表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/159

⑦酒の席で戯れ

麦酒を飲む。久々な味わいと感覚だ。

俺がゆっくりと二口目を楽しんでる時には既にステトのグラスが空になっていた。


「おいおい、久し振りなんだからそんなに一気に飲むと酔うぞ。」


「プハー!!ウマイ!いいんだよ酔っても。久し振りなんだから。

オヤジっ麦酒のおかわりお願い!!」


「確かにな、今日くらいは少し羽目外してもいいよな。」

俺も三口目で飲み干し、次を頼んだ。


この宿は夫婦で営んでいる食堂兼簡易宿だ。2階が部屋で1階が食堂になってる。

食事だけ来る客の方が多い様で、客席はそこそこ埋まってる。

料理は女将さんの手料理らしい。給仕は大将だ。

俺達のテーブルには地元の山菜のサラダ、蒸かした芋、獣肉の煮込んだものと

どれも素朴だが暖かみのある料理でとても美味かった。


酔いもそこそこ、俺とステトはこれからの事、お互いの事、他愛もない事など

際限なく話しながら自由な感覚を楽しんでいた。


ガッシャーーーーーーーーン!!

少し離れた席での音が響く。

俺達は騒がしくなりだした様子を飲みながら眺める。

娑婆って感じだ。

ただちょっと騒ぎが酷くなりつつあった。



「何だと!! もう一回言ってみろ!!!」


「だから解雇だって言ったんですよ。もう結構だと。

あ、あと役立たずとも言いましね。」


「女だからって俺達が何もしねぇとタカぁくくってんだろ!?

大体お願いしてきたのはそっちじゃねぇか! それを途中で用無しって何だよ!!」


「だってちょっと魔獣が出たからって、雇い主置き去り逃げ出す護衛なんて要らないですし。

しかもそれが魔獣でもなく少し大きな獣でしたよね?!

見間違いは仕方ありませんが。あの逃げ足の速さは呆れるのを通り越して関心しましたよ。

そんな貴方達を続けて雇うなんてありえないでしょう?

もちろん今日までの料金はお支払いします。

ではもう用はありませんので、ごきげんよう。」


男2人が顔を赤くさせて更に詰め寄る。

その言われ方が気に食わなかったのか、恥ずかしくなったのか。

「テメェ何だその言い草ぁ~!!

どうせロクでもない事してんだろ、チンコロしてやろうかぁ? 

口止め料も含めて護衛代は満額もらうからな!」


もう1人も毒づく

「ヘヘヘ、それにいいのかよ?こんな田舎じゃ俺達みたいな「仲介所(ギルド)」を

通さないで引き受けてくれる護衛なんぞ見つからねぇだろうしよ。

この辺りで女1人じゃ何が起こっても不思議じゃねえぞ。」


「余計なお世話です。いいからその報酬持って消えて下さい。

折角の料理が冷めてしまいますんで。他のお客様にも御迷惑です。」

その人物はもう終わりだとワインを口にする。


「なめんじゃねぇぞぉ!!!!」

男は料理の皿をたたき割った。


「あれ?フツ? どこ行くの?」


俺は気持ちよく飲んた所を邪魔されて少し頭にきていた。

酔いも手伝ってか、騒いでいる男達の席に向かった。

「何だよニイチャン? 文句あんのか!?」

「コイツ獣人のお姉ちゃんと一緒だぜ?!」

「おうおう、熱いねぇ獣好きかい。何の用だ、あ?」


「それな」

俺は散らばっている料理を指差した。

「はl?」 「なんだぁ?」


「勿体ないだろ。あと、うるせんだよ逃げ足自慢の護衛さん達。」

そう俺は酔ってたし、勿体無い精神の持ち主だ。


「なんだとこらぁ!!」

と1人が殴りかかってきた。


この手の男達は(ファミリー)に居た時散々相手して来た。

戦闘と言う意味では獣人で剣闘士であったステトには劣るが、

切った張ったの荒事を仕事にしてた。

剣術や武術なんぞ教わった事はない、が

俺は喧嘩に関しては無敵だった。


男の攻撃を(かわ)し頭を掴んでテーブルに叩きつける。

「女将に謝れ。こんな美味い料理を無駄にしやがって。」

鼻が折れたのか、男は血を噴き出している。


「~~~~~~~~~!!」


「何言ってるのか解ねぇけど代金払って消えろ、迷惑料もな。」


俺は男を捨て置き、自分の席に戻ろうとした。

するともう1人がこっち向かって剣を抜こうと動いたが

ステトが素早く男の首筋に短剣を当てていた。


「コイツはどーするフツ!?」

そいつは青い顔して俺を見る。


「ほっとけ、さぁ飲み直そうぜ。」

そう言うとステトは男を突き飛ばして再び席に座る。


他の客達は唖然としていたが次第に興味が無くなったのか、すぐに自分達の食事を再開する。

男2人は居づらくなったのか、いつの間にか店から姿を消していた。

なるほど逃げ足が速い。


俺とステトは何事もなかったかのように料理と酒を楽しみ大いに酔った。

因みに女将さんがお礼にと何皿かご馳走してくれた。

大変美味しく頂きました。




翌日目を覚ますと、頭が痛い。。。若干二日酔いだ。

体を起こすと隣にステトが裸で寝ていた。

・・・・・・・・・・まさか??

俺は自分を見た。下着を履いているのを確認をして少し安心した。


「こりゃ駄目だ、非常に駄目だ。。。」

なんちゅう危険な体をしとるんだ。この猫女わ!!

ステトに毛布を掛け直し、水桶で顔を洗った。

服を着て、この悶々とした感覚から逃げ出すように部屋を出る。


外に出て体を伸ばして今日の旅路の予定を考えながら町並みを散歩する。

小一時間で戻って来て、大将に水を頼んでテーブルに座ってると

声を掛けられた。


読んで頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