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滝川を捜す1

 京都二条城の庭園には桜の標本木がある。京都地方気象台がこの木から五輪以上咲けば開花宣言をする。それが数日前だったが、ここしばらくの暖かさに吊られて一気に満開になったのに、直ぐに底冷えしてフリーズ状態になっていた。

 再び穏やかになった気候に合わせて、散り始めた桜が舞う中を独りの老人が、二条城のお掘り端の桜を見ながら、北に在る二条公園まで歩いて行った。公園の一画ではゲートボールを愉しむ老人連中に、目を留めて暫くベンチで老人は眺めていた。

 T字型したゲートボールスティックで、ボールを次々と打って一喜一憂しあう様に、見ていて歳を感じさせなかったあの醍醐味は、もう遠い昔の色褪せたものになっている。今は尽きぬゲームから目を逸らすように、老人はやっと重い腰を上げて、長閑な春の陽差しの中を家路へ向かった。

 先ほど老人が行き過ぎた二条城の堀に男女四人の学生が差し掛かった。彼らは出町柳で、大原三千院からやって来たひとりの女子大生と合流してバスに乗り、先ほど堀川通り側の二条城前でバスを降りた連中だ。彼らの目的地はそこから一キロほど先になり、ここで降りて歩くことにしたのだ。

 観光客で溢れる二条城の大手門を尻目にして、濠に沿って押小路通りを四人は歩いた。この通りは道幅は広いが、千本通と堀川通に挟まれた僅かな距離なのに、広い歩道も車道も空いている。お陰でお濠の桜をゆっくり鑑賞できるが愛でることなく先を急いだ。夕紀と桜木が桜を見て立ち止まると美紀が振り返る。かまわず米田が早足で先を急ぐから、仕方なく夕紀と桜木も追いついて来た。


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