祖母の便りを待つ3
食欲と気に障るのは別もんで、二人は桜木の奢りとばかりに食が進む。
「あたしが思うには米田君は美紀ちゃんを気に入ってるんじゃないの」
「それは無いわよ。だって風当たりがあたしにはきつすぎる」
「ホウ〜、それは余りにもつれなくされると、かわいさ余って憎さ百倍だろう」
桜木が冗談半分にからかった。
「どうしてそんなことが云えるのよ。それに来るか判らないじゃん」
「米田にメールを打ったら、本人確認で島根に行くなら一緒に行くとガラケーに着信があったんだ」
「偉い先走りするのね、そのメールもちょっと下心を疑いたくなるような熱心さね」
夕紀はちらっと美紀の表情を見ながら喋った。
「これであたしが帰って来ると思っておばあちゃんは、今頃は頑張ってくれてるだろうなあ」
「そうなの美紀、この前はいつ帰ったの。そう遠くない田舎なのに、そう言えば桜木君も確か田舎は日本海側だよね」
「じゃあ同じ電車に乗れるんだ」
美紀は微笑んだ。
「丹後半島の付け根で網野だからここからだとJRから乗り換えてタンゴ鉄道になるから、俺の田舎はそこで途中下車だ」
「それでも同じ日本海側はなんだ」
JRの山陰線からはずれるのか、美紀はがっかりしている。が桜木は全く気付かないどころか矢張り百冊の本よりひとつの恋い。どれ程の恋愛小説を読破しても、恋の駆け引きは千差万別で方程式は存在しないと講釈をたれる。偉そうに言うが、夕紀にすれば現実の恋を桜木が知っているとは思えない。
もうこの鈍感に何であたしがイライラしなけゃあならないの、美紀はそれに輪を掛けて鈍感だから救いようがない。




