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㉚義家族

ストックが現行に追いつかれつつあります、、、ヤバい。

手直し多過ぎ、、、、ヤバい。


リウの行動はエスカレートして行く。ケイの実家である『メスティエール商店』に

しつこくクレームなどを子飼いの者達に行わせた。

従業員たちへの暴力行為、挙句放火未遂までも。嫌がらせは執拗だった。

クスナも人を出して警戒に当たらしていたが、目を盗み隙を付いてくる。


別屋敷に住んでいたケイとカーラにもリウが手を回して実家から連れて来た侍女など使って嫌がらせを行った。使用人達は正妻の顔色を伺って見て見ぬ振り。そしてある日飲み物に毒が盛られる騒動が起こった。大事には至らなかったが祖父は娘と孫の身を案じ密かに王都に支店を開くと、領主(スクナ)にも黙って2人を連れ出し支店(そこ)に避難させる。


最愛の2人の姿が消え、クスナは愕然とし捜索するが見つからない。

義父にケイとカーラの居場所を問い詰めたが、「今のままでは教える事は出来ない」と言う。

何があったのか調べさせ事の詳細を知った。

リウの気性を考えケイとカーラの事も案じていたし注意もしていた。

何故だ!? 子も出来、正妻としても安泰。何不自由させてない。

クスナは後悔して怒りを爆発させ、関係者全員を厳しく処罰し別宅にリウを軟禁した。


しばしの時が過ぎ、クスナは忙しく執務に付いていた。義父を介してケイとの手紙のやり取りも始めた。娘が歩いたそうだ。此方からはナンコー領の状況など書いた。

他愛もない内容だがクスナはこのやり取りに癒されていた。


来年には父から爵位と領地を継ぐ。本当は直ぐにでも継ぎたかったが王国は今大変な時期で国中に病が流行り大変な被害を出していた。ナンコー領もその流行り病で多くの民が死んだが、王国が原因を発表しやっと治療薬が出来た。国中が復興している最中のこのタイミングでは王都も余裕がない。継承式はまだ無理だと判断した。同時にこの頃ナンコー領では大きな公共事業が計画されていた。

ついに王都から途中までだった国道が領まで繋がる事に決まったのだ。

皮肉な事に今回の病の流行が後押しにもなった。『外側領』では物資や人員、領内にある「院社(ヤック)」派遣される直階医(マーイ)権階医(ゴーイ)(ポーション)などは欲しくても直ぐには届かない。それは道が続いていないからだと訴えかけた。緊急の輸送路は必須だと義父であるダイユ・オーダ伯爵に働きかけ、中央の法衣貴族達にもに伝え後々の見返りを約束した。

クスナはその甲斐あって国道誘致を成功させたのだ。ナンコー領は病による被害からの復興、国道開通を見込んで新たな産業に着手するなども活気に湧いていた。

経済でこのナンコー領が『外側領』の救世主となる。クスナがケイに語った夢だった。

国道さえ完成すれば、軟禁を続けているリウと離縁する。ケイとカーラは戻ってくだろう。

そして後の子供達2人と共に皆で我が領を盛り立てて行く。長男と末の娘とは日頃から接しているし愛してもいた。

クスナは早くそれを実現すると手紙を書いたがある時期からケイからの返事が来なくなる。

今までもそんな事があってのでさして気にしなかった。子育てや理由があって忙しいのだろうくらいしか思ってなかったのだ。

しかし国道の工事が始まった頃、屋敷に『メスティエール商店』の義父が訪れ「ケイが死んだ」と伝えられた。そんな馬鹿な!何故だ!?

義父から王都の支店に避難させていた事、大流行した病に患って死んだ事を告白された。

クスナは義父を責めたてる、何故王都に連れて行ったのだと。

しかしそうさせたのは正妻から守れなかった自分だと言う事。やるせない気持ちに打ちひしがれたが娘が無事だと解ると、何としても娘と会いたい、これからは一緒に過ごしたいと訴えた。

義父は「解りました」とだけ言い帰って行き、カーラを呼び寄せてくれた。


後を継いだクスナ・ナンコーは久しく会ってなかった長女を溺愛した。

5歳になって貴族令嬢としての教育を始めた娘は優秀だった。それどころかお遊びで始めた商売や経済の勉強に興味を持つ様になり、どんどん知識を吸収していった。

正妻との離縁も子供達の事も有って結局しなかった。もうケイも居ないのだ、カーラに対する嫌がらせも無いだろう。その事を約束させ軟禁も解いたが共に暮らす気には成れず、妻には別館を用意した。

数年後、子爵から伯爵への陞爵(しょうしゃく)が認めれる。国道が開通し発展を続けるナンコー領には莫大な資金が流入した。それを約束通り中央の法衣貴族にばら撒いたのだ。

「爵位を買った」と陰口もたたかれたがクスナは気にする素振りもせず、自領発展に尽力した。

そして「『外側領』の窓口」とまで言われるほどになるのだった。


「こんな感じです。」

話終えたカーラはまた喉を潤し軽い口調で言った。

「なるほどね。カーラはナンコー家で育ったと。」

「はい。」

「じゃあ今のあんたが『カーラ・マハ』なのは?」

「数年前に祖父が亡くなりました。母が死んだ為マハ家には跡取りが居ません。祖母は思い出が多い本店に居るのが辛くなった様で、王都の支店に移りました。そして私は成人になった時、本店『メスティエール商店』を継ぐ事に決めたんです。」

