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滝川の告白4

「それは何だ、俺には良く解らんな」

 米田は訊ねた。

「女を恋した時と女に恋されたときでは男の心理は換わるんですよ」

 これには桜木も身を乗り出してきた。夕紀はそんな二人を冷ややかな目で捉えるが美紀に至っては、二人の男同様に関心を寄せているらしい。

 滝川が言おとしていることは大体察しが付いた。要は女は貞操を保てずに(みだ)らに男を誘惑するなと。天使は心の憧れであり身体を独占してはならないと語っている。しかしその天使を破滅させたのは今語る滝川自身なのだ。

 想いを寄せられるとこれで彼の愛は、アッサリと道子から彼の愛車に移り変わるのにそう時間が掛からなかった。こうなると道子の切なる訴えも、滝川の耳から遠のいてゆく。両親と縁を切ってまで、退路を断って賭けた恋に、道子はしがみ付いたが。天使を降りた道子に、滝川は曖昧な態度を続けた。ついに道子はある日、何も告げずに失踪した。

 道子は彼を厳しく非難する(すべ)を持たずに消え去る事を選び、彼女は滝川の前から失踪したのだ。痕跡を残せば滝川は振り返ってくれるが、もうあの人の生き方は変えられないと確信したらしい。

「俺はこの時に愛の重さを初めて知って初めて泣いた。そしてこれを癒やすのに四十年も掛かって仕舞った」

 今やっと穏やかな人生を送れるようになって、初めて道子が遠い所に逝ったのを知った。いや知らせて貰った。彼女の死を穏やかに受け止められる時に届いたのが幸いだろう。

「これで彼女は天使に戻って、俺の心の中に居続けてくれるだろう」

 滝川は道子と暮らせた愛の重さを当時は知るよしもなかった。それを老いて初めて知らされたと語った。


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