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滝川に会う1

 自分の名を呼ばれて、ハア? と階段の途中で立ち止まった老人は、これには戸惑いを隠せない。それはあんたらは誰やと言う質問に尽きる。

 四人を代表するように夕紀が、老人が立ち止まった所まで歩み寄った。そこで片桐夕紀と名乗り、行宗道子さんの近所に住んでいると告げた。この時の滝川は呆然と立ち尽くし、暫くは自分が何を喋るのか、言葉さえ忘れたようだった。ようやくして滝川のその瞳が輝きだすと「あッ、あの人は元気ですかッ」と勢い余って子供が転ぶように喋り出した。

 滝川さんですかと訊ずねる夕紀に、名乗り忘れたように、やっとそうですと答えると「こんな所で立ち話も何ですから」と四人を急いで部屋へ招いた。

 入ると直ぐに流しとトイレが入り口の半畳の三和土たたきを挟んであり、ガラス戸を開けると食卓代わりの座卓がひとつある六畳の和室だった。五人はその座卓を囲むように座った。座ると待ちきれないように滝川は道子さんの様子を聞いてくる。これにはみんな参って仕舞った。真っ先に滝川が桜木の目を捉えると、それに答えるように亡くなったと伝える。自分も老い先そう長くないと思うのか滝川の動揺は少なかった。それより最近まで生きていてくれた事に感謝している。意外とサッパリと彼女の死を受け止めてくれて、みんなは一息付けた。そこでこれなら大丈夫だと美紀が、前日に用意した虎屋のミニ羊羹の詰め合わせを出した。

「ホウーこれは美味そうだ」

 言われて直ぐに美紀と夕紀が滝川さんに伺って、茶碗にティパックになったお茶を淹れて座卓に並べた。

 先ずは羊羹を食べながら夕紀が道子さんの最近の動向と死亡した経緯を説明する。最近までピンピンして元気に買い物などしていたと知り、この突然死は一つの運命だと受け入れてくれた。


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