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第三話新しい人生の選択

(ヴィオラを解雇しないためにはどうしたら良いのかしら…)


 そう考えながらお医者様の診察を受ける。顔色や唇に爪の色のチェックや心臓の音や不調はないかの問診,更に手足を顔を動かしたりしてみて麻痺などないか確認が全て終わるとお医者が口を開く。


「お嬢様を診察させて頂きましたが,特に後遺症といった症状も見られません。念の為に5日間程安静に過ごされて何もなければ大丈夫で御座います」


 その一言に安堵の表情を浮かべる皆を見て胸を撫で下ろすと,廊下からドタドタと物凄い足音が聞こえてくる。


「はぁはぁ,ベレーナは無事かあぁ!!」

「お祖父様!?」


 息を切らせながら勢い良く入室してきたのは,お母様に父君にあたるロッソ・ポルポラお祖父様だった。


 南の国境を守護するポルポラ公爵家の前当主であり,現在も現当主の叔父様の相談役をされている。


 齢70だというのに筋肉でがっしりとした体躯で白髪とは対照的に小麦色の肌のお陰で若々しく見えている。



「お父様お静かにしてください。ベレーナは先程目を覚ましたばかりですよ」

「そうか,すまんのぉ。無事に目が覚めて良かったわい。わしがおれば刺客など返り討ちにしてやったのに…」

「警備が不十分で申し訳ありません…。現在警備の見直しと刺客の捜索を行っております」


 私は大人達の会話を聞いてピーンと閃きお祖父様に声を掛ける。


「あのぉ~お祖父様,ちょっといいですか?」

「おお~,何じゃベレーナよ。慌てて来てしもうたから見舞いの品を忘れてしもうたの。その代わり何でもお願いを聞いてやるぞ」


 その言葉を聞いて私は内心で(よしっ!!)と思いながら笑顔で願いを口にする


「では私とヴィオラを強くしてください!!」

「「「「「えっ!?」」」」」


 大人達は揃って驚きを隠せないでいる。

いきなり目を覚ましたばかりの子供にそんな事を言われたら驚くのも無理はないだろう。


 お祖父様のお言葉で閃いたが単なる思いつきではなくきちんとした理由もあるのだ。


まず1つ目に私が強くなる為に鍛えて貰う事でお祖父様のように健康で長生きが出来る。


 2つ目にヴィオラも一緒に鍛えて貰う事で彼女の解雇を回避出来る。彼女が強くなることで屋敷の警備強化に繋がる。


 そして3つ目は,

「えっと,私が目を覚ました時に皆とても心配された顔を見て心苦しかったのです。でも私がお祖父様みたいに強くなって刺客をから自分や家族を守れるようになれば皆悲しまなくても済むと思ったのです!!」


 そう前回と同じ轍を踏まない為にこの時の選択肢を変えることで,今後の私の人生は未知となる。


 また刺客が私や家族を狙ってくるとは限らない。家族全員笑顔で人生を謳歌する為に強くなる事は恐らく必須である。


 「ベレーナよ,なんて家族思いで優しい子に育ったのじゃ。よし分かった,その願い叶えてやろう」

「本当ですか!?ありがとう御座います!!」


 涙ぐみながら私の方に手を乗せたお祖父様に私は嬉しさの余り抱きしめてしまう。


「はぁ,私もベレーナの願いを何でも聞いてあげようと思ったのに……。お義父様に先を越されてしまったな。仕方ない,娘のたっての願いだ。ヴィオラよお前の処分は不問に処す。これよりは精進してベレーナにつくすのだ」

「あ、あ、あ、ありがとう御座います,お嬢様!!このヴィオラ全身全霊で強くなって見せばす!」


 お祖父様に先を越されて不貞腐れているお父様がヴィオラに少しキツく当たるように処分撤回を告げると,ヴィオラは感極まって泣きながら土下座でお礼を言ってくる。


「ワシが直接二人を指導しても良いのじゃが,流石にずっと領地に不在というわけにもいかんしのぉ。さて誰を師匠に付けるかじゃが…」


 お祖父様が悩んで腕組みしていると以外な返答が返ってくる。


「あら別に誰かを招く必要はありませんわよ。私が責任を持って二人を教育しますわ」

「えっ!?お母様がですか?」

「えぇ,私も子供の頃にお兄様達と混ざって稽古を嗜んだ経験があるのよ」


 以外なお母様の過去に驚いていると,その反応にうれしそうなお母様は扇を口元にあて微笑んでいる。


「な,何を言っているんだい?お前はこの時期皇后様のお茶会があっただろう?」

「そうじゃぞ,二人の指導者はワシが見繕うからお主は公爵夫人としての務めをしっかり果たしなさい」

「お二人共何を馬鹿な事を仰っているのですか?子供命の危機に瀕したというのに何事も無くお茶会に出席したほうが皇后様に顰蹙を買います。ましてや刺客に侵入されたばかりなのに屋敷に人を招くのは必要最低限にするべきですわ」

「「ぐっ……」」


 何故か慌てて口を開くお父様とお祖父様に対してお母様は正論を持ってバッサリと切り捨てる。


 「取り敢えず安静期間が終わってから稽古をつけてあげましょう。いいわね二人共?」

「はい!!お母様!!」

「宜しくお願いします!!奥様!!」


 私は嬉しさの余りおでこが布団につくぐらいベッドの上で深々と頭を下げ,ヴィオラは土下座のままで返事をする。


 その時お父様とお祖父様の二人は顔色が何故か青ざめているのか分からなかったが,この後思い知ることになる。


「お父様とお祖父様はお顔が変だけど何処か具合が悪いの?」


「大丈夫だよオルテンシア」

「そ,そうじゃぞ,この通り元気じゃぞ」


 オルテンシアは二人の顔色を見て不思議そうに聞いてくると慌てて誤魔化しているのだった。

ベレーナの破滅脱却プラン〜


殿下と婚約しない!(現在進行中)


ヴィオラを解雇にしない(クリア!!)


New刺客に襲われても大丈夫なように鍛えて貰う  (まさかのお母様が指導してくれるなんて!?)

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