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僅かな糸口4

 おばあちゃんからは「急にいったい何なの?」と呆気ない短い返信メールだった。

「そうか、それじゃあ行宗昭雄さんについてこちらから事情を説明して、家族か身内に道子さんと云う人がいないか確かめて貰えるか訊いて見ろ」

 美紀が伝えた住所と名前におばあちゃんの反応は鈍いどころか初耳だったそうだ。

「その住所は家から遠いとこじゃないから美紀の為なら行ったげるけど、何なの。それってあんまり聴かん名前やねえ」

「そう、それだけど、そいでその家へ今言った事情でおばあちゃん様子を見に行ってくれる」

「美紀ちゃん、あんたの総合人間学部ってそう云うこともやるの」

「そう云う実習は無いけど、友達の夕紀ちゃんって知ってるでしょう。その夕紀ちゃんのご近所さんから頼まれたのよ」

「そうね身寄りの判らない人の孤独死ほどご近所さんは大変だけど、本人も誰にも看取られなければ成仏出来ないわね」

「ばあちゃん、そんな化けて出て来るような怖い事言わないでよ」

「美紀ちゃん、これはいい供養になるから。あたしで良ければ出来るだけのことはしてあげるわよ」

「ばあちゃんありがとう」

「お役にたてるか解らないけれどね、道子さんね。親戚に居れば良いけれどね、行宗昭雄さん宅に行って聴いてあげる」

 おばあちゃんは引き受けてくれた。その家は美紀の実家からバスで直ぐに行ける所らしい。

 これで苦境に立たされた桜木はひと息入れられて、美紀はこれで夕紀に一目置かざるを得なくなってしまった。

「そうなるとこの作業も身が入らなく成ってしまったわね」

 夕紀は暗に中断するべきだと桜木に示している。桜木もこれには自分の見込みの甘さにほとほと愛想が尽きたのか、昼飯はおごると言い出した。これはあくまでも夕紀達が引き受けた案件で、桜木くんは単なる傍観者に過ぎないのに、いつの間にかスッカリ入れ替わってしまった。だが二人は厚かましくもその言葉に甘えて、彼が推薦するセンスの良い洋食店へ出かけた。


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