かすかな希望1
先ずは桜木が動揺した。夕紀は来たかと待ち受ける。当事者の美紀はこの時には頼み事をうっかり忘れたように、ばあちゃんからの電話だとホイホイと取る。
ばあちゃん元気、とさっき聞いたにも拘わらず美紀は、はしゃいでいる。
相変わらず元気ね、と受け答えする美紀を注目する二人は、次第に苛立ちを募らせる。とうとう夕紀が「道子さんはどうなってるのッ」と動向を聞かれてやっと本題に入ってくれたかと一息入れられた。
「それでばあちゃん、朝一で頼んだ件はどうだったの行ってくれたの」
「それはもうすぐに電話して、お話を伺うと家系図があると言われて、直ぐにお邪魔して見せて貰ったのよ」
「それでどうなったの」
美紀は二人にごめんと片合掌の仕草をして話を伺うと、二人にも聞こえるようにスピーカーをオンにした。
「説明を聞くとどうも昭雄さんのお父さんのお父さんはつまり祖父の妹には三姉妹の子供が居て、その次女に確かに道子さんと云う名前が載っているのよ」
桜木と夕紀は俄然色めきだった。
「でもその昭雄さんは道子さんどころか祖父の妹さんも知らないからその子供の三姉妹に至っては面識がないらしいのよ、だから道子さんって云う人は確かに系図には載って居るけどどんな人か全く知らず。それどころか今は存命なのかも判らないって仰って、美紀、あんたが探している人かは、あんたが来て確かめるしかないわね」
あの頃は今の上皇様の后になられた正田美智子さんブームで、あの後に生まれた女の子には美智子と言う名前が流行って、でもそのままでは恐れ多いと道子とつけられた女の子が多かった。
「解った近いうちに確かめに行くから、その時はまた連絡するね」
先方さんによろしく、と云って電話を切った。




