桜木の真意2
「どうだった車の手配の方は」
「夕紀はお母さんに任せるけど米田は来るの?」
「ああ、島根へ行くけどどうするとメールを送ると直ぐに参加すると来た。まあそれだけガソリン代と高速代の負担額が減るから良いんじゃないか」
むしろそこを強調して美紀の同意を促した。
「別にあいつとしては悪気はないんだ。ただ振り向いて欲しいだけなんだよ」
「それならもっと他に方法はいくらでもあるでしょう。全くその反対の行動を取るなんて最低とは思わないの」
「嫉妬すればみんな同じ様なもんだよ。特に恋する男女はなあ」
「でももっと上手い遣り方もあるでしょう」
「人間様々だよ。人生はそう考えれば面白いんだ」
「ここと大学の行き交いだけで、まだ人生経験はそうないんでしょう。だから桜木君の云うそれって色んな本から学んだんでしょう」
「まあね、だからこそあの道子さんと一緒に写っていた人との恋に興味があってね。創作でない本当の恋物語も知りたくなったんだ」
「早とちりかも知れないわよ。だってただ車をバックにして二人が写っているだけじゃないの」
「でもね、あのバックの車は昭和四十年代西暦なら七十年頃に流行った車で、普通の家族持ちでは無理なんだ。生活費を全て車につぎ込める独身者なら買える値段の車だからなんだ」
あの車を良く調べるとあれは前回言った空冷式でなく、三菱の当時最新式の水冷エンジンを載せている車だ。今と違って車離れしていない若者の憧れの的だから、そんな車に乗る人が心に何の思いも抱かない人を乗せるわけが無いだろう。今と違ってやっとの思いで手に入れた憧れの車に、そう簡単に自分の将来に縁の無い女を寄せつけないはずだ。この車の持ち主は、道子さん同様に惚れ込んだ車だと、桜木は二人の写真からそう決め込んだ。




