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第二話頼もしい小さなお医者様

「お嬢様,ご家族の皆様をお連れしました」

「どうぞ,入ってもらって構いませんわ」

 

部屋の外からノックが響き,ヴィオラが部屋の扉を開けると


「ベレーナ無事で何よりだ」

「ベレーナ本当に目覚めて何よりだわ」

「お姉様,もうどこも痛くないの?」


 心配そうにお父様とお母様に妹のオルテンシアが私の顔色や体調を確認してくる。

「大丈夫ですわ,お父様にお母様。それに心配してくれてありがとう,オルテンシア」


 私の言葉に安心した三人は安堵の表情を浮かべる。


 皆の表情を見て申し訳無さでズキンと心が痛む。あの舞踏会の後も皆を酷く悲しませたのではないだろうかと…


(折角の二度目の人生なんだもの,家族皆笑顔で過ごして生きたいわね。)


 ふと考え込んでいると突然ゴン!と大きな音で我に返る。


「申し訳ありませんでした!私のせいでお嬢様を危険に晒してしまいました!!この一件につきましてはどのような処罰でもお受けします!」


 何とヴィオラが床に顔を擦り付けて土下座の体制になっていた。


「えっ!?」

「本来であれば我が家娘を危険にさらしたのだ!その命で償ってもらう覚悟はあるのか?」


 驚きの余りに私が変な声を出していると,お父様が今にも射殺す勢いの冷たい視線と厳しい声をヴィオラに投げかける。


 その迫力に私は固唾をのみ,オルテンシアは震えてギュッと私の布団を握り締める。


 そんな緊張感漂う空気を壊したのはまさかのお母様だった

「ちょっとアナタ!それにヴィオラも子供達の前で話す事ではないでしょう!」


 何とお父様の耳を引っ張りながらお母様が二人に注意する。


「イタタタた!!それはわかっている。だが,我が公爵家の娘を危険に晒しておいて何の咎もないとは他の使用人にも示しがつかないだろう」

 

「もっもっ申し訳ございません!」


(えっと…,前の時はヴィオラはどうなったのかしら…)


 大人達が言い合っている間に一度目の時に目が覚めた後どうなったか必死に思い出そうとする。


(……駄目だわ,王子様と婚約したいとお父様にお願いしたことしか思い出せない)


 我ながら自分の事しか考えておらず,好き放題やってきたのだと情けなくなくなってしまう。


 この事件以降ヴィオラの顔を見た記憶がないと言うことは、おそらくお父様が処分を下したのだろう。


 良くて追放,最悪本当に命を奪われたかと思うとゾッとしてしまう。


(でも彼女を解雇にしなければ一度目の時の回避へ繋がるのかしら…)


 すると頬へツンツンとつつかれた感触を覚えると,オルテンシアが私の頬へ指をつついて心配そうにじーっとこちらを見ていた。

 

 「お姉様の顔色良くないけれど,何処か痛いの?」

「だ,大丈夫よオルテンシア。少し気を失う前の事を考えていたの」


 オルテンシアの気遣いに申し訳なく思いながらも,苦し紛れの嘘をつく。


 流石に一度目の人生の事を考えてましたとは言えれない。


 するとオルテンシアがベッドから降りると,トコトコと大人達の方へ向かう。


 まだ言い合いを続けているお父様とお母様に,ひたすら土下座で謝罪を続けるヴィオラは近づいてきたオルテンシアに気付かない。


 ムッとした顔になったオルテンシアは大きく息を吸うと,


「お父様!お母様!ヴィオラ!」


 いきなり大声で呼ばれた三人が驚いてオルテンシアへ視線を向ける。


「病人がいる部屋ではお静かになの!メッなの!」


 小さなお医者様に注意された三人は

「「「はい…」」」

 シュンと項垂れながら返事をするのだった。


 (フフ…ありがとう,オルテンシア)


 心の中で頼もしい妹兼お医者様にお礼を述べながらつい笑顔になってしまった。

〜ベレーナの破滅脱却プラン〜

殿下と婚約しない!

ヴィオラを解雇にしない(でもどうやって?)

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