第四話ステータスと読書タイム
「まっずっっ!!」
「大丈夫ですか!?お嬢様!!」
取り敢えず5日間の安静を言い渡された私はお医者に処方された薬を服用したが,あまりの不味さに大きな声を出してしまう。
そんな私にヴィオラは心配そうに背中を擦ってくれる。
「心配してくれてありがとう。お水を頂けるかしら?」
「どうぞお水です」
ヴィオラはコップに水を注いで渡してくれると,私は一気に飲み干す。
(2回目だから覚悟はしていたけど,本当にこの国の薬って不味いわよね)
一度目の時は余りの不味さに吐き出してしまい,移行は飲まないとワガママを言い放ったのである。
5日も意識がなく飲まず食わずの状態だった為に身体に栄養が行くように色々と薬草をブレンドした薬を1日1回は服用しないといけない。
(正直言って飲みたくないけど,お母様の稽古の為に体調は万全にしておきたいし…)
念の為に頭痛や吐き気止めの頓服用の薬も処方されているが正直言ってこれ以上具薬なんて飲みたくない。
そんな事を考えていると,ふとお医者様の言葉を思い出す。
『此方は頭痛や吐き気の症状が見られた時のみに服用してください。症状が無い時に服用したらかえって身体には毒になりますのでお気をつけ下さい』
(つまり薬も毒という分類で私の魔法で作れるかしら?というより私ってもう魔法が使えるのかしら?)
一度目の人生では今年の冬に屋敷で魔法測定を行い毒属性と判明し,年明けに殿下と婚約お披露目をしたから入学した時に学園では毒で皇太子を脅した悪女だと囁かれた。
(一度目の時は殿下に夢中であんまり自分の噂とか気にしなかったけど,今回も毒属性って知られると私の望む平穏な学園生活に支障をきたすわね…)
先ずは魔法が使えるか確認したいが,ヴィオラの前で使うのは躊躇ってしまう。
「ねぇ,ヴィオラにお願いがあるんだけど?」
「はいっ,何なりとお申し付け下さい!!」
まるで犬のように尻尾を振って嬉しそうにしていると錯覚しそうなくらい勢いの良い返事をするヴィオラに,私は笑いをこらえながら指示を出す。
「じゃあ,書庫に言って薬草に関する本を持って来てくれないかしら?」
「薬草に関する本ですか?」
「えぇ,苦くない薬草があるならそちらを頼んでみようかと思って…」
「分かりました。では行ってきます!!」
このお願いでヴィオラに部屋から離れて貰うことに成功する。もし苦くない薬草が本当にあったら儲け物である。
「さてと,今のうちにステータスっと」
私がそう呟くとブオンという音と共に目の前に1枚の板のような物が浮かび上がりそこには
ベレーナ・ドナマルバージャ
LV.1
魔力20
属性毒
使用可能魔法
毒玉
消費魔力5
麻痺毒
消費魔力5
特殊スキル
二度目の叡智
(良かった!魔法はもう使えるようになっているのね。あら?この特殊スキルは何かしら?)
一度目の時はステータスになかった特殊スキルの二度目の叡智に目が留まり底に触れるとスキルについて説明がされていた。
〜特殊スキル二度目の叡智〜
・一度目の人生で得た知識をそのまま引き継ぐことが出来る
・魔法も判定する前から使用可能状態になる
(このスキルのお陰で私には一度目の人生の記憶があるのね。獲得理由とかは流石に明記されていないわね)
「取り敢えずクローズっと」
ステータスを消すとこれからの事を改めて思案する。
(身体を鍛えると同時に魔法も少し上達して,薬も作れるか確認したいわね。それと魔法測定の時に毒魔法ってバレないように出来る方法があれば調べて使えるようになりたいわね)
そう考えているとコンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「お嬢様ヴィオラでごさいます。薬草に関する本を思いいたしました。」
「ありがとう,入っていいわよ」
片手で器用に分厚い本を数冊持ちながら,もう片方の手でドアを開けてヴィオラが入室してテーブルの上に置いてくれると部屋から出でいくと思ったらティーカートを押して入ってきた。
「お腹に優しいミルクティーをご用意致しました。また何かご用が御座いましたらお申し付け下さい」
カップにミルクティーを注いでテーブルに置くとヴィオラは退出していった。
(頼んでもないのに気を遣ってくれたのね。本当に解雇にならなくて良かったわ)
何て考えながら一番上の薬草図鑑を手に取り読んでいく。
(何このアカサンスって植物!?葉っぱと茎が下痢止めや止血作用があって,根っこには舌が痺れるくらいの毒があるのね)
そうして黙々と読み進んでいるとあるぺージの植物に目が留まる。
(えっと生姜かしら?何々身体を温める・消化を助ける・免疫を高める・吐き気を抑える色んな効果があるのね。すりおろしてスープに入れたり,レモンとハチミツと混ぜてお茶にしてもいいのね)
とても興味深い物を見れて満足したので一度本に栞を挟んでミルクティーを飲んで一息つく。
(夜にでもお父様を通してショウガを薬代わりに出来るか聞いてみようかしら)
この国で手に入るかわからないが駄目元で聞いてみよう。これであの薬を飲まなくて済むならとてもラッキーである。
そうして読書を再開するのだが熱中した余りヴィオラから注意を受けるのだった。
〜ベレーナの破滅脱却プラン〜
殿下と婚約しない!(現在進行中)
刺客に襲われても大丈夫なように鍛えて貰う (お母様の修行まで後5日)
New毒魔法を判定時に知られないようにする
(方法模索中)