①俺が住む世界の話
俺が生まれた世界は人族・亜人族などが存在する。
魔物も魔族も居るが、その違いは曖昧で同じと言う者もいれば別物と言う者もいる。
もちろんまだ知らないも種族もいるだろう。
古書や伝説にあるだけで実在しているかは怪しい類の種族もある。
また魔獣や魔植物も存在する。
それらを使った料理や素材で出来た道具は高価であるにしろ流通しているし特別な事ではない。
そしてこの世界には『魔術』が存在する。
『魔法』とは呼ばない、あくまで『魔術』らしい。
火を熾す道具
水を出す道具
風を吹かせる道具
土を固める道具‥‥‥など「魔具」と呼ばれる物がある。
俺からしたら違いが解らないが。
魔法と言うのは膨大な魔力を必要とするらしい。しかしこの世界の種族は魔力を持ってないみたいだ。
魔力は自然界には存在する。魔獣が宿している魔核にも。それらを効率よく活用できる様にするのが『魔術』だって理屈らしい。自然界からの魔力補充は一定の時間を要し、魔核の持つ魔力量は魔獣によって異なる。
『魔術』は文字や刻印、紋様などを紙や布・物に施して自然界や魔核の魔力を使える様にする。
更に発動させる為の呪文などを創ったり構築したりする。
膨大な知識が必要で、もはや学問だ。
火を熾す基本的な【術】一つとっても、大きさ、時間、用途、目的などによって全てが変わってくる。それら何か一つの現象を出せるのは、長年研究された努力の結晶だった。
そして確立された、または派生変化させた【術】は当然、既得権益となり
各国が金と人員と知識と時間を費やした結晶を金銭で取引する様になる。
それらの知識や書物、高額ではあるが予め【術】を施し、知識がなくても現象を出せる「魔具」などが流通して【術】を知らない者でも恩恵を受ける事が出来た。
日進月歩で研究されていて論文も発表されている。もちろん特別な『魔術』は自国の優位性を保つ為厳重に秘匿されているみたいだ。
その結果、国ごとの『魔術』にも各々の特色を生む事になった。
この大陸オノゴロには色んな国がある。
経済・軍事に秀でていて、『魔術』発祥の地とされている「ワヅ王国」。
俺はこの国で育った。
かつては大陸の半分を治めていたらしい。
生活魔術が盛んで、町中を灯す街灯や水を出す道具、料理を温める道具、逆に食物を冷やして保存する道具など様々な「魔具」を作り出し、これらは他国にも欠かせないものとしていた。
魔術基礎を学ぶ「術学園」があり、基礎教育課程のみ他国の者も受け入れている。
そして軍事大国として、攻撃魔術や防御魔術を多数研究実用され、それらは取引禁止の対象魔術とされている。
俺が知っている又は聞いた事がある他の国は、逃げ出してきた「タツ院国」。
この世界の医学の常識を覆した国だ。
院国の『魔術』は医療に特化していて『魔具』を利用し治療を行っている。他国の医療では足元にも及ばない医学知識に薬知識など持っていて、薬学などの研究や治験等も力を入れている
宗教国家と言えば「イクノ皇国」は『ドゥ教』の総本山が国となっている。世界のあらゆる国々に教徒が居て、政治的にも各国に影響力があり、『魔術』を否定はしてないが「本来の力」とは何かを教え説いてる。世界中の教徒から莫大な布施が集まるって話だ。
「タツ院国」は元々皇国の一部の地域から誕生した国らしい。
山岳国家である「チスク国」は広大な自然環境や豊富な天然資源に恵まれ、材木や鉱石等が主な産業だ。優れた技術者・職人はチスク国出身者が多く、その資源を活かす為に研究された「採石」「掘削」「鍛冶」「建築」などの魔術が盛んだ。また国内に古くから多くの信仰を集めている『ゴン教』の総本山があり、その起源は『ドゥ教』より古いとされ『ドゥ教』の教徒数には及ばないものの、『ゴン教』は『ドゥ教』と並び大陸の二大宗教と言われていた。
「グアン帝国」は少し毛並みが違い、この国は新しい技術や道具を発明し『魔術』を組み込んで創り出していた。例えば俺も何回か見た事がある「ミショー」。
これは車輪が二つある乗り物で人が自分の足で漕いで乗る革新的な乗り物だ。
長距離は無理だし、乗る事自体凄い難しそうだが。馬舎や飼葉を必要としない利点がある。
道が整備されてない所では逆に不便で、あまり普及はしてない。産業や生活に便利な様々な発明品、娯楽品など輸出し自国に富をもたらした。海に面している為、造船技術や操船技術も発展しているみたいだ。
「グアン帝国」の先にも数々の国があるが、俺は余り詳しくない。
あと謎に包まれてる地域が二つある。
一つは魔領「ウネ」、魔族(魔物)が居る地域だ。魔王が存在されていると言われているので国だと言う者もいる。ワヅ王国の東方角に位置し、深い森と山に隔たれている。この地域の森は【瘴気】というものが漂っていて、耐性がない者は生きてはいけないらしいとか。そのせいか解らないが魔獣や魔植物も此処に生息している数も多いとか。
実際の所は謎だ。
魔族特有の『魔術』があるか俺は知らないが、あると言う者もいるし、魔族はエアゾロルから何かを得ているって話もある。
そして最後は独立した自治を施している「辺境自治領ミネ」だ。
同じく東方角の森と山に隔たれていて、魔領「ウネ」に隣接していて、正確には「ワヅ王国」に属しているのだが国王が個人に下賜した。元々が魔領と近い辺境って事もあり、全く手つかずの土地を王国が勝手に国土と主張してた地域だ。王国の貴族が治めている領で、「自治」がついているのはミネだけで、それだけ完全な自治を許しているらしい。王国法も尾行されている部分はあるが独自の法が適用されているらしく、種族を問わず移民を受け入れていると聞いた事がある。
周辺領とのみ交易している為、産業等詳しい事は知らない。一応王国の一部だから一定の義務は課されていると思う。王国からすれば魔領の情報など、いざという時の緩衝にするつもりだろう。
『魔術』に関しては全く分からないが、一応名ばかりでもワヅ王国属領なのだから『魔術』も王国色が強いかもしれない。
これらの情報は秘密でも何でもない。一般に公開されてる情報もあるし、噂や口伝えなどで広く認知されている話だ。何処まで本当かは知らないが。
魔法が存在しないこの世界で俺は不思議な力を使った。
「魔具を用いず、呪文なども口にしていないが『魔術』の様な事をした。
当たり前だが俺は『魔術』の知識なんてない。孤児から奴隷になった男だ。
これまで言った国々の他にも国があるみたいだし。色んな事を知らない方が多い。
ただこの世界で知られている事がある。
それは何で「魔法」でなく『魔術』なんだ?
誰が最初に創った?‥‥だ。
読んで頂き有難う御座います。