桜木の真意3
「なーるほど、そう云うことか桜木くんが内の活動に深入りする訳は、本当にそれだけだったんか」
「今更何を云うんだ勘ぐりもいいところだ。夕紀からは本の査定を頼まれたけれど亡くなった人の事情を聞くうちに、どんな人か想像を駆り立てられてしまっただけさ。それでいよいよ辿り着ければ良いんだけど、どんな舞台が待っているか、まさか空振りで一から出直しだけはごめん蒙りたいね」
「家のばあちゃんがちゃんとあたしから聞いた通りの名前が載ってたんだから間違いない」
確かに名前は合っていても、あの頃は皇太子妃にあやかって娘に道子と付ける両親は多かった。美紀の性格を知った桜木は、自信たっぷりに言い切る彼女に、今さら何も言わなかった。
「夕紀もそうだが美紀もおばあちゃん子だってなあ」
「今みたいにみんなが保育園に行かなかったからね、だから結構いるよね。そいでさあ桜木君はどうだったの」
「俺っちは丹後の田舎だから、車も余り来ないからみんな子供同士で遊ばせていた。まあ遊ぶ空き地は一杯あって年長者のリーダーシップで決まり事を決めて隠れんぼする藪や林もあるから、日暮れまでみんな遊んだもんさ。なんせ海が近いから男達は漁に出て女達が家を守って、保育園も幼稚園も行かせるのは、街の役所や会社で働いて共働きしている連中じゃないのかなあ」
「じゃあ、桜木君も子供の頃は漁師になるつもりだったの」
「だがみんな舞鶴の水産高校へ行く中で、俺は地元の普通科の高校を選んだからなあ」
話しぶりからして、桜木は漁師には成りたくなかったようだ。




