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滝川を捜す3

 夕紀たちのグループから町名と番地を聞かれた老人は、この辺り一帯がその町名だと答えた。路地から上を見上げると、高架の上を電車が通過する。何だアレはと米田が言うと、JRの嵯峨野山陰線だと老人に言われた。

 じゃあこの近くだと、夕紀は清風荘せいふうそうと云うアパートの所在を、その老人に確かめると彼は驚いた。

「そのアパートなら知ってるが誰を捜してるんだ?」

 アパートさえ分かれば、この老人にそこまで言う必要はないと、四人はそこで顔を見合わせた。老人は怪訝そうに四人を見比べる。

「清風荘ってアパートはここから近いんですか」

 老人が沈黙すると、余り気が乗らないと夕紀は見てとった。

「まあ近いと言えば近いけど、ごらんの通りこの辺り一帯は狭い路地が入り組んで近所のもんでも迷ってしまうが良くここまで来られたもんだねえ」

 夕紀の不審に老人は、急に愛想良くし始めた。

「いえ、さっきからあっちでもないこっちでもないと云い合って歩いてるんですよ」

 気が好転した老人に、好機とばかりに桜木がすり寄った。老人は桜木に更に気を良くした。

「じゃあ、そのアパートまで案内してやろう」

「よろしんですか?」

 流石は桜木君と、夕紀は頼もしく思って老人に切り出した。

「いいも悪いもわしが帰る通り道だ」

 みんなはそれはありがたい、と道案内を乞うた。ぞろぞろと四人はその老人を囲むように狭い路地一杯に広がって付いてゆく。

「君たちは学生さんかね」

 誰彼となく一様にみんなは頷く。

「二条城の方から来たのかね」

 そうですとこれまた一様に返事をする。

「じゃあ、あのお濠の散り始めた桜も堪能したのだろうなあ」

 あの一悶着起こしかけた桜に、みんなは苦笑した。


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