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⑨⑦留め猫

書き進めている内に四章が会話と説明が殆どになってしまっている‥‥‥。

あと意図してないんですがテーマが柄でも無いのに「家族」になりつつあります。

いや~作中の人達が勝手にそうしてるんですよ笑

「ひゃひゃひゃひゃ!!!!」

気でも触れたか?何で笑う?


「何かコワい」

「ヒラ様は一体」

「お嬢様、御下がり下さい」

ステトの言う事は尤もで、その笑い声が更に大きくなるとカーラとナサも警戒し始める。


「ひっひひ、どうじゃヒウツ、お主も解ったじゃろが?」

「鬼人の能力じゃ負けてません、あの妙な投げが」

俺達全員がその異様な笑いに呆気に取られている間にヒウツが立ち上がっていた。


「負け惜しみよな」

「ぐ‥‥殺して良いなら相手になりませんです」

「まぁそうじゃろが、これで証明された。混血であっても十分に里の者としての資格があると言う事じゃ!」

あの笑いはナサの力量を見て喜んでたからか。


「ひゃひゃひゃひゃ、これが儂の血、傍系の血、血統の力よ。救われたぞ!」

投げの体術に血統なんて関係無いのに、都合の良い事言って勝手に盛り上がってら。


「ひゃひゃひゃひゃ!!!」

「付き合ってられねぇな‥‥」

また笑い始め両手を天井に掲げて1人喝采を挙げる族長(じじい)を俺は冷めた目で見る。


「行こうぜ」

「うむ。さ、お嬢様」

「はい」

「じぁネ~」

カーラとナサが先に動き、ステトと俺が後ろに続くと今まで大人しく座っていたシデが戸を開けてくれた。


「シデ殿、この様な事になって済まぬ」

「ナサ坊のせいじゃ無いさ、こっちこそ悪かったね」

「シデさん」

「孫娘、カーラも気を悪くさせて申し訳無かった、アンタ達にも‥‥」

「な?行かすでないシデ!!」

今度は族長(じじい)が前に出て俺達を遮るとシデを睨み付ける。


「何を考えておるんじゃお前は」

「ヒラ様、これはやり過ぎだよ」

「里が絶えるのじゃぞ!!」

「それでもさ、こんなやり方は間違ってる」

「別にその坊主を傷付けたりはせん、母親の故郷に力を貸せと言っておるだけの事」

「そのクデと家族を追い出したのは誰さね」

「儂はクデを追い出しておらん!」

「引き裂こうとしてたじゃ有りませんか」

「うっ」

「それであの子が残ると思っておいでだったのかい、あれだけ好いてた男を置いてさ」

「あの時は人族を居させる訳にはいかんかった‥‥」

「ナサ坊の事も煙たがってた覚えがあるけどねアタシには」

「今は状況が違う事は解っておろうが!」

「関係無いさね、虫が良すぎると言いたいのさ」

「‥‥‥」


なるほどな。

毒を盛られた事とどう関係あるのか解らないが、人族の父親だけを追い出すつもりが母親は一緒に付いて行き、結果ナサの家族はナンコー領に移ったんだ。


「シデ殿、今の話は‥‥」

「もう過去の事さ、知っても仕方ないよ」

「しかし」

「それより今は行くんだ」

「行きましょうナサ様」

「‥‥は」

「良い子だ、さ、お行き」


「‥‥‥お主しか救えん」

「ナニか言ってるけど?」

「知るか、行くぞステト」

族長(じじい)が消え入る声で言っているのを無視して俺達も後に続く。


「『(ポーション)』はもう要らん、その男を選ぶ」

今度ははっきりとした声で族長(じじい)がそう言い放った。


「だってよ」

「ヒラ様、もうお話は終わりましたが」

「俺は何を言われても戻るつもりは無い!!」

俺は手に負えないと降参の意味で手の平を上に向け、カーラは冷静に、ナサはさっきのシデとのやり取りを聞いてか怒気が混じっている。


「そこの人族、お主がその条件を言ったのじゃぞ」

そう来たか、本っ当にしつこいなこの族長(じじい)


「あれはあんた()が力尽くで出た時にご破算してる、それにあの鬼人(おとこ)達はどうするんだ?四十年生かしてたのに諦めるのか!?」


シデの夫と息子はその中に入ってるし、丸太を投げて来た娘の父親も恐らく入ってると思う。と言う事は『(コセ・ポーション)』で生かされているのは(ここ)の女達の大切な存在である男達で、それを諦めるなんて、このまま死なすと宣告されたも同じだ。いくら一族の(おさ)の決定でも果たして納得するんだろうか? 


