滝川を捜す2
「ちょっと待ってよ。せっかく綺麗に咲いているのに」
「夕紀ってば、花見に来たのじゃないのよッ」
美紀にしてみればあの旅の後から夕紀が、桜木に馴れ馴れしいのが頭に来るらしい。
「それは分かってるけど、なにもそう目くじら立てて歩く事もないでしょうね」
「そうだよ。花の命は短いと言うように今しかないんだぜ」
夕紀と桜木が美紀に反論した。
「そうは云っても米田君は無視してさっさと歩き出すんですもの」
「美紀が先を急ぐから米田は吊られて仕舞っただけだよ」
桜木にそう言われると美紀も辛いところだ。
「だって夕紀と桜木君が桜に見とれるからよ。今はそれどころじゃないのに、第一花見でなくもっと大事な要件でここまで来たのよ、そこをちゃんと区別して貰わないと困るわよ」
美紀の言い分は、何処までも正鵠を得ているから、みんなもそれ以上は文句は言えない。
四人は押小路通から千本通を下がると、三条通が交差する千本三条から車一台分しか通れない、狭い一方通行になる千本通をさらに下がった。
壬生、辺りまで来ると、更に裏通りのような迷路の細い道に迷い込んで、人気もなくて右往左往すると、福の神かやっと独りの老人を発見できた。
老人は先ほどのゲートボールを見飽きて、裏通りの細い道を歩いてアパートへ戻る途中だった。そこで学生風の若い男女が、メモを片手に歩き回り老人に遭遇したのだ。




