⑧⑧鬼人族の娘達
すみません!!投稿日間違えてました!!苦笑
そして先行して書いてた内容が気に食わず削除、ストックが切れました。。。
これからは不定期になりますが次回投稿日は今まで通り後書きに載せますので宜しくお願い致します。
読んで頂いてるレアな皆様の存在が意欲に繋がっております!!!!
「人族の男がこの集落に通う様になって最初は集落全員が怪しんだ。だってこんな何も無い所に人族が何の用があるのさ?ヒラ様がその理由を聞くと『鬼人に憧れてた』とか世迷い事を言ってたみたいさね。興味本位で鬼人族)の生活を覗き見られるなんて真っ平ゴメンだ、誰も相手にしなかった。それでもあの男は懲りず挫けず通い続け、気が付きゃ住み着いていたよ」
何だよ「憧れてた」って。
話を聞く限りナサの父親は相当の向こう見ずな男だったみたいだ。
「住んだは良いが集落でやれる事は限られてる、人族じゃ切り出した丸太なんて運べないなからね」
「では父は何で糊口を凌いでおったのだ!?」
「さてね、蓄えでもあったんじゃないかぃ」
それにしても何の為にか鬼人族の集落に居着いたんだろ? 憧れてたって言ったって仕事も無い、身寄りも無いでは苦労しに行ってる様なもんだと思うけど。
「まぁ害が無いと解ってからは、あの男が庭で細々と作った作物を肉と交換したり、獲物の解体を手伝わせたり、少しずつ打ち解けて挨拶するぐらいになったよ。その中でもあんたの母親のクデが良く話掛けてたね」
「それは何故であろう?」
「何せ鬼人族の集落に初めて住んだ人族だ、右も左も解らないあの男をクデは見るに見かねて、色々世話を焼く様になった」
「父が母に懸想したと?」
「まぁ待ちな。アンタの父親は以前から鬼人族の為に何か出来ないかと林業以外にも稼げる方法を考えてたみたいでね、四方八方探してこの土地に合う作物を見付けたんだ」
まさか芋とか言うなよ。
「作物とは?」
「茶さ。山のへりでも何とか作れると思ってたみたいでね」
鷲人のヤトがくれた美味い茶の事だ。
以前までツルギ領の特産品だと言っていたがナサの父親が始めたのか。
「色んな場所を試したいと獣や魔獣が居る山に人族が1人で入る始末さ。危ないってんでクデが付き添いをすると言い、2人で過ごす時間が長くなった」
「それで父と母が」
「お互い意識し始めたんだろうけど、まだハッキリとした感情じゃ無かったと思う。それより茶が成っても酷い味でね、アタシ等はそんな事だろうと馬鹿にして、いい加減出て行けと言ったもんさ。それでもあの男は諦めず、肥料を変えたり季節を変えたり試行錯誤を続け、ついにはいっぱしの茶を作り上げたんだよ。あの時止めてたらクデは見放してたも知れないね」
シデは感心する様に話を続ける。
「今まで以上に2人の距離が近くなると、そこからは早いもんさ、一緒になりたいと2人が言い出した」
「しかし父は人族、この集落の者達が許すとは思えんが?」
「集落の者として認められ始めてはいたけど、鬼人と人族が一緒になるなんて事は簡単に許して貰えるもんじゃない」
「ではどうして‥‥」
「そこでもあの男は諦めなかったのさ。絶対に幸せにすると数年掛けて皆を説得し、やっとの事で許しを得たんだよ」
あの族長も認めたなんて意外だな。
「あの2人は本当に仲が良かったし、あんたが生まれてからも幸せに暮らしてた」
「では何故ナンコー領に移ったんであろう?」
「アンタは何も言われて無かったのかぃ?」
「違う環境を望んだと後年父が言っていたが」
「そうかい‥‥それも当然さね」
「父と母が集落を出た理由をご存知か!?」
「色んな事があったんだ‥‥とにかくアンタ達家族が居なくなってあたしゃ淋しかったよ」
「‥‥‥」
ナサはそれ以上何も言わなかった。
話の区切りも良さそうなので、俺は家の事に話を戻す。
