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①②③一応の方向性

この先場面が変わって行くので動くっちゃ動きます。

でもお色気は無いですよ?笑

何故依頼主である(シマ)の要望と違う毒を生成したのか、俺は自分の考えを率直に言う。


「金だ」

金子(きんす)?」

ナサは意味が掴めないようで聞き返して来た。


「多分その医者の目的は金儲けだったんだ」

「待て、薬の生成代は弟御(シマ)から受け取っておる筈だ」

「そりゃ貰ってただろうな」

「ならばそれ以上何故求める?」

「欲ってのはあんたが思ってるよりずっと強いんだよ」

「む、しかし普段から亜人族を診て対価も得ているぞ」

「デンボさんも言ってたろ、稼いで評価を得るって」

「足りなかったと言うのか」

ナサは納得してないが、他の全員は俺の言ってる意味を理解したみたいだ。


「フツさんのお考えがその通りなら‥‥く、子爵様御夫婦がどれ程苦労されて来たか‥‥それが医者のする事ですか‥‥許せない」

デンボはその事を受け止め切れてない。気持ちは解るし俺も気に食わないが、足元を見るような奴が骨の髄まで吸い尽くそうとするのはよくある事なんだよな。


(コセ.ポーション)を買わせ続ける為にとは、な」

「利用されたのね‥‥先祖伝来の物を売ってまで工面していたのに、笑っちゃうわ」

子爵さんと奥さんは呆れて力なく呟き、それを聞いたカーラが声を掛ける。


「‥‥お2人共、大丈夫ですか?」

「気遣いは無用ですカーラ殿」

「私達はこんな事じゃ負けないから」

「解りました、ではお聞きしたい事が有るのです」

「何でしょう?」

「ハヤ様は後任の医者達にも事情をお教えしていたのでしょうか?」

「娘達が毒らしきものを飲んで意識が無い状態だとは言っております」

「何か別の治療は?」

「新しく来た医者達に症状を診させましたが、違う治療はおろか他の(ポーション)を試すなどもしなかったですな」

「あの子達が眠り続けている原因も付け止められなかったんですものね、どんな治療や薬が効くなんて事も解らなかったんでしょ」

奥さんも子爵さんに続いてそう答えた。


「じぁ子爵さんが医者達が移動して来る度に薬を、正規な量じゃない薬を融通してくれと頼んでたんですか?」

俺も聞いておきたい事を聞く。


「向こうからだが、それは前任者から話が通っていた思っている。何故だ?」

「‥‥いや」

俺も毒を生成して逃げ帰った階医(マーイ)が、子爵さんが『(コセ・ポーション)』を必要としてる事を後任の医者達に教えてると思っていた。どうせ吹っ掛けても大丈夫だから見返りに情報料を寄越せとか言ってるんだろう。その真階医(マーイ)が生成した(ポーション)の詳細を秘密にしていたのは、自分が自国に戻った後も甘い汁を吸い続ける為で、後から来た医者達もそのまま稼ぎを続けようとした。恐らく違う治療法なんか最初から試すつもりが無かったとか、色々試しても無理だと解り、稼げれるんなら良いかと早々に諦めてたんだ。


「特に意味は無いです」

これは言えない、言う必要も無い。元凶の真階医(マーイ)だけじゃなく、その後の医者達からもいい得物(カモ)にされていたなんて。


「その言葉を鵜呑みにするとでも思っているのか?」

「考え過ぎですよ」

「何かあるんでしょうけど、言うつもりは無いみたいね」

「それより」

俺はこれからの話に切り替える。


「突破口が見えた気がするんです」

これは誤魔化す為に言ってるんじゃない、強欲な医者達のお陰である考えが浮かんでいた。


「真かフツ!」

「何となくな」

「教えて下さいフツさん」

「言っちゃなんだけど、そんな大それた事じゃないぞ?」

「勿体ぶるな、早く言え」

子爵さん夫婦より先にナサとカーラが食い付く。


「見方を変えたらいいんじゃねぇかと思ってさ」

カーラが言った『本来処方制限が有る(コセ・ポーション)を飲み続けて害が出ていない』を考えたら、飲んだ毒か解らない(ポーション)の事より(コセ・ポーション)側からの方が何か思い付くかも知れない、まぁ物は考えようって事だ。


