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滝川に会う4

「だって滝川さんはあの車を手に入れる為に苦労をしたんでしょう。それを何処まで知っているのか分からない人には言われたくないと思うの」

 美紀は滝川でなく夕紀と桜木に向かって言う。

「原因はやはりあの車なんですか」

 桜木はまた問う。

「だとすれば一方的過ぎる。道子さんは創作に専念し、滝川さんはあの車に固執する。お互い様な気がしませんか」

 返事に詰まる滝川を桜木はサポートした。

「これは金銭的には大きな開きがある。片や殆どお金は掛からない短歌なのに、あの車には生活を犠牲にするほどの出費が掛かる。これでは道子さんは納得できないでしょう、あの人は島根では生活にゆとりがあったんでしょうか」

 美紀は道子さんの経済力を問い詰める。

「まあ普通の家庭だと聞いていたが、やはり自分の身の丈に合わさず車にうつつを抜かす奴に、将来真面な家庭を築けるはずがないと云われた」

「それで勘当されても道子さんは島根を離れて身ひとつで滝川さんの所へやって来たんですね」と桜木が訊く。

「それで改めたんですか」と美紀が訊ねる。

「それは無理だろう車は男のロマンだろう」と米田が言った。

「そんなのロマンじゃあない。生活感の欠如以外の何事でもない」と夕紀が反論した。

 ここで沈黙する桜木の顔を滝川は窺った。

「北面の武士まで登り詰めた男が、地位や妻子までも捨てて己の道を歩く姿を思い起こして欲しい」

 と滝川に言われて、ここで西行を持ち出すか。それが男のロマンなのか、それとも単なる我が儘なのか、と桜木は笑いながらも戸惑った。


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