美紀の実家へ4
「美紀 ! 家はどこなの!」
後ろで賑やかにひと悶着おこしている三人に水を差すように、夕紀が声を張り上げた。美紀は夕紀のシートに前のめりになり、再び見慣れた風景に目を遣り出し、急に車の進路方向を指示し始めた。
車は美紀の指示に従って国道から外れて、一般道路を走り出す。やがて幾つかの車線のない道路に入って、古くてがっしりした門構えのある家の前に停まった。
「ここが美紀の家なの。ヘエ〜、ちゃんとした門があるんだ」
街中では見かけない風格のある家だった。車から降りた美紀達は数メートル先の玄関に行くと、出てきたばあちゃんと一緒に美紀はみんなを家に入れた。
初めて見る美紀のばあちゃんも元気そうで、なんと謂っても背筋がしゃんとして、応接間へしっかりした足取りでみんなを先導する。その姿に、このばあちゃんならちゃんと行宗家との取り次ぎに問題はないと確信できたが、あとは道子さん違いかどうかだ。他に両親と兄妹が居るが、お母さんだけが顔を見せて挨拶された。お父さんは仕事に出て留守だ。兄妹は春休みだが事前に事情をばあちゃんから聞かされていて、出かけ間近に顔を見せてくれた。
美紀は簡単な紹介にとどめた。みんなも大学でのサークル活動の一環だと説明して、各自名乗って家をあとにする。
なんせ時間がないから、ばあちゃんから場所と先方の都合を聞いて、慌ただしく挨拶もそこそこに家を出た。ばあちゃんとお母さんの見送りを受けて、美紀達はまた車で行宗昭雄さんの家に向かった。
「美紀、悪いわね。久しぶりに実家に帰ったのに、とんぼ返りみたいになって、要件が済んで時間があれば帰りにユックリと寄れればいいけれどね」
夕紀は申し訳なさそうに言う。しかし美紀は「大丈夫、今はそれどころじゃない」と言わんばかりに先を急がせる。もし道子さん違いならまた初めからのやり直しになる。
車は宍道湖から遠ざかり、国道を越えて山手の方に行く手前から、いくつかの一般道路を経て目指す行宗家に着いた。




