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子悪魔のこまりごと~くしゃみ

ハクション!


悪魔らしくないくしゃみが可愛らしくて、ルルリアが事態の深刻さに気づくのが遅れた。


ルルリアは瞬きした内に、小悪魔の鼻息が遠くへ飛んでいくのを見ていた。

その速さは、最高の射手が放つ矢よりも速く、音速をはるかに超えていた。

不思議の森の向こうの町へとまっすぐに向かい、行く手を阻むものすべてを吹き飛ばしてから、大気圏へと消えていった。

幸いにも無人の地域に落ちたため、被害はなく、彼女はすぐにこの出来事を忘れた。


翌朝、彼女は数匹の魔獣の死骸に遭遇した。

毛皮には、奇妙な黒い斑点が点在していた。

その不気味な光景を眺めていると、ある格言が脳裏に浮かび、不安感を伴った。


「悪魔は死そのもの」


この格言は、悪魔の体液が猛毒であったり、極めて腐食性が強かったり、蔓延するパンデミックを引き起こすような病原性ウイルスを運んでいたりしたという事実に由来している。

かつて、ある大都市で中位の悪魔が水道に放尿したことで、全人口が失われたという事件があった。

汚染された水を飲んだり接触したりした人々は、高熱と黒紫色の発疹に襲われ、数日のうちに息を引き取った。


マズイ・・・


心臓が肋骨にドクンドクン響く。

冷や汗が背中を伝って流れ落ちる。

天人である彼女はもともと病気に対する免疫があり、ずっと小悪魔の体液さらされても平気で...


だけど、一般人はどうだろう?

答えは明白だ。



・・・こんなの見落としていたなんてありえない!


一秒も無駄にすることなく、少女は町に向かって飛び、住民全員に大規模な治癒魔法を使った。

残っていた瘴気をすべて浄化し、これから平和を脅かすかもしれない危険な魔獣の駆除まで申し出た。

町民たちは心からの感謝を述べたが、彼女はうずくまるような罪悪感にさいなまれた。

結局のところ、数日後に気づくのが遅ければ、彼女の怠慢によって彼らは命を落としていただろう。


すまぬ、あの世で恨んでくれ・・・


やや悪いと思うルルリアは巻き添えになってしまった罪のない魔獣達のために祈った。


これから、小悪魔をもっと厳しく監視すると誓った。

無論、我が子を守るためなら、この件に関与したという秘密は墓場まで持っていくつもりだ。



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