美紀は夕紀の家に3
どうやら美紀の家は、我が家よりかなり古い習慣に縛られていた。にも拘わらず美紀が伸び伸びと育ったのは、祖母の陰に日向に見守られたお陰らしい。
普通は家長が受け継いだ仕来りをその子孫が代々伝える。だが祖母の育て方は常軌を逸しているが、家長亡き後はその妻がその方向性を示す。その息子は逆らえないまでも亡き家長のやり方に継続性を持たそうとするが、忙しい若夫婦に代わって祖母が関わると、その子は祖母のやり方を受け継ぐ。これが所謂おばあちゃん子と呼ばれ、両親を飛ばしたひと世代前の生き方を世襲した典型的な存在だ。
「似たようなおばあちゃんに育てられればこれは上手く行くかもしれん」
山下道子さんの喋り方の癖を何処までおばあちゃんが捉えているか。それを美紀の実家と比較して似通っているか、果ては全く違うのか。これはあくまでも自然体で接していなければ見極めが付きにくい。でも焦れば焦るほどボロが出てしまう場合もあり得る。これを避けようと出来るだけ祖母の特性を、夕紀は美紀に伝える努力を惜しまなかった。如何せん幾ら寄り道しても十分とは掛からない道のりでは伝える夕紀まで焦ってしまう。
「夕紀は早とちりするからなあ」
「何言ってんのよそれは美紀の方でしょう」
時々は夕紀の言う意味が飲み込めないと美紀も苛つかせた。
「ワオー、もう家が見えて来ちゃった」
「なに! あの二階の窓は」
二階の屋根には、城の破風窓を意識した出窓が、二つ取り付けてある。
「これは何なの、夕紀のおばあちゃんはただ者じゃないわね」
「でも改装したのはお父さんだけど」




