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1-08 お空の国(火気厳禁)から

雲の上に浮かぶ島。鳥の人。大きな鳥。不思議な世界を旅していい感じの生活がしたいな。


 雲は上昇気流で浮いていられる程水滴が小さいから存在出来る。

 水滴が集まり固まり重くなれば浮かない。


 ではこれは何なのだろうか?


 陽射しは高く白い。空があまり青くない。

 眼下には遥遠くに青と白。

 近くに生える草は何か分からない。


 何これ? 高山植物? 表面は綿毛みたいな白いのに覆われていて、全体的に背丈が低い。

 トマトの原種みたいな感じかな。

 ナスとかもなりそう。


 本題。私は何なんだ?


 体には白い羽毛が生えている。でも翼はない。

 指先は鳥の蹴爪の様な鋭い爪が生えている。

 なのに指の形は人っぽい。五指が自在に動く。

 だというのに顔の形は猛禽類っぽい。


 バードマン……? 飛べる?

 なんか飛べなさそうだな。

 筋肉質なのはいいとして骨が重そう。


「おーい! 大丈夫かー! 今助けに行くからなー!」


 ……どうやら私はあの高台から落ちてここに居る様だ。

 前世の記憶でも取り戻してこの思考なのか?

 なら今世の記憶はどうなっているんだ?


 あ、ロープで降りるのか。

 崖の上までだいたい3.4mだろうか?

 降りてくるのは……ハクトウワシみたいな頭の(仮称)バードマンだな。

 体重75kgくらいありそうな体格。


「ビックリしたぞ。お前、頭から落ちるんだもん。何呆けた顔をしてるんだよ。俺ちゃんだぜ? ニコラちゃんの顔を忘れたか?」


 黄色味がかった嘴から出てくる言葉がコレか。

 癖が強い。でも何を言っているかがわかる。

 実際の音としては「グキャーガキャー」なのに。

 不思議な感覚……。


「ごめん。どうやら頭を打った衝撃で何も分からないんだ」


 どういう進化過程を経ればこういう風体になるのだろうか?

 飛ぶ必要がなくなった? 指先の細やかさが必要になった?

 ここまでの進化だ。何百万年、下手したら何千万年という歳月が必要になったのでは?


 もしかしたらそんな歳月の要らない特殊な進化過程でもあったのだろうか?


「おぉ……おぉー。ガチかー……。何か賢そうな話し方してる……。あのゆるふわ嬢ちゃんが……」


 ……嬢ちゃん……? この体、女の子?

 というかゆるふわ系なん? ふわふわしてそうだけど。物理的に。

 ……哺乳類じゃないから胸がないのか。

 翼がないから分厚い胸筋も必要なさそう。

 ……卵産むのか? この体? 卵どのくらいのサイズ? ダチョウくらい?


「とりあえず長のところに行くか。事情聴取が必要そうだ」


 思考がとっちらかってしまうな。

 足の形はフクロウから進化したのかな?

 フクロウって意外と地上を走れるんだよなぁ。

 うわ、足の指が4本しかない。踵からつま先までの長さがスゴい。


「分かりました。どちらに向かうかも分かりません。案内お願い出来ますか?」


 短距離はまだ走れそうだけど、長距離の移動は構造的に厳しい?

 いや、でもダチョウなんて指2本だしな……。

 獲物を長距離追跡するための構造の人類とは違うか。

 なんだこの生き物。


「なんだこの生き物」


 ニコラちゃんはその大きな体を小さくする様に肩を竦めて震えた。リアクションデカすぎやねん。


 ……。この人、男性だよね? 女性じゃないよね? 俺ちゃん、ニコラちゃんって関西のノリだよね? なんで関西ノリ?

 いや、頭がそうやって翻訳しているだけだわ。

 現状雌雄の区別もつけられない自分が怖い。

 これでもし女の方だったら……どうもしないか。対応変わらんわ。


「ごめんなさい。元々どういう口調だったか、分からないんですよ。普通を意識しているつもりなんですけどね」


 そもそもこの意識の私は男か女か。

 男の気もするが女の気もする。よく分からない。

 妖怪だったら面白いな。


「あー、うん、そうだ。重症っぽいし急ごうな!」


 余程今世の自分と私はかけ離れた存在なのだろう。

 ゆるふわ嬢ちゃんがそもそもブラフ?

 反抗期のクソガキで怒るのが正解だった?

