波乱の予兆2
「部員と言っても名前だけ連ねている連中だ」
「今は春休みで活動を控えているだけでしょう」
米田の問いにはぶっきら棒に美紀は答える。
「それはおかしい、高齢者相手の福祉活動に春休みもないでしょう」
サークル活動の是非を討論する傍らで、肝心の桜木はどう思っているのか夕紀にしてみれば気になる。
「今回は真に実り多かったし、関心も強くなったが今は入部を保留にする」
そもそも桜木自身は高齢者の機嫌を取るのが苦手らしい。このような素行調査なら面白くて遣り甲斐もあるが、以前に聞いたような活動が主体なら、彼は本音では入部は避けたいらしい。
この鴨川デルでの討論は水掛け論になってしまった。四人は心の蟠りがすっきりしないままここで別れた。
この日は珍しく米田は桜木を誘った。
「何だよ夕紀と美紀なら雑談しても面白いがお前と話すことはなにもないだろう」
「お前になくても俺にはあるんだ」
「美紀の事なら諦めろ。訊けばこのサークル活動はいくつかのグループに分かれて、あっちこっちへ行って福祉活動しているそうじゃないのか」
大体は四、五人のグループごとに施設を訪問しているらしい。だが米田はいつもあたし達のグループに加わってくる。それがもう目障りだと夕紀が言うのもこれで解った。
「どうしてこっちのグループばっかりに加わってくるんだ」
「それは俺の勝手だろう。好きでやってんだからよ」
「嘘つけ、米田、お前、年寄り相手は性に合わないのだろう。なら無理に部活を続けても意味がない。これを潮時に辞めろ」
ここまで突き放しても、今日の米田はなおも付きまとってくる。