「ナンコー家を出て!?」

「はい。商人『カーラ・マハ』として再出発したんですよ。」

「よく許して貰えたな。結構良くしてもらってたんだろ?親父さんに。」

「かなりと言うか頭ごなしに反対されましたよ。でも母との思い出の店ですし、『メスティエール商店』はナンコー領では老舗です。商店としての影響力もありますから、説得に説得を重ねて最後には泣く泣く許可して下さったんです。」

「娘だからな。」

「その代わり頻繁に顔を出せとおっしゃります。検問所での事は恐らく父の仕業です。悪い人ではないんですが個性的でして、過保護過ぎて困ってしまいます(苦笑)」

「あのピカピカの騎士は!?」

「ケンダ・ナンコー様でナンコー家嫡子です。そして私の異母弟になります。」

「正妻の息子か。弟だろ?呼び捨てだったし「なり下がった」とか言ってたな。仲悪いのか?」

「いいえ。ナンコー家が『成金貴族』って呼ばれてる事が許せないらしく、経済や商売の事は周りの者に任せるべきだと常々おっしゃっているみたいですね。父の事も守銭奴みたいに思っていますし、私がナンコー家を抜け商人になった事に腹を立てているんだと思います。幼い頃は「姉上」と呼んでくれていたのですが。」


(こじ)らせてんな色々と。

だからあんな格好なのか。やり過ぎというか。

「あの鎧ってう〇こみたいな色だった。」


カーラは吹き出した。

「(笑いが止まらず)く、苦しい、、、その例えはどうかと思いますが本人達は真剣なんですよ。

自分達を「ナンコー勇団」と言って領内の安全を守ると巡回してます。」


「その名前こそどうかと思うがう〇こ色だぞ?」 「綺麗に輝いてましたね。」

2人して爆笑


異母妹いもうとさんは?」

「オシカ様は年頃もあるんでしょうが都会に憧れていて、ナンコー領の事に関心が有りません。

国道が繋がった事で王都や中央領の情報が入ってくる様になり特に強まりました。

私にも旅先の事を色々とお尋ねされます。今何が流行ってるとか、何処の誰は素敵なのかとか、自分は田舎者に見られたくないとおっしゃってます。王都育ちの母上であるリウ様の影響もあるんでしょうね。」

「中央かぶれか。」

「過ぎれば父も注意するでしょう。」


彼女は義理の弟妹きょうだいに悪感情を持ってなさそうだが正妻の事はどうなんだろう。

「カーラ、答え辛いかも知れないがあんた達母子(おやこ)を追い詰めた正妻さんの事はどう思ってるんだ!?」

「・・・・・・そうですね、憎いと思います。でも顔を合わせる機会も数える程しか無かったので、正直リウ様をお見掛けしても当人だと実感が湧かないかも知れません。あの方は、、、いえ何でもありません。『マハ』性になった私にはもう関係無いですから。父とも滅多にお会いしないみたいですし。」

現在幽閉は解かれてるらしい。でも別の屋敷で暮らしている。

領内別居だ。


「カーラ」

俺は真剣な顔で言った。「はい。」

「俺の両親もその流行り病で死んだ。それで孤児になったんだ。」

「そう、だったんですか?」

「ああ、悪さして生きて来た。色々あってモグリになった訳だが。」

「お袋さんの事は残念だったな。でも過保護でも親父さんがいる。異母でも妹弟がいる。」

「はい。」

「う〇こ色の弟とかぶれの妹だけど。」

「ぶっ」

また吹き出してる。

悪い事じゃないよな、むしろ彼女の素を見れて良かった。

笑いが収まるのを待って話題を変えた。

「カーラって何歳(いくつ)!?」

「あら?先に女性に聞くんですか!?」

話をして気安くなったかな、笑顔が自然だ。


「あ、いや悪い。俺は21だ。孤児になった時は6歳だったと思うから逆算でそう言ってる。

じゃあ王都に居てた時期が重なってた時もあったんだ、もしかしてどっかで会ってたかも。そのくらいの時期だと俺は7.8歳だったかな~。」

「フツさんは不思議ですね、孤児だったのに算術が出来るなんて。と言う事はお兄さんになりますね私は今18歳です。4歳まで王都に居ました。」

「色々あって読み書きも出来るぞ。それより本当に王都で見掛けたりしてたかもな。ステトも18歳らしいぞ、老けてるって言ったら殴られたけど。」


18歳か~年上だと思ったと言ったら怒られるかな。だって知識あるから。

ステトの知識は10歳くらいだけど。

「当たり前ですよ、獣人の年齢は見た目とは違うんですから。女性に「老けてる」はあり得ません。」

「だよな。」



言わなくて良かった。そして俺達はまた笑った。

嫌な事辛い事があったにせよ、今は笑えてる。


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