 よく分からん。とりあえずついてこ。


「お願いしますね」


 ニコラちゃんはブルっと身震いした後ロープをいそいそ登っていきました。


 地面なんかふわふわしていて脆い。

 崖に手をつくとそこが崩れて登れない。

 ロープがなければ上に行けないのか。ここ。


「登りきったかー? あっちだぞー!」


 大地が広い。でも木がない。

 小高い丘に白い土壁の家々。

 屋根は草を編んだモノ?


 なんだ、この世界。

 バードマンと草と土以外に何かあるのか?

 なんかヤバい世界に来た気がする。


「……ほんと記憶ないんやな。初めて見る顔してる」


 あ、モルモットいた。小さい。

 大顎で一口サイズかな?

 ほら、あんな……あんな……。


「お、おい! なんで急に倒れた?」


 食われたよ。一瞬で。

 ペットじゃない。家畜なんだ。タンパク質だ。

 なんで筋肉質なのかって? 主食がモルモットだからなんだ。


「……何でもないよ」


 家畜。そう、自分では食べられないモノを利用して育てて、肉として回収する。

 生肉である理由はビタミンの問題か。

 大きめの生き物を飼育する際はラットとか食べさせるモノだ。

 これは普通の生き物。そう何も問題はない。


「長ー! カーク爺! ヤイナが頭打っておかしくなったー!」


 大声で報告するな。村中に知れ渡ったぞ。

 というか村か。なんで村になったのだろう?

 この環境に危険はあるのだろうか?


 あるんだろうな……。

 集まらなければ解決できない事が。

 そもそも人型に進化した理由もそこにあるのでは? 悩ましい。


「なんじゃなんじゃ、騒がしい。ニコラ坊は何を騒いでおるんじゃ」


 一際大柄なバードマンが来た。

 2mくらいの杖を持ってる。骨製?

 その大きさの骨、どこの骨? それが脅威?


「あ、カーク爺! 聞いてよ! あそこの崖から

ヤイナが落ちて頭打ったらこんな風になったんだよ!」


 ……とりあえず今世の名前はヤイナね。

 たぶん女の子の名前なのでは? 知らんけど。

 ニコラは坊と言われたし、男のはず。


「えっとすみません。どうも記憶を失ってしまったみたいです。お爺様」


 あ、時が止まった。

 今までどういう子だったのか。

 わんぱく小僧と言われた方が正しそう。


 私はこの子でやっていけるのかな?

 食生活とかも含めて。文化的に。

 死ぬ気は毛頭ないんだけど、よろしくなさそう。


 何がどう危険でとか分からないと放浪もできないだろうな。

 生物的には強そうな見た目ではあるよね。

 大きさ的に食事量は少なさそう。行動量は飛ばない走らないで爬虫類並みなら週1の食事で良くなる気はする。

 でも比較的に頭が動く方だと思うと糖分が必要になるのかな?

 だとしたら穀物も食べそうだな。穀物ばっか食べるとデブりそう。


「……衝撃じゃったが、確かに見た目はヤイナじゃな。なんとこんな大人しく……。とりあえず家族のところで休ませて、回復せなんだら対応を考えようぞ。文献などを探して当たってみるか」


 文献あるんだ。本があるのは大きい。

 知識を積み重ねる習慣があるという事だから。

 文字の文化もあるの間違いない。


「わー、この状態をナサイおじさんに伝えるのか……。恐いなぁ。でも仕方ないよなぁ」


 恐い人なのだろうか?

 なんか戦闘民族的な風体していないかな?

 槍とかの名手だったらどうしよう?


 いや、呪術的な世界線も考えられる。

 魔法とかでもいいけど、ないとは現状言いきれない。

 ぶっちゃけ魔法はあって欲しい。


「私は腹を括りました」


 火をつける。物を浮かす。離れた相手と会話する。空を飛ぶ。大海原を横断する。氷を作る。

 こうやって列挙していくと科学と魔法は何が違うというのか。

 神秘性か。実用性とは違うものか。


「ヤイナが腹を括ってもね……。まぁ、俺が悪いんだけどさ……。あぁ、気が進まないし、ちょっと散歩してからにしない? 先送りに過ぎないのはわかっているんだけどさ」


 私は困り顔のニコラちゃんに連れられて村の外に出た。


 大きな大きな鳥さんがいました。数百m級。




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