第八話決定!!【ドナマルティー】と夜の課題
「今日もいい天気で気分がいいですわね」
「そうね,あの生姜紅茶を朝から飲んだら身体が温まって動きやすいわ」
午前中の部屋で図鑑を読んで昼食を取った後,庭でお母様とお茶を楽しんでいる。
今飲んでいるのはハーブティーで,読書で疲れた身体をスッキリさせてくれる。
因みにオルテンシアは部屋でお昼寝中だったので声は掛けなかった。
春といえど朝と晩は寒さを感じる時があるので,朝から身体を温めてくれるあの生姜紅茶は私達や使用人にも有難がられている。
お母様の指示で朝から使用人も飲むようになり,味の好みなどを感想を書くようにしているとか。
「生姜紅茶が苦手な方にはケーキやクッキーに少しずつ混ぜてみて慣れて頂くのもいいかもしれませんね」
「ちょっと待って頂戴ベレーナ。メモを取るから後でシェフに相談してみるわ。主人や商会にも連絡が必要ね」
ふと思った事を口に出したら,物凄い勢いでお母様が真剣にメモを取り始める。
(これから私もメモ用紙とペンくらいは持ち歩いたほうがいいかしら…)
図鑑を見て思った事を口にしただけで話がここ迄大きくなるとは思っても見なかった。
たが公爵家の人間として言った事が様々な方面に影響をもたらすのだから,今後は気をつけた方がいいのだろう。
(一度目の時は殿下に夢中でそこ迄気にしてなかったから,言いたい放題だったわね)
中々殿下に振り向いて貰えずあちこちに当たり散らしていたので,様々な波乱を呼んだだろう。
とある店の紅茶とお菓子が不味いと言って潰れたり,とある令嬢主催のお茶会で饗しがなっていないと言えば,他の令嬢達は私を恐れてその子から距離を取ったりと色々やらかしていたのを思い出す。
(我ながら酷いわね。今度は誰かの不評を買って殺されないように気をつけないと…とは言え私に八方美人なんて出来るのかしら?)
色々考えながらクッキーを口にするとサクサクの食感にほんのりとした甘みが考え中の頭に糖分を運んでくれ癒やされる。
「そうそうベレーナ,貴方生姜紅茶のいい商品名何か思いつかないかしら?」
「商品名ですか?」
いきなりのお母様の問い掛けに私はキョトンとする。
「えぇ,生姜紅茶だとハチミツとレモンが入っているのが分からないから,初めての人が手に取りにくくなりそうだし,かと言って生姜ハチミツレモン紅茶だと長いし……」
お母様は扇を開いてため息をつく。
公爵の商会から出す商品であるのだから,それ相応のセンスのある名前が重要だ。
「えっと,いっその事シンプルに【ドナマルティー】にしてはいかがでしょうか?茶葉の袋に効能を書いて,材料の比率事に袋の色を変えたら購入者に分かりやすいですし。あちこちで真似されたら生姜不足になってもいけませんから,材料・レシピは秘伝と言うことにしたらブランド感もあるのでは?」
恐る恐るお母様に思った事を進言すると,お母様はガシッと両手で私の手を握り目を輝かせていた。
「とてもいい案だわベレーナ!!早速主人と商会に連絡してくるから先に失礼するわね」
「は,はい」
私はお母様は素早くメモを纏めると,綺麗な足取りで庭を去って行ったのを呆気にとられながら見送るのだった。
因みにお昼寝から起きたオルテンシアにお茶を誘ってくれなかった事に拗ねられてしまい,明日は一緒にお茶をしようと約束をして機嫌を直してもらうのだった。
夜になり,寝支度が整ったのでヴィオラが退出して暫くしてからベッドから起き上がる。
「今晩も魔法の練習を始めましょうか」
そうして本棚から一冊の本を取り出し,机の上で開くと花や葉っぱが幾つも挟んであった。
今日もお茶の時に人目を盗んで庭の花や葉っぱを適当に取ってきたのである。
「今日は麻痺毒と睡魔毒の付与をやってみましょうか」
毒の禁書録を見ながら付与する毒の種類を選び付与していく。
どちらも消費魔力が5だから麻痺毒2回,睡魔毒を2回ずつ行う。
(魔力0になるのは怖いから5くらいは残しておこうかしら)
一度目の時に魔法の授業で魔力切れは命に関わるから絶対にしないようにと注意を受けたので気をつけていく。
額に汗を光らせながら紫に変化した花や葉っぱ合計五つを確認し付与に成功したと確信する。
「念の為にステータスっと」
〜ベレーナ・ドナマルバージャLV.3〜
魔力5/30
属性毒
使用可能魔法
毒玉LV.1
消費魔力5
麻痺毒LV.1
消費魔力5
魔女の涙LV.2
消費魔力10
毒性付与LV.2
消費魔力5〜
特殊スキル
二度目の叡智
毒耐性
毒の禁書録
ステータスでキチンと魔力が予想取りの寮が消費され,レベルも上がっていることにホッとする。
「成功したみたいね。けど,これから練習して行く上で葉っぱや花ばかりだと隠し場所に困るわね…」
本を開いたら毒の押し花だらけというのも物騒である。
かと言ってそのままゴミ箱に捨ててしまったら,掃除をするヴィオラが毒の押し花に触れてしまうのは避けたい。
「はぁ,これは今後の課題ね…」
腕組みしながら溜息をつきながらベッドに入るのだった。
〜ベレーナの破滅脱却プラン〜
殿下と婚約しない!(現在進行中)
刺客に襲われても大丈夫なように鍛えて貰う (お母様の修行まで後2日)
毒魔法を判定時に知られないようにする
為に, 魔女の涙を使いこなす