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滝川の告白2

予期せぬ質問に滝川はしばらく考えた。

「それが雑誌に応募するぐらいだから結構書いてるとは思うんだが。見たことがないんだと言うか、車の批評ばかりする男に見せてもしょうがないと思われたかも知れない」

 正直、滝川が本を読むようになったのは失踪した彼女の真意を掴む処から始まっている。

「年配の方にこう言うのも何ですけれど、それは偉いと思います。そのお歳まで我を通す人が多い中で滝川さんはかなり柔軟にあたし達に対応してくれるんですもの」

 米田君も見習えば良いと急に振り向けられて、彼はそのためにこの人間学部を専攻したと夕紀に言い放すが、彼はまだ人を見る目が未熟らしい。

「しかし俺はこの学部では人の幸福ばかり追求して来たが講義を聴いても書かれてある文章を見ても、それで幸福に浸れるもんじゃない。あくまでも仮定に過ぎない。ドン詰まりの果てにはどうなんかなあーと思うんだが、夕紀はどうなんだ」

「それは追求すればキリがないから人の振り見て我が振り治せって書いてあるんでしょう」

 夕紀は米田を突き放すように云って退ける。

「最近の若いもんは根無し草に感じるが、ここの二人の女の子だけ見ているとわしらと似たようなしっかり者で、人には敏感な生き方をしちょると思うが誰の影響なんだろう」

 訊かれてた二人に「滝川さんのような年代の人に育てられた」と桜木がすっぱ抜いた。

 あたし達ってそんなに現代離れして馴染めない存在だったかしらと二人は顔を見合わした。

「なぜ滝川さんは彼女らを見てそう感じるんです」

 老人は桜木の顔を見て「歳を取れば取るほどに自分の築いた人生に自信が持てるようになる、そうなればしめたもんだ。彼女らの顔の後ろには、やり遂げた老人のプライドのようなものが見えてきたんだ」


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