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⑨②種鬼

うわ!!また間違えた!すいません!!!急いでの投稿です



それにしても四章もそこそこの長さになりそうな‥‥しかも今書いてる時点では派手な展開は望めないです苦笑。色々と何かに繋がる内容にしようと思ってるので、その辺を楽しんで頂けたと思います。

「まさかナサ様が子供扱いされるなんて」

「向こうは知ってるみたいだったな、それにあの動き」

「不覚‥‥」

ナサを軽々持ち上げた男の話になって、その当人はと言うと(やすやす)々と背後を取られた事に相当悔しがっている。


「ナサ様はそのお方の事を覚えてます?」

「いえ、シデ殿の事も記憶に無く」

「兄さんは冷たい(オトコ)

「ぐ‥‥面目ない」

相変わらずステトはナサには厳しい、今は凹んでるんだから優しくしてやりなさい。


「それよりお主、あの娘から聞いた事を話さぬか」

「俺に振ってくるなよ」

まぁそろそろモトから聞いた事を話す頃合いか。


「少し重い話になるぞ」

そう前置きして毒を飲まされたらしい事と、鬼人族の男だけ犠牲になった可能性など俺の考えを話した。


「何て事を」

「卑劣な」

「ヒドい」

「それが本当なら人族が歓迎されないのも解るしさ」

生前信用があったセフ祖父(じい)さんの孫娘であるカーラは受け入れられてるが、従者とは言え人族の俺は憎しみの対象になる。


「ナサさんが狩猟や材木の切り出しは男の仕事だと言ってたし、それを女達がしてるって事は男が居ないか減ったかだ。もしそうなら女っかりなのも説明が付くだろ?」

「確かにお主の言う通りかも知れん」

(オトコ)がキラいだったのかナ?」

「‥‥‥」

カーラは黙り込み厳しい顔で何か考えてる。


「どうした?」

「居らしたのはその鬼人男性だけですか?」

「ああ、他に見たのは皆女ばかりだった」

集落で見た鬼人族の男は族長以外ではあの男だけだ。


「ナサ様」

「は」

「ヒラ様とのお話はお断りした方が良いと思います」

「何と」

「そのモトさんが言った事が本当だとしても私達には関係無いからです」

「お嬢さま!それは」

彼女の冷たい物言いにナサが驚いて腰を浮かす。


「悲劇だとは思いますが私達ではどうする事も出来ませんし、やるべき事がまだ残っています」

「カーラがそんなコト言うなんて、兄さんの生まれたトコなんだヨ?」

ステトも立ち上がりそんなカーラに反論するが、俺はそれが本心では無いと解っていた。


「落ち着け2人共」

「しかし‥‥」

「でもフツ」

「いいから座れって、ほら茶でも飲め」

ナサとステトが腰を下してもカーラの態度は変わらない。


「カーラはあんたの事を気遣ってるんだよ」

「俺を?」

「?」

「何で族長はあんたと話したいと思う?」

「俺が集落(ここ)の出身だからであろう」

「四十年も経ってか?」

「む」

「兄さんのシンセキのオバさんも会いたかったんだヨ」

「ナサさんの母親が死んだって知らなかったのにか?」

「う」

「ナンコー領は隣だぞ?その気になれば何時でも話なんて出来たのに何で今なんだ?」

「お嬢様と会うついでであろう」

「違うよなカーラ!?」

「はい、私が「ついで」なのでしょうね」

ステトは当然だが、ナサも意味を図りかねている。彼女の冷たく見えるその表情は族長の話がどんな内容の話なのか察したからだった。


「死んだのか出て行ったのかは今は置いておくとして、鬼人族の男達が減ったって事はだ」

「うむ」

「長寿でも希少な種族なんだし、このままじゃ絶える可能性があるって事だよな?」

「そうだが」

「だとしたら鬼人族の血を引くあんたの『種』が欲しいと言い出してもおかしかないだろ」

「な!」

「タネ?ツガイ?」

「そうツガイだ。族長はナサさんに嫁を取れと言うつもりなんだよ、子を作れってな」

「しかし俺は人族の血も入っておるのだぞ?」

「そんなもん何世代かしたら薄まるじゃねぇか、あの執事さんだって亜人の血は入ってるが世代を重ねて何族の血筋なんて知らないみたいだし今じゃ人族扱いだ。それと逆だよ」

ナンコー領属準男爵タキ・ゴンゲは人族だが先祖には亜人の血が混じっていて、その力は人族離れしていた。


「ツガイを作るの兄さん?」

「いや‥‥考えた事も無い」

予想外の話で面食らってる。


「それだけでは済まないと思います」

「だよな」

「お嬢様、それは一体?」

「ヒラ様はナサ様をこの集落に戻って欲しいと言うつもりなのでしょう」

「俺にそのつもりは御座いませんが」

「あんたがそうでも向こうは違うんだろ、力尽くでも居させるんじゃないか?」

「うえ~あのツヨそうなオジさん」

だからカーラは族長(じじい)との話をさせたくないんだ、出身集落の長とは言え他領の騎士爵を持つナサを奪う権利など無い。強行されたらナンコー領とツルギ領との諍いにまで発展する恐れもある。


