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片桐の母2

 佐川の要望はかなり調子が良すぎる。どこの興信所だってお手上げなんだ。それで夕紀の入っている福祉サークルに押しつけたのが本当の処だろう。

「そうなのでも山下さんなら何回か会って立ち話したのよ」

 祖母の芳恵よしえ言われて、二人とも色めきだった。夕紀がさっそくこの話に乗ってきた。

「どんな話をしているの? それっていつ頃、最近? 最後に会ったときは元気だった?」

 と矢継ぎ早の質問に、祖母は「ちょっと夕紀ちゃん待ってくれる。そのせっかちな処があんたのお母さんの優香に似てるわね」とつまらない親に関心を示された。あたしはお母さんとは違う。まあ器量が良いところは似ているけれど、と勝手に顔の良い妥協点だけを夕紀は言いだした。

「でもあたしが引き取って育てたお陰で思慮深い子になって、それに引き換えてあんたが別れた優香が引き取った弟の秀樹ひできはどうしょうもないわね。まあ人様に迷惑を掛けないところが唯一の良いところだけど、それじゃあ世知辛せちがらい世の中は渡っていけないわね」

 祖母は孫の秀樹を育てた優香を批判した。

「おばあちゃんは俺の小さいときから放任主義と言えば格好いいが要はほったらかしだったけれど肝心な時にはひと言『お母ちゃんの言うこと間違ってるか』とよく言われたあの一言は応えた。それで子供なりに人さまに迷惑の掛かることは出来んようになってしもた」

「そう言えばおばあちゃんはそう言う処があるんや」

 夕紀も納得させられる。

「息子夫婦二人の内輪話より今、聞きたいのは山下道子さんの事じゃ無かったの」

 芳恵に言われて、ああそうだ、それそれと二人はその話へにじり寄った。

「それでお母さんはあの山下さんとはどんな付き合いがあったんだ」

「あんたが付き合いと言うほどそんな大げさなものじゃないのよ」


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