「もう目覚めんじゃろ」

「‥‥そう思う気持ちも解るけど良いのかよ?」

「儂の決断に文句は言わさん」

「いや絶対言うと思うけど」

「誰がじゃ?」

「この人」

「当たり前さね」

シデを見てみると明らかに納得なんかしてない顔だ。


「いくらヒラ様の言う事でもこれは聞けないよ」

「種族の為じゃ」

「見殺しにするのがかい?」

「‥‥もう四十年も目覚めんのじゃぞ」

「それでもさ。息があるからアタシを含め集落の女は希望を捨てずに来れたんだ、それを奪うのがヒラ様の決定だとしたら黙っちゃいられないよ」

「希望はそ奴、血を受け継がせる事が希望なのじゃ!!ヒウツ、もう殺さなければ何をしても()いナサを捕えい!!」

「はい」

シデもこの盲目族長(じじい)に呆れた顔をして俺を見る。


「人族、アンタの名は?」

「フツ」

「フツ、ちょいと揉めるから皆を下がらせな」

「シデ殿」

「ナサ坊もだよ」

そう言ってシデはヒウツと対峙した。


「何のつもりだシデ」

「行かせてやるんだよ」

「人族の肩を持つのか」

「お前さんはそればっかりだね、やったのは人族だけどこの子達じゃ無い」

「ヒラ様に逆らうと?」

「旦那や息子を見殺しにするなんて聞ける訳無いじゃないのさ、それにお前さんこそ良いのかい?」

「‥‥‥‥」

「ヒウツ!」

「‥‥‥‥」

ヒウツも身内の誰かがあの中に居るのか、族長(じじい)が急かしても動かない。


「オイは‥‥」

「それとも集落の女全員とやり合うかぃ?」

「そんな事してもナサさんは戻らないぞ」

「ヒウツさん、もっと別な方法を探しましょう」

「別?」

「はい、きっと他にある筈です」

「‥‥‥」

「ヒウツ!!」

俺達が原因で仲間争いになるなんて良い気分じゃないし、誰もそんな事望んじゃいない。葛藤しているヒウツに話し掛けると族長(じじい)が声を荒げた。


「えぇ~いこの役立たずが!」

「兄さん!」

「む!?」

「え?うわ!!」

「邪魔しよって猫娘」

ステトがナサを押し退け、族長(じじい)が代わりにステトを羽交い絞めにする。


「ステトさん!」

「ステト!!」

「このっ」

「離せヨ!!」

「逆らうでない!よいか、この娘は坊主と交換じゃ!!」

無茶苦茶言いやがって、今度は人質かよ。


「行かせるか、『アルピ‥‥』」

「手を出すんじゃ無い」

「?」

ステトを捕まえ抱えたまま部屋を出て行こうとする族長(じじい)に向かって、俺は咄嗟に腕を上げ『力』を出そうとしたがシデの声で最後まで唱えなえるのを止める。


ガシャン!

「くそっ‥‥」

族長(じじい)が家屋から出て行く音が聞こえたが、もう間に合わない。一瞬であのステトを捕まえ抑え込むなんて、それにあのまま撃ってたらステトにも当たる可能性もあったな。


「フツさん!ステトさんが」

「後を追うか?」

「いや」

老齢と言っても鬼人だ、多分追い付けないだろう。


「あの娘は大丈夫さね」

「何で解るんだよ?」

ステトは傷を負わされても大丈夫だし、正直俺もそう思っているが気に食わない。


「ヒラ様にあの娘っ子の世話なんて出来る訳無いだろ、結局アタシを含めて集落の女達が面倒見る事になるんだから心配要らないよ」

「それは、まぁそうかも知れないけど」

「今のヒラ様はおかしいけど馬鹿じゃ無い、取り返しのつかない事はしないさ」

「いやどう見ても馬鹿だぞ」

「アハハハ、一本取られたね、アンタは面白い人族だよフツ」

笑いながらシデはヒウツに向き直る。


「ヒウツ」

「‥‥何だ?」

「ヒラ様の事頼んだよ」

「頼む?」

「このナサ坊は戻らないと決めたんだよ、なのに『(ポーション)』を要らないなんて、これ以上ヒラ様が先走ったら本当に里が絶えるじゃないのさ」

「‥‥‥」

「だからヒラ様が冷静になるまで側で支えとくれ」

「‥‥解った。小僧まだ終わってないからな」

そう言ってヒウツが部屋から出て行った。


「しつけぇなあいつ」

「うむ、混血の俺に負けたと認めたくないのだろう」

「それだけじゃ無いんだけどね‥‥」

「あ?」

「シデ殿?」

「何かナサ様に固執する理由があるのですか?」

「ハァ~どうだろうね、関係無くは無いと思う」

シデの言葉に俺達が反応する彼女は溜息を吐く。


「ヒウツはナサ坊、アンタの母親に惚れてたのさ」


次回更新は7/14くらいになると思います。


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