「お嬢様の御憂慮しかと承りました、なれど」

「ナサ様は鬼人族の皆様が毒を飲まされた事が気になるのですよね?」

「は」

「真相を知ってどうするつもりですか?」

「‥‥解りません」

「どう思いますかフツさん?」


カーラが俺を見るので頷く。

「言っても聞かなそうだし、確かにこのままじゃ()わりが悪い」

「ケツが悪いの?」

「落ち着かないと言う意味だステト、尻は関係無い」

すっかり説明係だな。


「約束して下さい、ナサ様1人では駄目です。皆でヒラ様のお話をお聞きしましょう」

「お嬢様を巻き込む訳にはいきませぬ」

「ナサ様を今回の取引に巻き込んだのは私です、それに大事なナンコー領の騎士を渡すつもりはありません」

「お嬢様」

「お子様をお作りになるのは構いませんけど」

「は?いえ俺は」

「冗談です」

カーラは笑顔でそう言った。


外の様子は解らないがもう夕方になってる頃で、室内灯魔具(インテメ)が無いので囲炉裏に薪を足し火を強くしたが薄暗い。鬼人族と獣族は夜目が効くから問題ないけど人族の俺とカーラには心細い明るさだ。


「誰か来るぞ」

ナサが言って直ぐ入り口の引き戸が開く音が聞こえ、入って来たのはデンボ・ハレノで食事を持って来てくれたみたいで、目の前に置かれたのはまた何かの丸焼きだ。昼は角兎で夜は‥‥鳥?


美味(ウマ)そう!」

「久しいなこれは」

ステトとナサにはこういう食事が合うのか早速かぶりついてる。俺は昼と一緒でカーラにナイフで切り分けてやりながら彼女に丸焼かれてる物体の事を聞く。


「これ鳥だよな?」

「はい、多分ですけど大鶏だと思います」

「普通の鶏とは違う?」

「大鶏は空を飛ぶんですよ」

「へぇ外側領は王都で出回らない生き物が多いから面白いよ、この調理法もさ」

「外側領でもこの様な丸焼きは出ませんけどね」

鬼人族の豪快さに少し苦笑交じりだ。


デンボが俺とカーラの向かいに座り自分の分を食べ始める。こいつって鳥人との混血だよな?良いのかこれ食って。そんな事を考えるのは差別かと思い、気にせず俺も肉に食らい付いた。

腹が満たされても量が多いので残りはナサとステトに託してお茶を飲むと、デンボも同じく2人に託した様で話し掛けて来る。


「集落を見て回れたんですか?」

「全部じゃないけど見たぞ」

「何事も無く?」

「忠告通りとんでもない目に遭った」

「でも無傷で戻って来られたんですね」

「体はな」

「?」

女の敵って言われて心に傷を負ったんだよ。


「デンボさん、お聞きしても良いですか?」

「何でしょう」

「貴方はこの集落の男性が少ない理由をご存知ですよね?」

「それは」

カーラのいきなりの質問にデンボが驚いて言葉に詰まる。


「ヒラ様はナサ様に何のお話をされるのか知ってますか?」

「‥‥‥」

「何故『(コセ・ポーション)』が必要なのでしょう?」

「‥‥‥」

「ハヤ様も必要とされてるのは何故ですか?」

「‥‥‥」

「貴方はどっち側なんですか?鬼人族?ハヤ子爵?」

デンボは矢継ぎ早に質問するカーラに終始無言だ。それよりもこんなカーラは初めて見る。商売柄秘密には慣れている筈なのに腹を立ててるみたいだった。


「私は」

ドンドン

「私が出ます」

デンボがカーラに何か言おうとした時に引き戸を叩く音が聞こえ、立ち上がると逃げる様に入口に向かう。


「お主が迎えか」

戻って来たデンボに続いて入って来たのはあの鬼人の男で、ナサが声を掛けると男が頷く。


「ヒラ様が呼んでいる」

「お断りします」

カーラが即答した。

すいません、私用で時間が取れないかも知れないので次回の更新日は未定です。

でも3~4日後には更新するつもりなので良ければ覗いて下さいませ。少しずつですが読者数が増えて来たので(気のせいかも笑)本当に嬉しいです~


読んで頂き有難う御座います。

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宜しくお願いします~。

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