僅かな糸口2
「もうー、焦れったいこの前、家のばあちゃんに美紀はなんて言われたの」
「この忙しい時にそんなの考えている暇なんかないわよッ」
「どこまで勘の鈍い人なの。あんたこの前ばあちゃんに美紀は道子さんと言葉のニュアンスが似てるって言われたでしょう」
それがどうだって云って美紀は直ぐに思い直し、夕紀を真面に見つめた。
「うん? そうかッ、解った夕紀、凄いじゃん。この行宗昭雄って言う人、ひょっとしたら」
「そう、ひょっとしたら。でも道子さんの身内じゃないかも知れないけど今は大発見だよ」
この二人の遣り取りに直ぐに桜木も反応した。
「おいおい夕紀、他に島根県に行宗はいないか調べて見ろ。しかしそこは確か米田が担当したとこだからなあ」
彼奴はどこを見てたんだ。とは言っても俺も気が付かないから米田を責められないと、桜木が直ぐに彼を擁護した。二人はさっそく入念に調べても他には見当たらない。
「この人だけか……」
桜木は直ぐにまた不安な顔をする。それが夕紀には、何でこの人がこんなにのめり込んでいるのか解らない。彼を呼んだのは大量の本の整理だけなのに、いつしかその持ち主にこれだけ深入りしているのが解らない。そう言う性格なのかしら。
「しかし道子さんが島根県の生まれかどうかはまだ解らないんだろう。これはあくまでも夕紀のおばあちゃんが、道子さんの喋りが美紀に似てるいう第六感であって、安易に頼る訳にはいかんだろう」
「第六感ってなによ! ばあちゃんは結構鋭い感覚の持ちぬしなんだから」
「解った解った。夕紀、今はそんなことで争ってる場合じゃあない。それよりは美紀、いや橘美紀ちゃん直ぐに実家へ電話してその人のことを知ってるか聴いてくれないか」




