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かすかな希望4

「さっきお店に来たあの子は大学の友達なんか」

 どうやら母とはそんな挨拶をしたらしい。

 三浪は嫌だと云う弟の話をして、先ず弟の秀樹には自立させるべきだと母を説いた。これには半ば母は諦めているようだが、それより何の用かと単刀直入に切り込まれた。

 先ずは孤独死したおばあちゃんから順序を追って説明して、車の必要性まで辿り着いた。それで何なのとハッキリ言え、とばかりに絡んでくる。

「それで島根県まで車の運転を頼みに来たんか、しかも浩三こうぞうの車を借りて」

「お父さんから借りるのはあたしだから」

「でもあんたは運転出来ひんさかいなあ、あの人は店があるさかい結局あたしが全部やらなあかんがなあ」

 父への母の空元気もええ加減にして欲しい。そしたら何でしょっちゅうお父さんの店へやって来るんよと言いたい。それを言うとあれは息子の相談に行っているのよと言われる。まあ今は「そうね」と低姿勢を貫いてご機嫌取りに励んで、やっと了解してもらった。後はその日付にみんなが合わせてもらう。

「ありがとうお母さん」

「遊びと言ってしまえばそれまでやけど、あんたが勉強してる人間学の一環やと聴けば出来るだけ手を貸したりたいけど、あんたらの都合もあるがお母さんも仕事があるさかいなあ」

 それを言われると辛いところだ。でもそうしたのはお母さんだ。

「お母さんも離婚しなけゃあそんなに働かなくても良かったのに」

「しょうがないやろう、気に入らないんだから」

「じゃあなんでお父さんと結婚したの」

「そりゃあ恋したからよ」

「じゃあ何で別れたの。気に入らないで片付くのなら恋って何なの、今はどうして会いに来るの」

「あの時は気が合わないからと思ったけど、この年になると合わない所は合わすんだと悟っただけよ」

「そんなの恋じゃあないッ」

 でも恋は生き方によって変わるのか。人生も千差万別で、思案するより自分の思い通りに生きれば良いのか、と夕紀は両親を見て考えさせられた。


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