僅かな糸口3
美紀は直ぐに電話したが返事が来ない。すかさず夕紀が交通事故で危篤って云うメールにすれば良いじゃんと言われて、あたしを殺すつもりと大げさに反応している。
桜木にすれば早いに越したことはないが、音信不通の孫から突然の電話ではオレオレ詐欺を疑われる、やはり第一報はメールに切り替えさせた。
「美紀、おばあちゃんはスマホ持ってるのか?」
持ってない桜木の質問はもっともだ。
「もちろん持ってる」
「ホウー、ハイカラだなあ。とにかく折り返し至急連絡請うで感嘆府を二つ以上付けて送ってくれ。それで待とう」
そこでみんなは朝からのモヤモヤした気分に一区切りが着いた。
「ねえ、ひとつ聴きたいのだけど、桜木君はどうしてここまでしてこの問題に突っ込むの」
「夕紀、俺はあの孤独死した道子さんと云う人が旦那さんでない人の写真を遺してああ謂う死に方をした人の過去を、いや青春を知りたくなっただけさ」
そうか、でもあの写真は桜木だけでなく、みんなが注目して少しはあの写真の二人の関係に興味を持ったのは確かだ。桜木がその興味を他のあたし達より深く持ってくれた事に感謝しなければ。お陰でこのサークルが受けた依頼を、桜木が頑張って引っ張っているんだ。他の男どもをみれば、これは大いにその感心を引っ張り続ける必要性が在る。桜木をこのまま引き込むには、美紀が適任だと夕紀は密かに秘めた。
道子さんが美紀の同郷かも知れないが今は何の根拠もない。後で間違えば失望感が大きいと今まで通り作業を続けようとする。が、はかどらないだけにどうしても作業がおろそかになる。そこに美紀のスマホが鳴り響いた。みんな一斉に一縷の望みが掛かった。スマホを着信させた美紀の手に、みんなは作業を中断して注目した。




