サークルでの談義2
夕紀は自分が通う大学の学食で弟が食べる姿を見て、今更ながら母の身勝手さを思い知らされた。それにめげずに学食までやって来る秀樹の姿には、あの母のお陰でたくましくなったと考えると母を責められない。それでも孤独死した山下道子さんの話は、母も弟も傍に居られるだけで幸せと考えると一刻も早く成仏させたい。
夕紀は午後の講義が終わるとさっそくサークル仲間を集めた。
この福祉サークルで活動している部員は、二十人ほどだが殆どが異性との付き合いに関心があり、真面に福祉に関わっているのは数人だ。夕紀はそれを嘆いていたが、やっと今回はこのサークルの活動意義を見出せると張り切った。
お父さんは一切調査費を云わない佐川さんの要望は厚かましすぎるから、部屋の物を整理して転売すれば後は適当に扱えと云われた。でも福祉を掲げるサークルとしては無償で取り組むべき問題だとメンバーに図った。
この大学は敷地が広くてしかも今出川通り、東山通り、一条通り等の広い一般道で各部が分かれている。その中で建物の裏が吉田神社の森に覆われて、静かな別館の一室を借り受けてサークル活動を行っている。今日も案の定五人しか集まらなかった。新学期を前にしての春休みだから致し方がない。流しテーブルを二つ合わせて二人と三人で向かい合った。
夕紀の隣は橘美紀で、向かい側に石田、北山、米田と並んだ。そこへ文学部から一人、桜木がやって来て夕紀の隣に座った。




