美紀は夕紀の家に4
両親が一緒に成るときに見つけた物件だが、離婚して母が出て行くと、こんな風な屋根にしてしまった時、父はおばあちゃんとは毎晩議論していたのを子供心に覚えていた。居間であたしがテレビを見ていて、キッチンテーブルではデッサンされた物を見せては、ああだこうだと言って、眠たくなって二階の部屋へ行った。
「そうだろうなあ、矢っ張りおばあちゃんは、あれでは目たちすぎて反対だったんだ」
「いや、そうじゃないのお陽さんを取り入れるだけの窓じゃあダメってばあちゃんが言って、じゃあどうするってなってばあちゃんがあの破風窓に決めちゃったの」
「エッ、それじゃあ、あれはおばあちゃんが決めたのッ」
どうやら父も驚いたが反対しなかったどころか、面白いって言っちゃって決めたらしい。これには美紀も開いた口が塞がらない。よくよく聞くとおばあちゃんは任された孫がテレビを見ていても「勉強しろッ」なんて何にも言わないどころか「なるほどねぇー、面白いわね」と孫と一緒になって見ることもある。
「それで良く京大受かったねぇ」
と美紀が言うと、テレビは社会科のお勉強とおばあちゃんに言い流される。それと受験勉強とどうリンクしているのと聞けば、視点を変えればどんな問題が出るか見えてくると彼女が言うから。それって予備校の教師に向いてると揶揄われた。
とにかく面白可笑しく繕って、夕紀はただいまと玄関を開けた。余り広い家ではないから直ぐに奥のばあちゃんに伝わったらしく。お帰りと直ぐに顔を合わさずに反響が来るから美紀も、素早い反応に耳も遠くなく、これで七十八歳? と驚き、何なのこの家はと美紀は少し戸惑いを隠せない。
でもまあいいか、天才と奇才も似たもので紙一重で繋がっていると言うから、案外面白い話が伺えるかも知れない、と美紀は勝手に決め付けて敷居を跨いだ。




