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新たな遺品の発見2

 案の定、米田は困惑していた。

「矢張りそう言う本だから俺には向かん無理だ、美紀が読むなら美紀はもっと本腰を入れろ」

 自分へ向けられた桜木の厚意こういを米田は、アッサリと美紀に振り向けてしまう。これが何を意味するのか美紀にはその先が読めないうちにバスが到着して、三人の思考はそこで途切れてしまった。それだけ待つのに疲れたのだろう、三人は急いで乗り込んで、座り込むと出発時間まで三人は沈黙した。

 バスが発車すると心地よい揺り籠になり、着くまで寝てしまった。終着の三千院で待つ夕紀は観光客の一団が降りてしまって「アレ? バス一本乗り遅れたのか」と待ちわびた処へ三人がゾロゾロと続けて降りてくるから思わず駆け寄った。

「どうしたの、お疲れ?」

「もうバスを待ってる間に米田がうるさくてバスに乗ってホッとしたらそのまま寝ちゃったんだよ」

 と桜木は、サッサと先頭に立って歩き出した。米田も一切弁解せずこれに続くと、夕紀は最後に降りた美紀を迎えて並んで歩いた。

「米田君になんか言われたの?」

「もうウザいのよ。あいつに文学を語る資格はない」

 よく聞くと例の大菩薩峠を書いた中里介山論がまだ尾を引いてるらしい。それが美紀でなく、何で米田と桜木がやり合うのか夕紀には解らない。

「ねえ夕紀、学部も違ってうちのサークルにも入ってない桜木君をどうして知り合ったの?」

 二人のやり合いを思案する間もなく、いきなり桜木との関係を聴かれた。

 夕紀も美紀も総合人間学部だが、専攻が決定するまでの一年間は自由に講義を受けて、そこで文学部の桜木を知ったらしい。学部は違っても彼から見れば講義内容には共通点が多く、特定の人物論の講習ではよく顔を合わせて、特に深い付き合いはなかった。


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