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僅かな 糸口 1  

 自信たっぷりの提案が埋没しかけた桜木の動揺を尻目に、夕紀は相変わらず古い電話帳と睨めっこしている。

「でも昔の電話帳ってなんでこんなに馬鹿でかいの。それにこんな細かい字じゃあお年寄りの老眼鏡でも見えにくいんじゃあないかしら」

 夕紀はブツブツ言いながら尚も、何で昔の電話帳なんて男の名前ばっかしで女は登録しちゃダメ何の、あ〜あ行宗の欄はもう~、広島県ばっかし。あ、高知県にも一人居た。でも他府県は本当に少ないのね、と相変わらず電話帳を見ながら愚痴る夕紀を尻目に、美紀と桜木は相変わらずパソコンと格闘している。そこへ夕紀が突然。あ! と悲鳴に近い声を上げた。

「もうー、夕紀、静かにしてよッ」

 と苛つく美紀に、何言ってるの。ちょっとこれを見て見てよ、と何度も夕紀に呼びつけられた美紀は「いいかげにしてよ」と言う間もなく夕紀は、彼女の腕を掴んで引き寄せるとここ見てよ! と電話帳のひとつの欄を指差した。美紀は邪魔くさそうに「行宗昭雄って書いてあるけどそれがどうしたの」と素っ気ない。それが余計に夕紀は苛つかせる。

「もうー、その横の住所よ」

「ホウー、島根県にも行宗が居たのか、それがどうしたの」

 尚も取り合ってくれない美紀に、夕紀はますます苛つかせた。

「もうッ、美紀は何処まで鈍感なの!」

「失礼ね今の聞き捨てならないわよ!」

 パソコンから離れてなにもしない夕紀に美紀は頭に来ていた。桜木は汚名挽回とそんな事には目もくれずパソコン画面に齧り付いている。電話帳を挟んで二人は一触即発の陰険状態に陥るが、そんな場合じゃないと、直ぐに夕紀は気持ちを取り直した。


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