祖母の見立て4
あたしが大きくなれば、家に閉じこもらず今度は昔の古い友人を誘い合ってばあちゃんは旅行した。中でも旅先の人たちとの触れ合いを大切にしたせいか、言葉遣いには大いに関心を持ったらしい。矢っ張り旅は景色も良いけれどいろんな人との交わりから、その風土に溶け込んだ風景に、心が奪われるようになったらしい。
旅行好きだった祖母から旅先の人々に接するこつを聞くと、やはり地元の方には極力耳を傾けて聴き手に回るらしい。
ばあちゃんの印象深い山陰地方、特に宍道湖の話を始めると、受け答えする美紀はそこでやたら地元の方言が混じりだした。
労せずして話が弾むと、夕紀にとっては取り越し苦労で嬉しい誤算だった。ここからやっと夕紀達のペースに祖母を引き摺り込み、一気にこの訪問の要点に入った。
「大家さんから頼まれて遺品整理しているの、そこでばあちゃんは何かあの人のことで気付いたものが有ればどんな些細な事でも知りたいんだけど」
そう言うことか、とばあちゃんはピンと来たらしく、考え込むように少しトーンを落とした。そう言えばとおばあちゃんが語り出すと、二人は待ってましたと身を乗り出す。これを何度かやり過ごして、がっかりさせながらも根気よく待った。
「そう言えば山下道子さんの喋り方だけど、橘美紀ちゃんと少し似通った所があるわね」
この一言を聞き出すために二人はここまで粘ったのだ。
「どんな、どんな風になの」
「そうねー、それは今解ったんだけど山陰でも山手の方の岡山か広島かしら、でも山下さんの話し方がもっと似ているとすれば……、橘美紀ちゃんは生まれも島根なの ?」
「そうで〜す」
「じゃあ、ひょっとして同郷かも知れないわね」
エッ、それって何なの、とドキッとして美紀は驚愕した。




