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祖母の便りを待つ1

 桜木が住んでいる出町柳は、賀茂川と高野川が合流する場所にある。京大に合格すると彼は此処が一番気に入って決めた。なんせ見晴らしが良く、五山最初の大文字の送り火はここから点火される左大文字を見る人だかりで一杯になる。だがアパートからは左大文字しか見えず、特等席の合流地点の河原からは妙法、船形、右大文字が見えて鳥居だけが望めない。今三人が渡る賀茂大橋からの眺めが最高だが、此処は車道はもちろん歩道も立ち止まれず、送り火当日は橋の欄干にしがみ付く者もいる。桜木が目指す店は賀茂大橋を渡った先に有る。

 橋を渡り今出川通から河原町通を過ぎて西に行く二百メートルの間に、商店街と飲食店がひしめいている。その先は南側の御所と北側の同志社大学が烏丸通まで続く。

 桜木が行く店は同志社大学の手前で、京大近辺とは違って凝ったメニューを揃えていた。壁一面には様々な外国風のポスター類が貼られて、安っぽいテーブルまでが海外に来た雰囲気にさせる。もちろんオーナーを別にしてスタッフは全て近辺の学生バイトだ。流石に春休みとあって、いつもは席を埋めている同志社のお嬢様学生はいなかった。店の構えは落ちるがメニューにはかなり凝ってある。

「なーるほど、桜木君はこうい美味しいそうな店を知ってるんだ」

 夕紀も美紀もちょっとした路地で貧弱な店構えに「洞穴」と云う看板をちらっと見ただけで敬遠した。それからはこの路地には入らなかった。が奥に知る人ぞ知る穴場の店だった。

「ここは舌の肥えた同志社のお嬢様学生には結構受けてるんだよ」

 ここで桜木はムール貝の入ったスパゲッティを注文した。二人はパスタとピザにマカロニサラダを注文する。


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