「お前の言っている事がよく解らんのだが、解毒薬の類は無理だったぞ?」

子爵さんが聞いて来た。


「何を飲まされたのかも解らないんだから当たり前ですよ」

「ではその『見方』とは何だ?」

「『(コセ・ポーション)』側から見たらどうかなって」

「つまり?」

奥さんも飲み込めてないみたいでもう少し詳しく説明しろと片眉を上げて俺を見る。


「何を飲まされたのか解らないんだから、その解毒薬を何とかするって方向はもう無理でしょ」

「そうハッキリ言われるとな‥‥」

「落ち着いて下さい。だから違う解決策って言うか、切っ掛けの話をしてるんです」

「‥‥続けてくれ」

「カーラが言った通り処方制限が有って、通常その場の救急時に使用される(コセ・ポーション)を長い間飲み続けて平気なのは偶然じゃない、何か有るんですよ」

「でもあの子達の症状には医者も(さじ)を投げてるわ」

「娘さん達を診てもね」

「何か有るって、解らないなら同じじゃない」

「だから見方を変えるんです、飲み続けても大丈夫な状態や症状をを調べるとか」

「調べれば?」

「もしかしてその症状が、眠ったままの原因かも知れない」

(コセ・ポーション)を調べれば解ると言うのか」

「て言うか(コセ・ポーション)の副作用が出ない理由にどんなものがあるのか調べる、ですかね」

「ふうむ」

「解ったような」

子爵さん夫婦が納得したか解らないが、カーラは納得して俺の言いたい事を解り易く言い直してくれる。



「‥‥逆から辿るんですか?」

「そうそう、それが『見方を変える』だ」

「流石ですねフツさん、私は‥‥思い付きませんでした」

「いやカーラが言った事が無けりゃ思い付かなかったよ」

「色んな経験を積ないと駄目ですね、もっと柔軟にならないと」

「おいおい、ちょっと違った意見を言っただけだぜ?」

(ファミリー)での経験とか関係無いし、そんな凹む事か?


(コセ・ポーション)を長年飲み続けて弊害が出てないのは何故かを辿れば、お嬢様達の症状が解る‥‥」

「そこまでじゃないにしろ、その弊害が出ない状態の原因が解れば少しは近付けるんじゃねぇか?」

「そう、ですね」

デンボも何となく解ってくれたみたいだ。それより肝心の子爵さん夫婦は俺の話をどう聞いていたのか、その2人の方に目を向けると何やら話し込んでいて、頷いたり苦笑いしたりその内容が読めない。


「俺何か不味い事言った?」

「そんな事は無いですよ、フツさんは希望を見付けだんですから」

「俺には少々理解が及ばんかったが、失礼な事を言ってはおらんと思う」

「私も同意見です」

じぁ何を子爵さん達は話してるんだろ?


「カーラ殿」

子爵さんは奥さんとの話が終わるとカーラに声を掛けた。


「はい」

「話を進めるべきなんだろうがもう遅い時刻になっておるようで」

「あ、気が付かなくて申し訳有りません」

「いやいや私達の方こそ申し訳ない、それより今日は色々為になる話を聞かせて頂き感謝しております」

「とんでもございませんハヤ様、まだ終わっておりませんから」

「でも皆さんもお疲れでしょう」

「続きは明日でも構いませんかな?」

「解りました」

確かに奥さんの手料理を堪能して結構な時間が経っている。今晩は屋敷に泊まらせて貰うけど、遅くまで話を進めるのは内容が内容だけに気が重くなるよな。


「私は、あの子達を。皆さんは待ってて頂戴ね、デンボに部屋の用意をさせるわ」

「はい奥様」

「私も少し失礼する」

子爵さん夫婦とデンボが一旦部屋から出たので少し態度を崩して伸びをした。


「娘さん達の世話も有るから奥さんも大変だよな」

「ええ、目が覚めないからと言って普通に生きてる人と同じですから」

「食わさねばならんですしな。しかしお嬢様、どうやってそれを?」

「『栄養薬(ベン・ポーション)』を飲ませているんだと思います」

栄養薬(ベン・ポーション)は食事に代わるもので、(ポーション)(うた)っているが非常食にもなる。液体だから意識が無い者でも飲ませるのは可能だ。


「日に三回奥方はそれを」

「それだけでは有りませんナサ様」

「そうだよな」

入れば出るんだ。下の世話や床擦れ防止に体の移動、筋肉も減るからそれを防ぐ何かしら(ポーション)を飲ませてるだろう、それを最近は『黄輪』の女達の手を借りる様になったとは言え四十年間奥さんが世話をしている。俺達が気にしても仕方ないけどさ。


「ふぁ~、今日は雑魚寝じゃないからぐっすり寝れそうだ」

「お布団を床に敷くのは雑魚寝と言いませんよ」

「同じだよ、床が堅いし肩が凝る。あれが文化の違いなんだろうけど」

「『黒輪』の集落ではフツさん達は外でしたしね」

「ありゃ論外だ」

鬼人族の集落じゃ床に布団だったけどニノの所よりはマシか。


「情けないぞフツ、野営は護衛の基本だ」

「俺は兵じゃない」

「護衛も兵も同じだ」

「言うと思った」

「ふふふ、今日はゆっくりさせて頂きましょう」

休む部屋を案内されるまでこんな感じで駄弁っているとデンボが入って来る。


「カーラさん」

「はい?」

「子爵様が貴女に一番風呂をと」

「!!」

子爵さんの言伝を聞いたカーラは食い付き気味で飛び上った。


そんなに?


次回更新は、可能なら連チャンで、無理でも8/28予定です。


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