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唯一の遺品が見つかる4

「でもこの山下道子さんの青春時代ってどうだったんだろう」

 あの写真を見て想い出したのか、一段落した処で桜木はふと口にした。

「五十年ほど前か」

 遺品整理で見つかった四枚の写真を四人はしみじみと眺めた。丁度カラー写真が普及した頃らしいが、色褪せてセピア色に近い写真からは、当時の鮮やかさは伺い知れない。

「しかしこの写真と印鑑だけでどうやって探せるんだ」

 桜木はこれだけでも奥の手があると、さっき詮索したぶ厚い電話帳を出した。

「何だそれは、あの家で調べたじゃあないか」

 もう用済みだと云わんばかりに米田は訊ねる。鈍い奴だと思いながらも電話帳にある住所を当たる。その方法はグーグルのストリートビューを使って家の門構えから系図が保管されているか見当を付けて、手紙を出して遠い親戚や身内に行宗道子さんの名前があるかを調べるらしい。

「門構えだけで分かるのかッ」

 米田は相変わらず懐疑的だ。ただ虱潰しらみつぶしに見るのではなく、集中して偏って存在する所に、ある程度ポイントを絞る。例えば広島県は六十ほど有るが、十軒ほど家系図が見つかれば、それを芋づる式に辿れば大体は掴めて、広島での不明は二、三人になるだろうと桜木は、ここでもかなり楽観的に考えているようだ。

「本当に芋づる式に繋がればいいけれど寸断されていれば最悪ね」

 夕紀と美紀はお互いに顔を見合わせて、桜木に大丈夫かと不安そうに伺う。

 取りあえず三人で分散すれば一人五十人に成る。そこで珍しく米田も協力を申し出る。提案した桜木は大丈夫かと確認を取った。米田には三十人分を割り当てて、残りを四十人分ずつ三人が担当すれば、百二十人で米田の分を加えて百五十人分だから二、三日で第一段階は終わり絞り込んでゆける。それぞれに割り当てた家の住所録は、今晩中に各自のパソコンにメールで知らせるから、着信が有り次第着手する事で意見が一致した。ただし集合住宅は省いても大丈夫だと付け加えた。 


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