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孤独死1

 夕紀ゆきの希望で付けた店の飾りのようなドアのカウベルだが。三千院の参拝を終えた若い女の子には似合うが、あのベルは開ける勢いのない高齢者には似合わない。何故か足元までがしょぼくれて来るからだ。特に夕紀が店に入ると年寄りばかりで、カウベルまでが陰気くさい音になってしまうと嘆いている。

 そこに今度もやはり七十に手が届きそうな、昔はこの辺の地主だった大家がやって来た。例の孤独死した婆さんに、家を貸していた大家の佐川さんだ。

 今日は三千院を訪れて店に寄る客は、あたしのせいで皆無で、高齢者ホームになってしまったと夕紀は嘆いた。

 佐川さんは定席のカウンター席に座ると、さっそく夕紀ちゃんに暫く会えなかったと話しかける。それを大げさすぎると北村に突っ込まれる。

「どうした最近ご無沙汰していたからあんたも孤独死の婆さんと一緒でお迎えが来たんちゃうかと噂していたとこや」

 佐川は本当かと片桐を睨んだ。片桐は慌てて手を振って、北村はんの独り言やと否定する。

「バカ言え、まだそんな歳やない、ここ暫くはそれどころやなかったんや」

「どう言うこっちゃ」

「何も知らんのか、二週間前や、この近所で三日も知らずに判った孤独死した婆さんを」

 それはひと月前とちゃうんかと云う北村に佐川は、お前も惚けてきたなあ、と云われて憤慨された。それを片桐は慌てて止めに入った。まだ惚ける歳ではないが、目立ちたがり屋のこの二人は、何処までが本気か見分けにくい所謂いわゆる、頑固じじいだ。

「それは知ってるけど、それがお前とどう言う関係あるんや」

「大ありや。なんも知らんのか、あの亡くなった婆さんは内の店子たなこや」

「あの婆さんはお前とこの借家人やったんか」

「そうや、あの孤独死の家っちゅうのは下の駐車場から離れたあの家や、あれ以来空き家になっている」

「ホオー、三千院に住みたいちゅう人は結構居るやろう」

 そこやと大家の佐川は困っていた。



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