「両親の話を聞いたら尚更懐かしさが込み上げたんじゃないのか?せっかく来たんだし覗かせて貰えよ」
「行ってくれば兄さん?」
「うむ、もう来る事も無かろうからな」
「入れる訳にはいかないよ」
シデが俺を睨み付けて言った。
「生まれた家なんだぜ!?」
「従姉妹の息子でもこの集落の者じゃ無いなら駄目なものは駄目なんだよ、アタシの話で満足しな」
そこまで言われると逆に気になるんだけど。
「じゃ他の所でも回るか」
「人族、無事に帰りたきゃそろそろ客屋に引っ込んだらどうだい」
「鬼人族があんたみたいに親切なんだったら大丈夫だろ?」
「アタシが分別あるだけさね、集落の者には期待するんじゃ無い」
「オレは?」
「巻き添え食ってもいいのかい娘っ子」
「あんたの言う事なら聞くだろ?口添えしてくれれば助かるんだけど」
「アタシが止めても聞きゃしない、人族はそのくらい嫌われてるんだよ」
ナサの母親世代である従姉のシデはそれ程でも無いみたいだし、四十年前は人族であるナサの父親を受け入れてた。それが一体何が起こってここまでの敵意を持つ様になったんだ?
「言う事をお聞き」
シデが改めて忠告するとナサは頭を下げる。
「俺が知らなかった話を感謝するシデ殿」
「いいさ、アンタに会えて良かったよ」
そして素直に踵を返すとそのま歩き出した。
「気にならないのか?」
「母の従姉妹に迷惑をかける訳にはいかん」
「シンセキだもんね」
「あんたが良いなら俺は文句無いけどさ」
ただあの族長に意趣返ししそこなったのが何か悔しい。
「アブナイ!!!」
「お?」
ステトが叫び俺を押した。
ドオオオオン
俺が歩いてた場所に丸太が降って来て地面に突き刺さった。
「おお、有難なステト」
「まだ来るヨ!!」
ゴツッ
彼女の視線の先からまた丸太が飛んで来て、ナサが大剣で防いでくれる。
「お主等は下がっておれ」
ガキッ、バグッ
更に数本飛んで来た丸太をナサが打ち落とす、転がってるのは下敷きになってたら死んでると思う様な太い丸太だ。
「洒落に無んねぇだろこれ」
「アッチ見て」
色んな意味で呆れてるとステトが指差す。その方向を見ると丸太を投げていたのは鬼人族の女達だった。力が強いのは解ってたけど女でこれか。
人族の俺に気を遣ってか、ステトとナサが前に出る。
「4人だネ、何かスゴく怒ってるヨ?」
「女と言えど鬼人だ、気を付けろ」
「もう遅いよな?」
ステト程の速さでは無いが、鬼人族の能力の高さを知るには十分な動きで、あっという間に目の前まで4人がこっちへ来る。その手には新たに斧や鉈を持っていて凄い形相だ。
おいおい、それだと本気で死んじまうぞ?
「何で人族がいる!」
「何しに来た!」
「出ていけー!!」
「人族はおっとうのかたきだ!」
おっとう?父親の事か?確かに何処か幼さが残っている。
仇って事は人族に何かされたからここまでの敵意を持つ様になったのか?
「案ずる事は無い、俺達は族長殿に呼ばれて来たのだ」
ここでもナサが初めに口を開く。
それを聞いた4人が互いを見合い、1人の女が前に出た。
「うそだ、ヒラ様が人族をよぶはずない」
「真の事だ」
「オマエは鬼人じゃないな?」
「俺の母が鬼人だった、この集落出身だ」
「こんけつか」
「そうだ、だが俺も十まで集落に居った」
「‥‥‥そんなのしらない」
「お主達と争うつもりは無いと言いたいのだ」
「‥‥‥アタイ達はもうだまされされない」
こりゃ駄目だ、何を言われても納得しない顔をしてるぞ。
この鬼人の女達はまだ若いんだろう、血の気も多いし、感情を抑えられない。
少しだけ族長の言った事解る気がした。
次回は6/15更新予定です。
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