数:1

 『くっつく』

  取得可能回数:1

 『飛ばす』   NEW!

  取得可能回数:1

 『引きよせる』 NEW!

  取得可能回数:1


【Completed Skill】

 『応用筋力』

  取得可能回数:0

 『基礎筋力』

  取得可能回数:0

 『かたくなる』

  取得可能回数:0


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 また増えちょりまるがな。

 NEW!は『飛ばす』と『引きよせる』ですか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『飛ばす』

アクティブスキル

手元の物体を飛ばす

【コスト】MP10


空を目指した兄弟

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『引きよせる』

アクティブスキル

手元に物体を引きよせる

【コスト】MP 10


運動法則を見つけよう

━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 これは相反する2つの属性の能力だな。

 『飛ばす』はちょっと強そうだ。

 物を飛ばしてモンスターに当てれば遠隔から攻撃できるんじゃないか?


「悩ましいな。選択肢が増えすぎて1日2ポイントでも足りなくなってきたじゃないか」


 有識者っぽさのあるツリーキャットがいれば相談したいところだが、昨日散歩に行ったきり帰ってこないので、自分で考えなければいけない。

 というわけで、ない頭を捻って考えた結果こうなった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【Status】

 赤谷誠

 レベル:0

 体力 100 / 100

 魔力 10 / 100

 防御 0

 筋力 30,000

 技量 100

 知力 0

 抵抗 0

 敏捷 0

 神秘 0

 精神 0


【Skill】

 『基礎体力』

 『基礎魔力』

 『基礎技量』

 『発展筋力』×3

 『かたくなる』

 『やわらかくなる』


【Equipment】

 『スキルツリー』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 今回解放したスキルは『基礎魔力』と『やわらかくなる』だ。

 本当は技量を足したいが、これからアクティブスキルを解放していくことを思えば、ここら辺でMPを一発伸ばして起きたかった。

 アクティブスキルは全部欲しいので、とりあえず取得可能になったスキルを順番にすくっていくことにした。『やわらかくなる』を取得したのはシンプルに取得可能スキルで一番古いからだ。


「スキル発動━━『やわらかくなる』」


 右手でそっと洗面所の扉に触れる。


「おお。本当に柔らかくなった」


 手でぐいぐいと扉を押してみる。いくらでも拳が沈んでいく。

 感触的には人をダメにするソファだ。

 あるいは粘性の高い液体を触っている感覚に近いかもしれない。

 揉み心地もなかなかいいぞ。柔らかくなるってこういうことか。


「これも10秒くらいで効果切れるのかな?」


 モミモミしながら待っていると、硬さが戻ってきた。

 効果が切れたかな。


「使う場面あるかな」


 頭をひねり考える。

 扉を見ているとあることに気づく。

 形状がちょっと変なのだ。俺の揉んだあたりだ。

 最後まで揉んでいたので、揉み跡がついたまま固まってしまったらしい。

 それを見てあることを思いついた。


「これはもしや……いや、しかし、今は実験できないな。MPの回復を待たねば」


 翌日。

 俺は早朝に飛び起きて、昨晩のうちに思いついた悪魔的な考えを実行するべく、鼻息荒く興奮したまま寮を飛び出した。

 向かう先は訓練棟だ。擬似ダンジョンでダンジョンポメラニアンに試してみたいことがある。俺の考えが正しければ上手くいくはずだ。


「ん」


 訓練棟に走り込もうとすると、ゲートの前で袴姿の少女にあった。

 可憐な少女である。艶やかな黒髪をひとつ結びにする姿には、和の美が凝縮されている。刀と白いタオルを手に、冷めた雰囲気を纏っている。いつも通りだ。


 志波姫神華。

 英雄高校最高の才能。

 持つ選ばれし者のなかでも、さらに特別に選ばれた者と呼ぼうか。

 あるいは入学から1ヶ月半が経ちすっかり定着したあだ名『氷の令嬢』の方が彼女のパーソナリティを端的に表せているかもしれないが。


「どうしたのそんなに鼻息を荒くして。発情しているの。警察を呼ぶわね」

「警察は学園に入って来れないだろ」

「試してみる? 志波姫家には不可能なことの方が少ないけれど」

「やめておきます」


 入学初日以来、顔が合うたびに警察を呼ばれそうになったり、斬られそうになったり、シンプルに罵倒されたりしております。俺、かわいそう。

 でも、仕方ないんだ。英雄高校では才能がすべてなんだ。

 彼女は本当の意味での選ばれし者。俺は才能なしマン。

 比べることすらおこがましいのだ。


「最近は訓練棟へ来ないようだけれど、探索者になることを諦めてしまったの」


 珍しく彼女のほうから話を振ってくる。

 こいつとはほとんど毎日、顔を合わせていた。

 俺が毎日訓練棟でトレーニングしているように、志波姫も毎日欠かさずトレーニングをしにこの建物へ来るからだ。

 その意味で言えば、ポイントミッション『外周』のせいで、ここしばらくは訓練棟へあまり足を運んでいなかった。


「諦めないこと。それだけが赤谷君に残された唯一の好い所だったのに」

「まさか、諦めてなんかいないさ。俺は秘密の特訓をしているのさ」

「それが狂ったように外周に明け暮れること?」


 なんで知ってんだよ。


「あなた意外と有名よ。休日も平日も学校の外周を走ってる不審者だって」


 誰が不審者じゃい。

 ええい、言わせておけば好き勝手と。

 むむ。そうだ、いいことを思いついたぞ。


「志波姫、そこを動くなよ、いいか、絶対に動くんじゃあないぞ」

「もしもし、警察ですか、変態に襲われてます」

「早い、早い!」


 志波姫はジトッとした眼差しでじーっと見てくる。

 少しだけ俺の力を見せてやろう。俺はもうかつての赤谷誠ではないのだよ。


「スキル発動━━『やわらかくなる』」


 手のひらで地面をパチンっと叩く。

 地面がブワんっと波打ち、直後、志波姫の小さな体が地面に沈みだした。

 胸あたりまで沈んだところで、俺は今度は『かたくなる』を発動する。


「どうだ、志波姫、もうピクリとも動けまい。これが赤谷誠の新しい力だ」


 これぞ赤谷流スキルコンビネーションである。

 志波姫神華、敗れたり。

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