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孤独死した家の調査1

 山下道子さんの借家は、三千院とは反対方向で住宅街からも少し離れて、周囲には田畑が広がる長閑な場所だった。桜木が此処ならゆっくり読書が出来ると、羨望の的で家を眺める。家はかなり古い建物で、恐らくは築三十年以上は経っているだろう、それが長閑な田園風景に溶け込んいた。

 山下道子さんはこの牧歌的な風土の中で、読書にどれほど没頭出来たか。これからその読破の痕跡を調べれば、彼女の生き方が解り、そこから過去の痕跡を辿れば、サークルの苦労は報われる。

 玄関に立ち先ず夕紀は、ドアの郵便受けの小さな窓口から中を覗いた。この行動にみんなは不審がると、彼女は山下さんの発見時を体験して見たかったらしい。次に漸くおもむろに独り夕紀は合掌して預かった鍵で引き戸を開けた。その場所こそが山下道子が、最後に見た世界だった。

「近所の人の話では彼女はここに倒れていたそうなのよ」

 三和土たたきで夕紀がもう一度合掌して家に上がると、ここで初めてみんなは続いて合掌して上がった。

 鍵を受け取るときに父は、中は亡くなった当時と変わらないままだ。と大家の佐川さんから伝えられていた。

 亡くなって二週間以上経つが、倒れた彼女を三日後に発見した近所の人が、直ぐ救急車を呼んで、大家さんにも来て貰い、そのまま病院に運ばれた。その時には既に死亡が確認されて、一応警察で司法解剖され、医師の診断通りだと確認されて火葬された。遺骨は今も然るべき行き場を求めて、大家さんの菩提寺で預かっている。

 暖かい気候になったとはいえ、無人の室内には冷気が漂っている。先ずはみんなで、窓を開けて換気をしてから、そんなに広くない家の中を調べた。

 先ずは二階と一階を二人ずつ分散した。夕紀と美紀は二階へ、二階にも本棚は在るが全集物は一階の書棚にあった。そこで桜木は一階から見て、米田は双方の応援に回った。


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